ストリーミングサービスとともにFire TVの成長は止まらないか?
一方、ストリーミング事業者全体に目を向けると、コロナ禍の終焉やウクライナ戦争などの影響で、Netflixの会員数が初めて減少するといった話題もある。また、Disney+のように、コンテンツホルダー自身がサービスを始め、会員数を急速に伸ばした後、料金が値上がりする……といったことも起きている。
これについてラウシュ氏は、将来的に見た場合、IPホルダーが新しいコンテンツサービスを始め、パートナーや特定のハードなどでアクセスできるようにするといった囲い込みが発生する可能性はあるが、長期的な視点で見た場合は右肩上がりの市場であり、コンテンツパートナーとの関係性や多様なコンテンツにアクセスできるようにすることの重要性は増すという見方を示した。
また、スマートテレビが普及し、テレビ単体でストリーミングを見られる状況が整う中、ハードウェアを販売する意味については、Amazonの調査としてFire TVデバイスを購入する意欲は類似した機能を持つスマートテレビのユーザーのほうが高いと説明。市場ではスマートテレビではないテレビがそもそも減少している傾向があるが、見えてくるのは、多くのカスタマーがスマートテレビのUIに不満を持っていることだとした。
インタビューではビジネス的に深く入り込んだ内容や、将来の話については触れられなかったが、ひとつ興味深かったのは、日本におけるFire TV内蔵テレビの拡大について、ヤマダデンキとFUNAI以外の可能性はあるのかについてのコメントに少し含みを持たせている印象があった点だ。
ラウシュ氏は機能拡充にしても、UI変更にしても、カスタマーにメリットがあるのであれば、ゼロベースで様々な選択肢を考えるという一貫した姿勢を示していた。Fire TVの拡充に関しては「Stay Tuned」(チャンネルはそのままで、乞うご期待)というコメントで表現していた。明言はしていないものの、交渉や検討などは進んでいるというニュアンスを感じたがいかがだろうか?
また、国内市場でもここ1~2年、Googe TVやAndroid TVが非常に増えている。製品投入を早めなければ、遅れをとるのではないかという質問についても、競合は顧客のためになるものであり、オプションが多いことは良いこととし、さらにどのタイミングで参入するかというよりもスマートで本当に使いやすい機能を提供することが重要であるという姿勢を崩さなかった。ここからは、これまで積み重ねて実現してきた、Fire TVの機能や使いやすさに対する自信を感じ取ることができるかもしれない。
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