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リアルな「EOS R5」が「オプティマス」に変身で予約殺到中!

タカラトミーが発売する「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」の秘密を開発者に聞いてみた

2022年09月13日 10時00分更新



 タカラトミーはキヤノンの最新フルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」とコラボした、変形ロボットトイ=トランスフォーマーシリーズの新製品「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」を発表しました。

 価格は1万9800円で来年2月25日に全国の玩具専門店、量販店、インターネットショップ、タカラトミー公式ショッピングサイト「タカラトミーモール」(takaratomymall.jp)で発売しますが、すでに予約が絶好調で、それも従来のトランスフォーマーファンだけではないという。

 なぜこんなウレシイ製品が実現したのか知りたいのと、もちろん、どうやってあのEOSがロボットに変形するのかを取材するためタカラトミー本社を訪問。同社の開発陣と、キヤノンのカメラ事業担当者と渉外担当者に実現への道をうかがった。

リアルなEOSがロボットに変身
しくみはこうなっている!

 会議室には「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」と「EOS R5」の実機が並んでいるではないですか!これは感動的。80%に縮小した「EOS R5」はとてもかわいい。そして、カメラにしか見えない再現度です! 小型の「EOS R5」にしか見えません! 本当にこれがロボットになるんでしょうか?

左が「Canon/TRANSFORMERS オプティマスプライムR5」で、右が本物の「EOS R5」で、ぱっと見、カメラが2台あるようにしか見えません

 まずは、トランスフォームしてもらいました(写真は量産前の試作機サンプルのため、デザインや色は一部商品と異なる場合があります)。

製品パッケージには、オプティマスではなく、「EOS R5」の状態で、レンズは外して収められています

①まずは、レンズをボディに装着します。
②背面側で、右手のグリップを引き出します。
③背面ディスプレーを持ち上げて
④大きく開きます

⑤グリップ部分をカメラ下方に回転させます。
⑥完全に下向きまで回します。
⑦ディスプレーを閉じます
⑧たたまれている足の展開を始めます。

⑨足首から下もていねいに展開します。
⑩足は膝が曲がるうえ、左右にも開きます。
⑪下半身が展開されました。この状態「カメラくん」的で好きです。

⑫軍艦部を後部に開きます。
⑬レンズの先頭部を開きます。
⑭赤いパーツが見えました!
⑮鏡胴を開くと腕が出てきます。

⑯腕を持ち上げて左右に開きます。
⑰レンズ先頭部に「マトリクス」を装着して鏡胴に戻します。
⑱腕を展開すると、ついに頭部が出現。
⑲前腕部分から、手のひらを出しましょう。

あのリアルな「EOS R5」が、オプティマスプライムにトランスフォーム完了です! お好みでレンズシールドやミニEOSを持たせてください。

毎年出しているコラボ型トランスフォーマー
いちばんカッコいい「EOS R5」を選んだ!

 お話をうかがったのは、タカラトミーのキャラクターホビー事業部企画マーケティング課のフェローでトランスフォーマーのレジェンド設計者の大野さんと、同課の企画担当白井さん。キヤノンは渉外本部渉外センターの十河さんと、イメージコミュニケーション事業本部 ICB事業統括部門の金原さんです(聞き手:編集部みやの)。

タカラトミーの設計者の大野さん(左)と、企画担当の白井さん(右)。

キヤノンの渉外担当の十河さん(左)と、カメラ事業担当の金原さん(右)。

Q:トランスフォーマーのコラボ製品で私の印象にあるのはauさんのケータイ電話なんですが、ほかにもあるんですか?

白井さん:最初のコラボは2005年にペプシさんの缶を引くトレーラーをトランスフォームできないかというお話をいただきまして、製品化しました。その翌年、ナイキさんの新しいスニーカーをやらせていただいて、実はその後も、毎年製品化しております。ガリガリ君もやりました!(笑)

Q:知りませんでした! ということは、常にコラボ製品を考えてるんですか?

白井さん:はい、いつも会議でアイデアを練っています。「EOS R5」は設計の大野の提案で、2020年の夏にキヤノンさんにご提案させていただきました。

Q:R5というのは最初から決めていたんですか?

大野さん:キヤノンさんのカメラデザインに響くものがあって、社内の企画書を作る際、最初から「EOS R5」で提出しました。最新のカッコいいカメラをやりたいなと。「EOS」の中でも最新モデルでかつ当時発売されていたミラーレスカメラの最上位機種ということで、一択でしたね。

Q:キヤノンさん側に提案が来たときはどうでした?

