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上場を果たした研究成果ベンチャー3社を分析

特許から見るIPOをした大学発ベンチャー

2022年05月27日 08時00分更新

スタートアップと知財の距離を近づける取り組みを特許庁とコラボしているASCIIと、Tech企業をIP(知的財産)で支援するIPTech特許業務法人による本連載では、Techビジネスプレーヤーが知るべき知財のポイントをお届けします。

 本稿では大学発ベンチャーにおける知財活動について取り上げる。近年、経済産業省における産学官連携施策の活性化やディープディック(※1)への注目が相まって、大学発ベンチャーの設立が盛んとなっている。大学発ベンチャーの概要および特徴を挙げたうえで、モデルケースとしてIPOをした企業について特許出願の分析を行なった。

※1「ディープテック」は明確な定義がなくバズワードのきらいがあるが、概ね「大学等の研究機関における長期間の研究成果に基づいた革新的な技術」という意味合いと考えられる。

大学発ベンチャーとは

 経済産業省は、産学官連携施策の一環として毎年「大学発ベンチャー実施等調査」を行ない、大学発ベンチャーの企業情報を掲載したデータベースを公開しており、大学発ベンチャーとして以下の類型を定義している。

大学発ベンチャー(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/start-ups/start-ups.html

図1:大学発ベンチャー数の定義(経済産業省)

 ここで注意したいのは、「大学初ベンチャー」という概念は必ずしも大学での研究成果の技術に基づく事業を行なう企業(いわゆる「研究成果ベンチャー」)に限定されないことに留意する必要がある。また、技術移転ベンチャーの場合には、TLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)とのやりとりが前提となってくると考えられる。

図2:大学発ベンチャーの設立年度および内訳(経済産業省)

 以下に、経済産業省が各年度調査によって把握した大学発ベンチャー数の推移を示す。大学発ベンチャーの数は年々増加しているとともに、多くの大学でベンチャーを設立する動きが活発になっていることが見て取れる。

図3:大学発ベンチャー数の推移(経済産業省)

図4:2020年度における大学ごとの設立企業数(経済産業省)

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