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リモートワークを中心に考える、Dropboxのバーチャルファースト

リモートワークは生産性を維持した自由を提供するのか、それとも分断を生むのか

2022年07月19日 09時00分更新

バーチャルファーストはどのような変化を生んだか

 2020年10月にバーチャルファーストのコンセプトを発表したDropboxでは、詳細を詰めた上で、2021年4月から施行を開始。1年3カ月を経過したところだ。バーチャルファーストを実施した結果、いくつかの成果があがっているという。

 Dropboxの社員を対象にした調査によると、生産性が向上したと回答した社員は72%、作業効率が向上した社員は80%、ワークライフバランスが向上した社員は72%と高い成果があがっている。

 Dropbox Japanの梅田社長は、「バーチャルファーストによって、生産性とウェルビーイングが向上している。また、Dropboxに新たに入社した社員の90%が、バーチャルファーストを導入している点を入社理由にあげている」という。とくに子育てや介護などを行っている社員からは高い評価を得ており、リモートワークを前提とした柔軟な働き方が新たな社員の獲得に貢献しているというわけだ。

 だが、オフィス勤務では当たり前だった自然発生的なつながりの機会は失われたことも指摘する。「廊下で偶然顔を合わせたり、雑談を耳に挟んだりといった場面がなくなり、日常業務以外で知り合いになるきっかけが少なくなってしまった」とする。

 そこで、Dropboxでは、社員がリモートでも関係性を深められるよう新たな方策を模索したり、休憩スペースでの雑談を再現したり、チームの絆を深める習慣を定着するためのためのトレーニングを継続的に実施している。Coffeebox というプログラムでは、各国の Dropbox社員をZoomで結びつけ、SNS アカウントを簡単に同期できるようにし、世界のどこで仕事をしていても、すべての社員が、グローバルにも、ローカルにも帰属意識を育めるようにしているという。

 また、新たなコミュニティ形成のアプローチとして、Dropbox Neighborhoodsを開始している。これは、各社員の勤務地ごとのつながりを醸成するためのユニークな仕組みであり、各地域のコミュニティマネージャーが、地理的に近い場所に住む社員をSlack上でグループ化し、様々なイベントやボランティア活動、カジュアルな集まりを企画して、日常的な楽しみを共有したり、近所に新しく開店したレストランを紹介したりといったことも行っている。

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