十河さん:最初にお話を頂いたときは、想像外というか、弊社の「EOS R5」があのオプティマスにどうやって変形するのか、全く想像できませんでしたが、本当にできるのなら面白いなと思いました。

金原さん:面白いお話だなというのが最初の印象です。これまでもいくつかコラボはしていましたが、トランスフォーマーのような世界的に大人気のキャラクターとコラボするというのは初めてだったため、ものすごく楽しみでした。一方で社内関係者に受け入れられるのか不安もありました。

Q:ガチャでキヤノンさんの一眼レフありましたね。集めました! キヤノンさん社内での稟議はたいへんでしたか?

十河さん:大変ということはなく、「面白いね」という前向きな意見が大勢でした。

Q:実際の開発はいつごろ始まったのですか

白井さん:OKを頂いてから、契約書のやりとりや、実機をお借りする手続きなどで、実際に開発に着手したのは2021年の夏になります。

Q:キヤノンさんとしての要望はどんなものだったのでしょう?

十河さん:「EOS R5」という名前が出る以上は、全体デザインはもちろんですが、ボタン類や「ボディの質感」まで出していただきたいと、かなり細かいところまで要望をお出ししました。

Q:このサンプルでも質感はほとんど実機ですね?

大野さん:はい、ですが、製品に向けてまだ変更が入ります。レンズのマウント部分の色合いはまだシルバーで光ってますが、本物と同じシブい光沢になります。

Q:大きさが実際の「EOS R5」の80%スケールということですが、なぜそうなったのでしょう?

白井さん:企画の段階で80%サイズでご提案しました。同寸だと実物と間違えることもありますし、トランスフォーマーシリーズの3つのサイズのうち、真中のボイジャークラスにするため、80%とさせていただきました。

大野さん:100%ですと、かなり大きなロボットになるので、お値段も高くなってしまいますから、できるだけお求めやすくしたいというのもあります。

Q:キヤノンさんは100%を希望しなかったのですか?

金原さん:最初から80%でお話を頂いていて、実際に実機と並べても可愛いですからね。そして、実際に80%でここまで精巧に再現されてすごいなと思いました。

Q:レンズはなぜこのLレンズになったのですか?

金原さん:「RF24-105mm F4 L IS USM」はプロやハイアマチュアのみなさんにとても好評なレンズなので、こちらでお願いしました。

大野さん:お借りした機材がこのレンズというのもありますが、バランスがいいですし、これで最初から考えました。

Q:限定版のもう一体の「リフレクター」のレンズは何ですか?

大野さん:本当はレンズ交換ができると面白いと思ったのですが、金型のコストもかかりますので、今回は同じレンズで、ロボットの色は変えています。

Q:カメラオタク的には違うのにしてほしかったです!

大野さん:レンズ部分には頭と胸、アームが収納されています。アイデアとしてはもちろん違うレンズで、大きいほうはウイングも出てくるとか考えたのですが、今後にご期待ください。

トランスフォーマーの設計手順は
デザイナーによってまったく異なる

Q:昔から、トランスフォーマーの設計ってどういう頭のひとが、どうやって製品のカタチにしているのか想像できなかったのですが・・?

大野さん:今回は、最初に80%サイズの「EOS R5」を発泡スチロールで作って、それをカッターで切りながら、デザインをスケッチしていきました。ブロックを切り出して、ここを足にしたいなという具合です。「EOS R5」にはロゴやスイッチがありますから、割っていくのはそこを避けていきました。

白井さん:設計者によっていろいろな方がいるんですが、スケッチから始めたり、きっちり図面を引き始める人もいます。いきなり3D-CADに向かうとか、人それぞれですね。

Q:レンズが取り外せるというのも最初からですか?

大野さん:実際の「EOS R5」と同じように、パッケージとしてもボディとレンズを別にしておいて、それを合体させてから、トランスフォームするという形ですね。レンズ部分には頭と胸、アームが収納されています。

Q:キヤノンさんもレンズ取り外しは必要だと?

十河さん:やはり、実際の「EOS R5」もレンズ交換式のカメラということで、取り外せたほうが、ユーザーさんには響くのではないかと思います。

大野さん:レンズが外れたほうが絶対おもしろいだろうし、カメラはこうあるべきだと思って、最初から決めていましたね。

Q:キヤノンさんは開発中どんなチェックをされたんでしょうか?

十河さん:何度かスケッチや実機を拝見して、カメラの事業部やデザイン部門にチェックしてもらいました。本物のカメラの開発やデザインに関わっている人たちなので、たいへん細かいところまで要望が来まして、タカラトミーさんにお願いしました。

Q:受けっとった要望で難しかったところはありましたか?

