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衝動買いしたキヤノン「EOS R7」を「EOS 90D」と撮り比べてわかった両モデルの良いところ

2022年09月18日 12時00分更新

両機ともAPS-C最大の3250万画素撮像素子を搭載

 6月23日に発売されたキヤノン「EOS R7」。3250万画素という高画素ながら、秒間15コマの連写速度にとんでもない精度のフォーカス性能と、超優秀なボディー内5軸手振れ補正を持ちながら、APS-Cと言うことでレンズの焦点距離がフルサイズ換算で1.6倍になるのに本体価格が20万円を切るという、自動車レースなどの動体撮影でこれ以上何を求めるのか? というくらい密度の濃いカメラになっていました。

キヤノン「EOS R7」

 キヤノン「EOS R7」を実機に触ることなく注文し、多分最速で入手したであろう筆者ですが(キヤノン「EOS R7」を実機も見ずに買ったら、予想以上のスゴさに驚いた!)、実はEOS R7と同じ画素数、3250万画素の撮像素子を持つデジタル一眼レフのEOS 90Dを発売当初の2019年末ごろから愛用しています。すでに2年半の使用期間の中でシャッター回数は30万回にのぼり、シャッターユニットとミラーユニットを2回交換しているほどの酷使ぶり。

EOS 90D

 このEOS 90Dは発売当初は最後のキヤノン製APS-Cデジタル一眼レフ機だと噂されていましたが、その噂にたがわぬ性能を持っていました。3250万画素で秒間10コマという驚きの性能な上に、エクステンダー使用換算の解放F値でF8までのレンズでフォーカスエリアをセンターから左右に27点で測距できるフォーカス性能を実現しています。

 フルサイズデジタル一眼レフ機のEOS 5D Mark IVで3040万画素の秒間7コマ、EOS 1DX Mark IIIだと2010万画素で秒間16コマという、画素数と連写性能はトレードオフな関係という常識を、高画素高連写で覆したのがEOS 90Dでした。この連写性能で作り出されるデータ量はとても大きく、JPGラージで10MB以上、RAWデータで60MB以上となります。これを書き込むためにSDXCカードはキヤノンのAPS-C機で初めてUHS-II推奨となり、データを収めるPCのハードディスクやSSDも容量を増やしたり、まとめて何枚もPCの画像編集ソフト上で展開する際にはメインメモリーが32GB以上は欲しくなるなど、カメラ以外にもアップデートしなくてはならないことも多々ありました。

 ちなみに、筆者のデスクトップPCはEOS 90Dの撮影データを処理するためにメインメモリーが16GB×4枚挿しの64GB、データ収納用のHDDはシーゲイト製IRON WOLF PROの14GBを2台でミラーリング運用となっています。

R7と90Dを並べてみたところ(正面)

 キヤノンのAPS-C機はおおむね2~3年でフラッグシップ機がモデルチェンジしていきます。EOS 90Dの発売からEOS R7の発売というのも時期的には同じサイクルと言えます。ただし、EFマウントのデジタル一眼レフ機とRFマウントのミラーレス機という違うシリーズとなるので、厳密にはモデルチェンジではなく、EOS 90Dも2022年7月時点では生産も販売も継続しています。今回は、そんなAPS-Cの3250万画素機の2台を比べてみようというわけです。

EOS R7とEOS 90Dの外観と性能を比較

EOS R7とEOS 90Dを並べてみたところ(上部)

 EOS R7とEOS 90Dを並べてみると、明らかに大きさが異なります。EOS 90Dにはバッテリーグリップが装着できるという点を抜きに見てみても左右方向の長さや上部から見た厚みなどが全く違うことがわかります。大きさを比較するために並べて撮影をしていますが、EFレンズを使っての比較をするということでEOS R7にはマウントアダプタを装着していますが、それでもなおEOS 90Dの方が厚みがあります。EOS 90Dはファインダーがあるペンタ部にストロボを内蔵しているためにペンタ部が前方にせり出しているので、その分厚みが増えているのです。

EOS R7とEOS 90Dを並べてみたところ(背面)

 EOS R7はコンパクトさを優先するために背面のボタンやダイヤル類をかなり整理し、配置も大きく変更しています。特にEOS 90Dでは十字スイッチにあったダイヤルを、EOS R7ではジョイスティックに統合してファインダー横に配置するという大胆さ。

EOS R7のファインダー内表示

EOS 90Dのファインダー内表示

 外観もさることながらこの2台、性能的にも大きく違ってきます。先述したとおり、EOS 90DはAPS-Cデジタル一眼レフでエクステンダー1.4Xを装着した場合でも、フォーカスエリアの中段にある27点の測距ポイントが使えるというところが2019年当時では画期的なでき事でした。これが2021年のEOS R7では同じエクステンダー1.4Xを装着した場合でもフォーカスエリアの全域で測距が可能となっています。

EOS R7+マウントアダプタEF-EOS R+エクステンダー1.4+EF100-400mm

EOS 90D+エクステンダー1.4+EF100-400mm

 そして機能面での大きな違いの2つ目は、EOS R7にはボディー内5軸手振れ補正が搭載されていることです。EOS 90Dどころかキヤノンのデジタル一眼レフ機、もしくはミラーレスを含めたこれまでのAPS-C機では、ボディー内手振れ補正が一切入っていません。キヤノンの手振れ補正機能はレンズに搭載されていましたが、デジタル一眼レフ機用のEFレンズでもISという表記のあるものに限られます。EF 50mm F1.8などの安価なレンズや広角系レンズにはIS表記がないものもあります。つまり、キヤノンのデジタル一眼レフ機を使う場合は、レンズによっては手振れ補正がまったくない状態となります。これがEOS R7の場合はRシリーズ専用のRFレンズやマウントアダプターを介して装着されるEFレンズのすべてにおいて、何らかの手振れ補正が必ず機能しています。

 ここまでのまとめとして、EOS R7とEOS 90Dの違いは大きく3つ。一眼レフかミラーレスかということ、フォーカスエリアと性能の違い、ボディー内手振れ補正があるかないか、と言うこととなります。そこを踏まえて作例を見ることにしましょう。

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