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営利1兆円企業に成長したソニー、その2/3は感動を呼ぶゲーム・音楽・映画だ

2022年06月06日 09時00分更新

買収を含む1兆円超の戦略投資が芽を結ぶ、次はモビリティなど新しいソニーを

 ソニーグループは、「人の心を動かす」事業において、過去4年間で、大型買収を含めて、1兆円を超える戦略投資を実施してきた。「ソニーのパーパスのキーワードは感動であり、感動を作るのは人であ。そして、感動する主体も人である。経営の方向性は、クリエイターやユーザーといった人に近づくことであり、人を軸とした経営に長期視点で取り組んでいく」と語る。

 一方、吉田会長兼社長 CEOが語る「人と人を繋ぐ」事業では、感動コンテンツを作り、それを体験するためのテクノロジー、製品、サービスを提供する事業領域と位置づけ、とくに、モビリティ分野の強化を図る。

 「次のメガトレンドはモビリティである。10億台のクルマが稼働しており、これがIT、通信と結びつくことで、移動空間を、新しいエンタテインメント空間にできる。セーフティ、エンタテインメント、アダプタビリティが、モビリティにおいて、ソニーグループが貢献できる領域である」とする。

 CMOSイメージセンサーや、LiDAR向けSPAD距離センサーなどが、すでに多くの自動車メーカーに採用されており、成長分野に位置づけるCMOSイメージセンサーには、過去4年間で1兆円の投資を行い、トップシェアを維持。今後は、車載向けやIoT向けセンシングを今後の成長領域に捉えている。そして、ソニー自らも、コンセプトカーであるVISION-Sの研究活動をベースにした新たな一歩として、ホンダとの戦略的提携を発表。合弁会社を通じて、2025年にEVを発売する計画を明らかにしている。

 ソニーは、1979年に発売したウォークマンによって、音を自由に持ち運び、どこでも楽しむことができる新たなライフスタイルを提案したが、そうした経験とはまったく別の角度から、新たな時代のモビリティに挑戦しはじめている。

 そして、メディカル、金融による「人を支える」事業については、「感動の前提となるのは人々の健康、安心であり、癌やウイルスなどの研究、細胞薬製造に貢献している」と述べ、「ソニーグループは、800万人を超える保険や銀行の顧客に対して、生活の利便性と金融面での安心を提供している」と語る。

 2020年にはソニーフィナンシャルホールディングスを約4000億円で完全子会社化したり、2022年4月には、デジタル技術を活用して病気の治療を行うデジタル治療(DTx=デジタルセラピューティクス)に取り組むサプリムを、エムスリーとともに設立したりというように、この分野にも積極的に投資をしている。

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