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速くもなければエコでもない

ちょっと旧いスバル フォレスターの魅力

2022年08月14日 09時00分更新

 2022年7月16日、三本和彦さんが亡くなられました。生前のご功労に対し深い敬意を表すとともに、心より哀悼の意を捧げるものです。

 私のような者が言うまでもなく、我が国の自動車文化に多大な影響を及ぼした方でありました。ジャーナリスト、カメラマン、ラリーイストと様々な顔を持ちつつ、最も知られていたのはテレビ神奈川で放送されていた「新車情報」の司会でしょう。

 なにより10代の頃に見たあの番組のおかげで、私はまるで興味のなかった自動車の社会的側面に目が向くようになり、おかげで自動車雑誌のバックナンバーを集め、取る気のなかった運転免許も取ったりして、今では調子に乗ってこのような雑文まで書いています。

 皆様先刻ご承知の通り、この連載のタイトルもかの番組から勝手に拝借したものです。自動車について考えはじめると、あの三本節がどうやっても頭から離れない。そこで何度か書いて終わるつもりで止むを得ず始めたものですが、気がつけばこの連載も100回を超えてしまいました。このタイミングで他にやりようはないかと考えてはみたものの、当初がそうだったように難しい。しばらくはこのスタイルで、雲の上を伺いながら続けさせていただきたい所存です。

 三本御大が他の評論家と違い徹底していたのは、庶民の生活の道具としてクルマに必要なものは何かという視点でした。今回の話題の中心と致しますのも、庶民である私が、北国での生活の道具として必要に迫られ購入した、2017年型フォレスター「2.0i-L EyeSight」。新車じゃなくてすみません。

 納車から1ヵ月で2000kmほど走り、どんなクルマか掴めてきた気になっていますが、アクセルの踏み加減がまだよく分かりません。

重く感じるのは非力なせいじゃない

 中古車を買いますと、まあ色んなことがいっぺんに起こるものですが、まずキーを受け取り、最初にアクセルを踏んだところから始めましょう。

 真っ先に感じたのは「さあ、これから重いものを転がしますよ」というペダルの感触でした。1.5tを超える常時四駆ですから仕方ないのですが、それは決してエンジンが非力だからではありません。

 アクセルをちょっと踏んでも、思ったほど進まない。ならばと踏み足すと、今度は思ったより勢いよく転がろうとする。それでペダルを戻すとエンジンブレーキが効いてカクンと減速する。そこにエアコンのコンプレッサーのオンオフも加わり、どうにも動きがギクシャクしがち。特に赤信号からの右左折、駐車場での後退、その他微妙な速度調整が要るところで、思った通りに操れません。

 慣れればなんてことはないのでしょうが、気の短い私はドライブモードで対応することにしました。

 このフォレスターには「SI-DRIVE」というドライブモードの設定スイッチがあります。低いエンジン回転で高めのギアを選ぶインテリジェントモードの「I」。これは省燃費を狙った標準モードです。そして高回転で低めのギアを選ぶスポーツモードの「S」。こちらは燃費はともかく景気良くぶん回す山坂道モードです。

 ただでさえ燃費が悪いと噂の水平対向エンジンですから、Sモードはできるだけ使いたくありません。ところが試しに押してみると、こちらの期待とエンジン回転とギアがうまくシンクロして、先のギクシャク感も解消。困ったことにそうやってエンジンが回っていると、ちょっと楽しいのであります。

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