Lepton WS3100Z690-A/D4 Stream Boxをレビュー
これ1台で本格ゲーム配信!Core i7-12700K&RTX 3060 Ti&C988搭載ゲーミングPCの実力
CPUの負荷や温度をゲームの実況配信でチェック
CPUはCore i7-12700K、ビデオカードはGeForce RTX 3060 Ti搭載モデルという高性能な構成のため、通常の配信であれば力不足になることはない。ただし、それはあくまで専用の配信用PCとして使った場合だ。PC1台でゲームをプレイしつつ、配信まで行なおうとした場合はどうなるだろう。この状況を再現するため、よくありそうな環境を作ってテストしてみた。
条件を列挙すると、配信ソフトに「OBS Studio」、プラットフォームは「Twitch」、配信画質はフルHD(60fps、x264、6Mbps)を選択。この環境で、比較的重ためのゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させ、通常時とどのくらいスコアーの乖離があるかで、PCの性能余力を判断することにした。CPUやビデオカードの性能に余裕がなければ、配信中のスコアーが激減するか、配信映像のフレームレートや画質に影響が出るだろう。
ただし、これだけではPCゲームの画面しか配信できないし、負荷としてもそこまで厳しいものではない。そこで、HDMIキャプチャー機能を使ったNintendo Switch画面の表示、Webカメラ画面の表示も加えた。大画面でゲームベンチマークを映しつつ、2つの子画面を表示するという、いわゆるメガタスキングな高負荷条件でテストしてみた。
Twitchの配信設定はOBS Studioのウィザード機能を利用。配信の映像エンコードはGPUの支援機能も使えるが、今回はCPU性能への影響を確認したかったこともあり、ソフトエンコードを選択している。
まずは配信もHDMIキャプチャーもWebカメラも使わない素の状態で、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを実行。画質はプリセットの「高品質」、解像度は「1920×1080」、モードは「ウィンドウ」とした。
やや重ためのベンチマークソフトだが、スコアーは11030で評価は「とても快適」。さすがCore i7-12700K+GeForce RTX 3060 Tiの環境だ。フルHDであれば重ためのゲームでも快適だし、多くのゲームはWQHD(2560×1440)でも十分遊べるだろう。また、軽めのゲームであれば4K(3840×2160)も視野に入るだけの実力がある。
このベンチマークソフトを、先の条件でTwitchを使った配信を行う場合、スコアーはどのくらい変化するのだろうか。その結果がこちらだ。
スコアーは10445で、評価は「とても快適」のまま。数値で単純比較しても約5%しか変化しておらず、ゲームへの影響はほぼないと言っていい良好な結果だ。ソフトエンコードを選んでも、まだCPU性能に余裕があるようだ。では、実際各コアにはどのくらいの負荷がかかっていたのか。配信中のCPUの様子をタスクマネージャーで確認してみた。
CPU全体の使用率は大体40~50%あたり。すべてPコアで処理しているわけではなく、4つのEコア(4段目右から4マスぶんが該当)はそれぞれ40%前後の負荷が常時かかっている状態だった。また、Pコアはほぼ実際のコア(左上から数えて1マスおき)しか使われていないが、それでもまだ物理コアで2コアぶん余裕がある印象だ。これだけ余裕があれば、ゲームベンチのスコアーがほぼ変わっていないという結果も納得できる。
念のため、CPU温度もチェックしておこう。CINEBENCH R23では97度というギリギリの温度まで上昇していたが、配信でもこのような温度になっていたら、動作に不安が残る。ということで、同じく配信中のCPU情報をHWiNFO64 Proで確認した。
Twitch配信中でも最大温度は85度までとなっており、十分安定動作の範囲。室温が上昇する夏場でも、CPU温度を気にすることなく配信できると言ってもいい。PC1台でゲーム配信したいというニーズでも、十分活躍できるだけの実力があることは間違いない。
配信のステップアップ用PCとしてはもちろん
ゲーミングやリモートワークPCとしても優秀
プレイ動画と解説音声だけの配信であれば、HDMIキャプチャーボードは必要ない。もちろん、家庭用ゲーム機や別PCのゲーム画面などを配信したい場合は必須になるが、まずはPC1台と配信ソフトで始めてみてはどうだろう。そして、さらに凝った配信をしたいと感じたら、ステップアップのタイミングだ。Lepton WS3100Z690-A/D4 Stream Boxは、そうした本格的な配信を目指す人に最適なPCとなってくれるだろう。
今回の検証ではHDMIキャプチャーボードでNintendo Switchの画面を取り込みつつ、PCにUSB接続したWebカメラの映像をゲーム画面に組み合わせて配信するという実況配信の中でも高負荷なメガタスキングを試した。結果はご覧の通り、CPUの使用率も温度も余裕をもって、安定してフルHDで配信できた。しかも、よくある30fps・低ビットレート配信ではなく、60fps・6MbpsというハイクオリティーなフルHD配信でだ。ストリーマー向けのPCとして申し分ない実力と言える。
そして、HDMIキャプチャーボード搭載PCはゲーム機だけではなく、カメラなどの本格的な撮影機材からの映像も取り込める。Webカメラの画質では満足できないという人なら一眼デジカメを接続し、高画質な配信を行なうというのもアリだ。また、リモートワークのプレゼンでも活躍してくれるだろう。特に、多くの視聴者がいる発表の場であれば、その効果は高まるはずだ。
(提供:サイコム)
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