天井が落ちてこないよう落下防止金具を新設
それと、特定天井の改修ですね。
── 代々木競技場と言えば天井ですよね。特定天井というのは?
日本の建物って、天井は吊るすのが一般的な作り方だったんです。それが東日本震災の際に天井材が落ちた結果、国交省で脱落によって重大な危害が生じる天井を特定天井とみなし改修をしなきゃいけないことになった。ここの大空間もそれまでは特定天井のため落ちないよう直(じか)天井にしようということにしたんです。
── 代々木競技場の天井もただぶらさがってたんですか。
ぶらさがっていたんです。台形状の押縁材(おしぶちざい)があって、その上に天井のパネルがぽんと乗っていた。この押縁が落ちないようにしようということで、鉄骨の梁に対し押縁の中に差し込むもの(落下防止金具)を入れ、両側から押縁を差し込んだ。それに天井パネルが乗っかるようにして、どう見ても落ちないような形にしたんです。
そしてまた、この天井パネルというのがいろんな曲面なんですよ。
── ひとつとして同じ曲面がない。
そうです。だから自由自在に対応できるもの(金具)を検討しました。
── これもやっぱり改修のきっかけは地震なんですね。
東日本大震災のとき、ちょうど以前の代々木競技場にいたんですね。地震のときに作業員が屋根の改修をしていたのでパッと屋根を見た瞬間、屋根がすごい波打っていたイメージが強くてそのイメージから色々な方向の動きに対応できる天井にしようと思いました。
── それは天井じゃなくて屋根が?
屋根です。屋根と天井は約50cm~100cm程度の天井裏しかないため、屋根の動きはすぐ天井にも影響すると思っています。今回の改修設計図だと3Dの動きには追従できていなかったので、得意先・設計者・社内の技術部に色々ご意見いただきながら改修したということですね。
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