「まるで夢を観ているみたいだった」と語る岸さんのベストバウトの試合は?
キャスター岸 大河さんと振り返るVCT・ZETA DIVISIONの軌跡、今後の日本チームへの期待や課題も聞いた
4月4日から24日までアイスランド・レイキャビクで開催された「VALORANT」の世界大会「VCT 2022 Stage 1 Masters」にて、日本代表として参加した「ZETA DIVISION」が、世界3位という歴史的快挙を成し遂げた(関連記事)。
私はVCT 2022 Stage 1 MastersのZETA DIVISION戦はすべて観戦したのだが、選手の皆さんの活躍に感動したのはいうまでもないが、印象的だったのが視聴者と一緒に喜びを爆発させる公式キャスターの皆さんの姿だった。ZETA DIVISIOがラウンドの勝敗ごとに一喜一憂し、プレイオフ進出が決まった瞬間には涙を流した。
長くからeスポーツシーンを間近で観続けてきたキャスターの方々にとっても、今回の偉業については何か感慨深いものがあったのだろうと感じた。そこで今回は、日本の公式キャスターで週刊アスキーにも寄稿してもらっている岸 大河さんにオンラインインタビューを実施。当時のことについて振り返ってもらったほか、今後のeスポーツシーンについてや、キャスターとしての心境について伺った。
歴史的快挙に素直に感動、一方で3位でよかったという想いも
大会前のベスト4予想の真意とは?
──本日はよろしくお願いします。まずは、ZETA DIVISIOの今回の快挙について、率直な感想を教えてください。
岸 大河さん(以下、岸さん):3位になった試合は、前のLOUD対OpTic Gamingの実況をしたあとに、すぐにタクシーでオフライン会場に行って観戦しました。すごく感動しましたし、よく勝ったなという試合内容だったなというのは覚えています。オフライン会場の熱気もすごかったです。
──時間が経って、改めて3位という順位についてどう思われますか?
岸さん:ZETA DIVISIONの皆さんには失礼かもしれませんが、あそこで勝てていなくてよかったかもなと、今となっては思う部分もあります。
──というと?
岸さん:あのとき優勝しているよりは、負けてさらに強くなったZETA DIVISIOが観たいという想いが出てきたからです。ZETA DIVISIONはもちろん勝って終わりのチームとは思いませんが、より大きな壁が立ちはだかって、それに向かう険しさというのも、彼らをさらに強くするんじゃないかなと思うので。また一段階踏み直して、ジャンプしてほしいです。とはいえ、かなり厳しい道のりだったのに、素晴らしい成績を残されたなとも思っています。
──大会前の「SmashlogTV」にてZETA DIVISIONはベスト4に行けるとコメントされているのを観ました。このとき、どのような理由でこのコメントをされたのでしょうか。
岸さん:もちろん応援もありますが、彼らの強さを考えての意味もありました。半々ですね。また、グループがよかったというのもあります。
──予選グループですか?
岸さん:そうですね。「DRX」は強敵なのはもちろんですが、今まで戦った経験があるので、比較的対策はしやすいかなと当時は思っていました。また、「Ninjas in Pyjamas」もかなり強いチームではありますが、ZETA DIVISIONにも対抗できる力があると予想していました。あとFnaticは、メンバーチェンジを重ねており、コロナの関係で主力のDerke選手がプレイオフ以降ではないと出場できないということもあったので、こちらも勝機はあると考えていました。
──なるほど。ただ、ZETA DIVISIONは初戦でDRXに敗れてしまいました。
岸さん:そうですね。私が予想していたのは、Winnersで勝利してプレイオフ進出&ベスト8、そこから1勝してのベスト4でした。しかし、1回戦でDRXに敗れてあとがなくなってからのFnaticとNinjas in Pyjamasへの勝利、さらにはG2 ESPORTSに敗れてからの、まさかのTeam Liquidへの勝利、さらには、1度敗れたDRXにも勝つというのは、本当に予想外でした。
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