【レビュー】使ってわかったGoogle Pixel Watchを「選ぶ理由」とは?
YouTube Musicがオフラインで聴ける。YouTubeも見られる
Pixel Watchは本体に32GBのストレージを内蔵しています。YouTube Musicなど、音楽配信サービスの楽曲を一時キャッシュしてオフラインで再生する機能が使えます。スマホを持たず、屋外をランニングしながら音楽を聴きたい時に便利です。Google Pixel Buds Proなど、Bluetoothイヤホンとの接続はウォッチの「設定」>「接続」>「Bluetooth」から簡単にできます。
Google Playストアからサムスンのウェアラブルデバイス向けブラウザをインストールしたところ、検索などに少し手間はかかりますが、YouTubeの動画がPixel Watchで見られました。4G LTEモデルであれば、屋外をランニングしながらYouTubeのトーク番組をラジオのように聴けます。
打倒Apple Watchに向けてコンセプトを固めたい
Wear OS by Googleの開発により培ってきた資産、Fitbitのノウハウを取り込んだグーグル初のスマートウォッチ「Pixel Watch」はフィットネス、ヘルスケアの機能がとても充実しています。軽くてコンパクトなサイズ感の魅力と相まって、エクササイズや睡眠トラッキングでの利用にベストな心地よさが得られます。
かたや本体のエレガントなデザインが、便利なフィットネス・ヘルスケアの機能を使い込むほどに「ちぐはぐ」な印象も受けました。もしもグーグルがPixel Watchを今後もシリーズ化して育てていくのであれば、コンセプトをしっかりと固めることにも注力すべきだと思います。
筆者はWear OSを搭載するハイエンド路線の「本格派スマートウォッチ」は、経験豊かなウォッチブランドのパートナーに任せるべきだと考えます。グーグルのPixel Watchは価格も手頃な「スポーツウォッチ」として個性を尖らせていけば、独自の立ち位置が築けそうに思うのです。デザイン面で多彩なバリエーション展開ができれば、若年層を中心にPixel Watchシリーズのファンも開拓できそうです。
そして何より「iOS対応」には早急に取り組むべきです。筆者は仕事がら、左右の手首にウェアラブルデバイスを着けて過ごすこともありますが、大抵の方はスマートウォッチはお気に入りの1台を愛用しています。しかも、一度フィットネス・ヘルスケアの記録を開始した後は、基本的にはひとつのプラットフォームやアプリで継続的にトラッキングを行いたくなるものです。
そう考えるとPixel Watchは今後、最大のライバルであるApple Watchにガチンコ勝負を挑まなければなりません。
Apple Watchの弱点はiPhoneにしか対応していないことです。グーグルにはもう一度原点に立ち返って、AndroidとiOSの両方に対応するWear OS by Googleアプリの魅力を取り戻して欲しいと思います。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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