終わりに
IPOを行なった大学発ベンチャー3社の特許分析を行なったが、いずれの企業も設立時期にコア技術の特許出願を行なっていることが確認できた。ただし、CYBERDINE以外の2社は設立時期の特許出願で権利化できておらず、必ずしも設立当初のアイデアの権利がその後の事業展開に必須ではないと捉えることもできる。
特に設立当初の出願においては、3社とも出願人の態様が異なっており(他大学と自大学のTLO、自大学単独、自社単独)、大学発ベンチャーの設立時において、特許を受ける権利の帰属が複雑になり得ることが現れている。また、大学との共同出願を継続して行なっているのはCYBERDINEの1社のみであり、大学発ベンチャーにおいて、大学との特許権の共有は慎重に検討すべきであることの裏付けであると捉えることができる。
また、ACSLとPKSHA Technologyについては、IPO時期の前後に他社との共同出願件数が増加しており、他社との共同開発を積極的に行なっていることが確認できる。このことは、大学発ベンチャーにおいて、自社での開発にこだわることなく、他社の研究リソースも積極的に活用して事業展開していくことが有効であることを示唆していると考えられる。
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著者紹介:IPTech特許業務法人
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