大野さん:いやもうご要望頂いたら、実現するしかないので・・・(笑)。製品のネーミングや「レンズシールド」といったパーツの名前もキヤノンさんと相談して決めました。

白井さん:ロボットについているロゴやパッケージのデザインもキヤノンさんに監修していただきました。タカラトミーとしては「×」を使いがちなんですが、「×」は海外では「対立」を意味することから、キヤノンさんと相談の上、「Canon/TRANSFORMERS」としました。

十河さん:途中で拝見したものは、すでに、とてもよくできていたので、ほんとうに細部の要望だけで、データを頂くたびに本当に感心しました。

トランスフォーマーには
すべてストーリーがあるんです

Q:途中で設計を変更した部分はあるんですか?

大野さん:レンズキャップは最初から付属させたいと思っていましたが、途中でアイデアが出て、盾として手で持てるように設計し直しましたね。

白井さん:最初はロボットが「武器」を持っているデザインだったんですが、キヤノンさんの会社イメージがありますから、武器ではなくカメラを待たせることにしました。スパイロボットというストーリーです。

Q:え、ストーリーがあるんですか?

白井さん:はい、トランスフォーマーにはすべてストーリーがありまして、取扱説明書に、けっこう長い設定が書いてあります。

大野さん:今回の「EOS R5」は独自商品で、元となるアニメも映画もありませんから、ファンが入り込めるようなオリジナル・ストーリーを考えました。

Q:それは楽しみですね・・教えてもらえないでしょうか?

白井さん:製品のお楽しみということで、すいません・・・ストーリーはコアなファンの皆さんにもご納得いただけるようになっているんですよ(笑)。もちろんキヤノンさんにも監修していただきました。

大野さん:リフレクターのほうは、きちんと違うストーリーになっています!

Q:製品で、特にこだわられた点はどこでしょうか?

大野さん:やはり、カメラの文字やスイッチの忠実な再現ですね。それから、トランスフォーマーなので、うまく分かれ目を選ぶのが大変でした。レンズが合体してから変形するというのもこだわりですね。トランスフォーマーは、変形するためにどうしても「ヒンジ」が必要になるんですが、カメラ状態のときに、それがなるべく目立たなくするのにも注意を払いました。あとは、変形して初めてロボットの色が露出するというのも、通常のトランスフォーマーとはちがう苦心した点ですね。

Q:完成してキヤノンさんのご感想は?

十河さん:サンプルを見たカメラ事業担当者はもちろん、役員含め社員にも非常に好評で、大盛り上がりで、みんな欲しいと申しております。

金原さん:「EOS R5」は高性能な「EOS」の「ヒ-ロ-モデル」ですが、それがオプティマスというヒ-ロ-に変身するというのは、とても面白いコラボになったと思います。カメラファンのみなさんには、ぜひ弊社の「EOS R5」と、今回のトランスフォーマーのR5を並べてご自宅に飾っていただきたいと思います(笑)。

Q:キヤノンさんとして、今後トランスフォームしたい製品はありますか?

金原さん:今回のコラボが社内でも非常に好評で、製品開発者のモチベーションも上がっています。どの製品をというのも難しいですが、機会があれば、他の製品でもぜひ実現したいですね。

Q:タカラトミーさんとして製品化した感想は?

大野さん:こういった非対称形のものをトランスフォームするというのはめずらしいのですが、それほど難しくなく変形できるようにできたのは、うまくいったと思います。

白井さん:ここまでシンメトリーでないものを変形させるのも珍しいのではないでしょうか。レジェンド大野さんの経験と技術の賜物です(笑)。製品を発表して、発売はまだ先なんですが、お客様から「交換レンズをだしてほしい」というご要望をすでに頂いております。実現できるといいですね。

Q:コンピューターのトランスフォーマーとか出しませんか?

白井さん:通常のトランスフォーマーは乗り物が多いのですが、今回、身の回りにある製品がトランスフォームするということで、とても大きな反響をいただけたので、今後、そういう方向はあると思います。

大野さん:カメラは手に取れるガジェットとして身近で、そのうえカッコいいのでとてもいいんですよね。モノとしてのサイズもちょうどよかった。身近で手にするもので、トランスフォームして面白そうなものを探していきます。

編集部:みなさん、本日はお時間いただきありがとうございました! カメラファンとして、とても面白かったです。今後の商品も期待しています!!!

©TOMY
取材協力:キヤノン株式会社

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