最速の内蔵GPUと対決させる
では今回の検証環境を紹介しよう。GTX 1630との比較用に、上位のGDDR5版GTX 1650、原稿執筆時点でGTX 1630とほぼ同価格帯で取引されているGTX 1050 Ti、Maxwell世代のGTX 750 Tiの3枚のカードを準備した。
さらに、GTX 1630の立ち位置的に内蔵GPUとの性能差が気になるところであるため、Ryzen 5 5600Gの内蔵GPU(Radeon Graphics)も検証に加えている。内蔵GPUといえば、第12世代インテルCoreプロセッサー(Alder Lake-S)のUHD Graphicsも気になるところだが、内蔵GPUの性能的にはRadeon Graphicsのほうが優秀であるため、GTX 1630の立ち位置を見るにはRadeon Graphicsで十分と判断した。
今回の検証環境もWindows 11 Proを利用し、セキュアブートやコア分離(VBS)は有効としている。Resizable BARもBIOS上では有効化しているが、GTX 1630を含めTuring GTX系は同機能に非対応であるため、実際は機能していない。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Ryzen 5 5600G」 (6コア/12スレッド、最大4.4GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN 360」 (AIO水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「B550 Vision D」 (AMD B550、BIOS F15c) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (16GB×2、DDR4-3200) |
ビデオカード | MSI「GeForce GTX 1650 VENTUS XS 4G」(GeForce GTX 1650 GDDR5)、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1630」(GeForce GTX 1630)、 Palit「GeForce GTX 1050 Ti StormX」 (GeForce GTX 1050 Ti)、 ELSA「ELSA GeForce GTX 750 Ti 2GB S.A.C」(GeForce GTX 750 Ti)、 AMD「Radeon Graphics」(CPU内蔵GPU) |
ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」 (NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)、 Silicon Power「SP002TBP34A80M28」 (NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (80PLUS Platinum、1000W) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」 |
前世代の50番台を超えられなかった「3DMark」
では、定番となる「3DMark」のスコアー比較から始めよう。GTX 1630のスペックを考慮し、“Fire Strike”と“Time Spy”の2本のみに絞った。
GTX 1630は、GTX 1650とGTX 1050 Tiには及ばない。GeForceの上位モデルでは、新世代が旧世代の格上モデルと同等かそれ以上の性能になることがしばしばある。だが、下位GeForceだとそもそものスペックが絞られている関係で、旧世代といえど格上を超えることはできないのだ。CUDAコア512基のGTX 1630が、768基のGTX 1050 Tiより遅いのは避けられないわけだ。
また、上位のGTX 1650(GDDR5)と比較するとGTX 1630は約6割程度の性能にとどまる。GTX 1650との実売価格差(製品にもよるが5000〜1万円程度)を考えると、パフォーマンスよりもコストを優先させたい人のためのGPUといえる。
一方、内蔵GPU(Radeon iGPU)を基準に考えると、GTX 1630のスコアーはおよそ1.5〜1.7倍。内蔵GPUの性能では厳しいゲームに挑みたい時に、最小限の投資でなんとかしたい時に重宝するGPUといえるだろう。
TGP 75Wなので消費電力は控えめ
ここで消費電力を確認しておきたい。ラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を利用し、システム起動10分後の安定値(アイドル時)と3DMarkのTime Spyデモ実行中のピーク値(高負荷時)をそれぞれ計測した。
GTX 1630はCUDAコアが少ないぶん、GTX 1050 TiやGTX 1650よりも消費電力は控えめ。電源ユニットの出力が限られている旧世代PCに組み込むにはちょうど良い塩梅になっている。
最軽量級の「VALORANT」では
内蔵GPUの2倍以上のフレームレートに
ここから実ゲームベースの検証となるが、今回の検証はGTX 1630の位置付けを考慮し、解像度はフルHD(1920×1080ドット)のみ、画質は最低設定で統一している。
まずは最軽量級の「VALORANT」だ。前述の通り、画質設定は最低だが、マルチスレッドレンダリングは有効にしている。射撃練習場における一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
最低画質にすると内蔵GPUでも結構なフレームレートが出てしまうことが分かったのが今回の学びの1つだが、GTX 1630はRyzenの内蔵GPUのざっくり2倍のパフォーマンスを発揮。
このゲームではGTX 1650やGTX 1050 Tiとの差がほとんど出ていないが、これは負荷が軽すぎてCPUがボトルネックになっていると推察される。平均400fps以上出ているのであれば、NVEnc(ShadowPlay等)を使ってゲーム画面の録画やストリーミングと並走させても良さそうだ。
「Rainbow Six Siege」ではGTX 1050 Tiに肩を並べる
続いて「Rainbow Six Siege」では、APIにVulkan、画質“低”に設定。Reflexはオフにしている。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
Ryzenの内蔵GPUとGTX 750 Tiがほぼ同等のフレームレートという点に驚いたが、GTX 1630は内蔵GPUのほぼ2倍のパフォーマンスを示した。よりCUDAコア数の多いGTX 1650が最も性能が良いのは3DMarkと共通した傾向だが、GTX 1050 Tiに対しては僅差(約5%下)である。
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