週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード
私→WRC

第27回

現役RQの荏崎ろあ、ラリーメカニックを経験してさらにクルマ愛が深まる

2022年07月30日 12時00分更新

朝ご飯を食べたら次のサービスが待っている

 無事に2台ともサービスからスタートしていき、メカニックはやっと朝ごはんにありつけます。この連載記事にも結構な数のごはん画像が出てくると思うのですが、私はクルマに乗ることと同じくらい食べることが好きなのです。

 談笑を挟みながら、次のサービスの打ち合わせをします。私の担当する作業に変更はなく、車両の誘導、スロープとウマかけ、タイヤ脱着とトルクのチェック、洗車。追加して、オイル交換とブレーキエア抜き、車高調整のそれぞれ補助を指示されました。

トルクレンチでタイヤを締め付けます

 メカニックミーティングでは、次のサービスでやる作業内容の確認はもちろん、その前のサービスで行なった作業内容も報告するので、ここが予定通りできなかった、など改善点についても話し合います。そして、10:30にはミーティングを終わらせ、作業に合わせて工具の準備をします。

このように1日のスケジュールが決まっています。ラリーの状況次第で多少の前後はあります

 11時台には2台ともサービスインしました。このラリー最後のサービスになるため、今日までの3日間が終わってしまう寂しさと、無事に両車フィニッシュできるか不安で、私も少し緊張してしまいました。

思ったよりも苦戦したブレーキのエア抜き作業

 DAY1ではリヤデフオイルとトランスファーのオイル交換がありましたが、今回は新しい作業の補助です。リヤデフオイル交換はメカニック講習会のときにも1度だけ経験したので、その記憶を頼りに早水さんの補助をさせてもらったのでなんとかなりました。でもブレーキ類はほとんどこれまで作業したことがなかったので不安でした。サービステントにラリーカーを誘導してタイヤを外し、ブレーキのエア抜きとサスペンション車高調整のお手伝いです。

テントにクルマを誘導するのも私の仕事です。ドライバーが切り返さなくてもテントに入れるように、うまく誘導しないといけません。

トランスファーオイル交換をお手伝いしました

 ブレーキペダルを踏んだ圧力を、ブレーキキャリパーに伝達するブレーキフルードという液体があるのですが、ブレーキを強く多用するとそこに気泡が発生して圧力を吸収してしまうため、ブレーキの効きに影響が出てしまいます。日常生活ではブレーキフルードの交換やエア抜きは高頻度ではやりませんが、ラリーはブレーキにも負担が多いため、サービスごとにするのがほとんどです。

 早水さんがフルードを抜いている間、私は運転席に座って指示されたタイミングの回数、ブレーキペダルを踏みました。思っていたより重くて固くて、全体重をかけてペダルを踏みました。3回フットブレーキペダルを踏み、その後油圧サイドブレーキレバーを引くのですが、私は人生で初めてこのレバーに触れたので簡単には引けず、上手く抜くことができませんでした。

頑張ってサイドブレーキを引いているところです

 これまで仕事でフルードの交換の経験はありましたが、油圧サイドブレーキが付いている車両は経験がなく、またレバーも非常に重くて手こずってしまいました。とはいえ、また新しい作業を知ることができて個人的にとても面白かったです。松井監督や早水チーフメカにもっと教えてもらって勉強します。

早水チーフメカからいろんなことを教わりました

ラリーとクルマの勉強中です!

 車高調整式サスペンションについては、自分のクルマも純正から交換したことがあったため、作業内容は大体知っていましたが、久しぶりだったので良い復習になりました。ラリー車の見せ場のひとつとして、大迫力のジャンプシーンがありますが、飛距離もかなりの長さにもなることがあるため、着地の瞬間に大きな力が加わります。その衝撃を受け止めるためにも、ラリー車には高性能なサスペンションが使われています。

雨で濡れたドライビングシューズを、ペダルで滑らないように拭くのもメカニックの仕事!

 そのサスペンションを路面状況に合わせてラリーやセクションごとに変更します。これらの作業が終わると、タイヤを付けてトルクのチェックを行ない、私は最後のタイヤサービスに向かうことができました。慣れない作業で疲れもありましたが、チームの皆さんがたくさん差し入れを下さったので、お昼をしっかり食べて無事回復できました。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事