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海外メーカーのバイクを一気乗り! ニューモデルたちはどう変わったのか?

2022年05月07日 12時00分更新

 毎年4月に行なわれるバイクの輸入車試乗会。ドゥカティ、ハーレーダビッドソン、BMWなど、多くの海外メーカーが大磯プリンスホテルに集結した。ほとんどのメーカーがモーターサイクルショー前に試乗会を実施しているため、今回初お披露目のバイクは少なかったが、同日に多数のモデルに乗れるため、それぞれの個性が浮き彫りになりやすい試乗会と言える。今回、僕が試乗できたバイクを紹介していこう。

アメリカバイクの象徴「ハーレーダビッドソン」

水冷化され新しく生まれ変わったハーレーダビットソンスポーツスター

 まずはハーレーダビッドソンの新型「スポーツスター S」。水冷エンジンになり、その乗り味は賛否両論あるが、新しいハーレーの試みを味わってみた。まずはハーレーの命とも言えるV-Twinエンジン。水冷V型2気筒ツインカム、排気量1252ccで最高出力は121HP。トルクも120Nmと十分にあり、良くできた乗りやすいエンジンと言える。高いギヤポジションで走らせていても、アクセルを開ければストレスなく加速していく。

 ライディングポジションは、スポーツスターと言うより別モデルの「Vロッド」に近い感じだ。車体も緩い感じはなく、カッチリとした感じでよくできている。エンジンの鼓動感はまったく感じることができないが、空冷のハーレーを知らない世代には問題ないだろう。フロントタイヤのサイズに関しては、お世辞にも乗りやすいとは言い難い。

 スタイリングに関しては見る人の美的感覚に任せるしかないが、昭和のハーレー乗りには少々ハードルが高いように思える。このバイクをスポーツスターとして認識できる世代には、よくできたバイクと言えるのではないだろうか。

 価格はビビッドブラックが194万8100円、モノトーンが197万8900円。

フラッグシップエンジン、ミルウォーキーエイト搭載の2車

 ハーレーのフラッグシップエンジンと言える、ミルウォーキーエイト 117 twinと名付けられたパワートレイン。現行のハーレーダビットソン最高峰エンジンと言えるだろう。それは単に数字を追っただけでは、語ることはできない魅力的なエンジンだった。多くのハーレーファンが語る、3拍子と呼ばれる鼓動感は薄まっているかもしれない。だが乗ってアクセルを開けた瞬間に、ハーレーダビットソンらしさを感じることのできるエンジンであった。

 もちろんデザインも乗り心地も洗練されているいて、オールドハーレーファンには物足りないかもしれない。だが僕のような「883」所有者には十分に伝わってくるものがる。このことは、車重が50kg以上重いストリートグライドでも感じることができる。それどころかストリートグライドの方が、よく思える部分さえあった。僕がハーレーに乗るなら、ミルウォーキーエイトを積んだ「ローライダー S」以外を選ぶことはないと断言できる。

 価格はストリートグライド STが393万5800円から、ローライダー Sが281万8200円から。

アメリカンビッグツインの老舗「INDIAN」

ウエストコーストのギャングをイメージしたというSCOUT(スコート)

 ハーレーダビットソンと双璧とも言える、アメリカンスタイルの雄「INDIAN」。その歴史はハーレーダビットソンより長く、アメリカンビッグツインの老舗である。今回試乗したのは、「SCOUT」と「FTR-S」だ。

 まずSCOUT(スコート)だが、1133ccとインディアンの中で、最小排気量のエンジンを搭載している。とは言え、水冷V型2気筒は94馬力を絞り出しているため、ライバル車であるハーレーダビットソンスポーツスター(空冷)に比べると遥かにパワフルだ。つまり、かなり走りも楽しいということ。車高の低さからワインディングを走るバイクではないが、街中や高速クルーズを楽しめる1台と言えよう。

 スタイリング的にも非常に洗練されていて、クールに走るアーバンクルーザーと言った感が強い。低重心のせいか車重のわりに取り回しも軽く、引っ張り出すのに苦労する感じはなかった。その存在感は、街乗りやツーリングでも十分に目立つだろう。価格は186万9000円から。

INDIANのスポーツモデルFTRS]

 続いてFTRS。このバイクはパワフルで暴力的な加速をしてくれる。この加速力は、パワーではなくトルクの太さからくることは間違いない。数値的には1203ccで120Nmのトルクを生み出しているらしいが、数値を聞いてもピンとこない。トルクで立ち上がったパワーが、回転の上昇とともに綺麗に伸びていく。息継ぎのない加速の伸びは、心地よくもあり暴力的でもある。

 アメリカンバイクとしては珍しく、スポーツライディングにも向いている。街中から峠、長距離ツーリングまで、オールマイティーに使いたいユーザーにオススメの1台だ。価格は221万9000円から。

イタリア最古のバイクメーカー「Moto Guzzi」

モト・グッツィ V7 STONEは排気量を850ccにアップした

 欧州車でツーリング向きといえば、モト・グッツィ「V7 STONE」かトライアンフ「STREET TWIN(ストリートツイン)」あたりだろうか。まずはV7STONEだが従来のV7が750ccだったのに対し、新型STONEは850ccに排気量をアップ。トルクもパワーも上乗せされたため、乗り味が一変している。750ccだった頃は非力さを隠せなかったが、STONEは十分なパワーを得たように思える。しかもモトグッチ本来の、トコトコと加速する気持ちよさも失っていない。この独特の鼓動感は、縦置きVツインエンジンの成せる技なのだろうか。そしてスタイリングも、まさにモトグッチと言った王道のスタイイングとなっている。刺激の強いバイクも魅力的だが、こう言ってクラシカルなバイクにも惹かれるものがある。価格は123万2000円から。

イギリスの名門「Triumph」

クラシカルなスタイルのストリートツイン

 トライアンフであれば、「ストリートツイン」が最もツーリングに適したバイクだろう。ストリートツインも、900ccエンジンを乗せて生まれ変わった1台だ。思ったよりシャープでパワフルなこのバイクは、クラシカルなスタイリングの見た目からは想像もできないほどスポーティーだ。65psのエンジンパワーも、ツイン独特のトルクの太さが相まって扱いやすい範囲と言っていい。

 唐突なパワーの立ち上がりもないが、アクセルをあければ必要な加速はしてくれる。見た目のクラシカルなイメージといい、トライアンフらしい五感に優しいバイクと言える。価格は116万4500円から。

 今回は、アメリカンバイクとツーリング向きのバイクを紹介した。次回は、ややスポーティーなバイクを中心に試乗レポートしようと思う。

■筆者紹介───折原弘之

 1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。

■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー

■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン

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