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マンション各戸までロボットが荷物を届ける実証実験。日本郵便が目指すサービス共通化の課題

5台のロボットがオートロック付きマンション内を自動配送

 実証実験は、2021年2月下旬から約1カ月間、千葉県習志野市の9階建て20戸のオートロックシステム付きマンションで実施。

 配送シナリオは、①配達員がマンションに到着したら、館内の充電ポートで待機しているロボットに配送先の部屋番号を送信。②ロボットがセキュリティゲートまで自律移動し、配達員から荷物を受け取り配送開始。③受取人にLINEアプリで荷物の到着と暗証番号を送信。④ロボットはエレベーターなどを経由して届け先の玄関前まで移動。⑤受取人がロボットのタッチパネルに暗証番号を入力して荷物を取り出す。⑥ロボットは待機場所の充電ポートまで自律移動で戻る――という流れだ。

 エントランスのセキュリティードアにはセンサーを設置し、ロボットが近づいたことを検知すると開錠し、ドアロックが解除されたら配達員がロボットに荷物を積み込み、届け先へLINEで到着のお知らせと暗証番号が送信されるする仕組みだ。

 エレベーターを使った階移動は、エレベーターとの連動機能を使い、自動でエレベーターを呼び、ロボットが乗り込むと行先の階が自動で指定される。

 5台のロボットを配置して運行し、運行管理システムでロボットの配達状況、搭載状況、機体のバッテリー残量、カメラ映像などの遠隔監視を行なった。近接監視の補助員が付いていたこともあり、スムーズに検証が行われ、エレベーターでは住民と同乗することがあったが、問題なく受け入れてもらえたようだ。

建物や各宅配業者と連携した
受取通知システムやサービスの共通化が課題

 今回は受取人への通知にLINEアプリを利用したため、スマホを使っていない3世帯は利用できなかった。サービス実装に至るには、マンション側と協力して全世帯に自動配送できる仕組みを作り、さらに宅配ボックスのようにどの宅配業者でも共通して使えるように各社との連携が必要だ。

 また住人が不在の場合は、ロボットが玄関先で待機するのか、待機場所まで戻って住人が帰宅後に再配達するか、あるいは置き配にするなど、サービスの内容も検討していく必要がある。

 将来的にロボットが普及し、マンションやビル側の設備として設置されるようになれば、日本郵便が利用者としてロボットの使用料を支払う可能性もあり得るという。配達ロボットはマンションのコンシェルジュとして、重い荷物を持ったり、ゴミ出しを手伝うなど、ほかの用途・施設価値向上にも使えそうだ。

 日本郵便では、屋外の配送にはドローンも含めた配送の高度化を目指しており、屋内ロボットは都市部、ドローンや屋外ロボットは中山間地でのラストワンマイルでの実装を想定している。

 また配達だけでなく、郵便物や荷物の引受もロボット活用が見込まれる対象だ。日本郵便が所有する約18万のポスト、提携コンビニ、郵便局窓口などを活用し、毎日決まった時間に同じルートで配送物を回収する業務にも、将来的にロボットが活用できないかも将来的に検討していくそうだ。

 なお、屋外での配送については、奥多摩でドローンと配送ロボットの実証を進めており、似た環境へ横展開していくことを想定している。全国すべての自治体が顧客のため、サービス導入しやすい場所から進めていく方針だという。屋内ロボットについては、今後、商業ビルでの実証も行う予定だ。

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