第365回
新仕様の補助電源は次世代への布石か
RTX 30シリーズの最終兵器、GeFore RTX 3090 Ti登場!消費電力や実際のパフォーマンスは?
2022年03月29日 22時00分更新
同格のRTX 3090と対決させてみる
検証環境を紹介しよう。今回入手したRTX 3090 Tiカードは、ファクトリーOC版のハイエンドモデルであるため、あえてRTX 3090も同メーカー&同格ということで「ZOTAC GAMING RTX 3090 AMP EXTREME HOLO」を準備した。RTX 3090側のTGPは420W、RTX 3090 Ti側のTGPは450Wと、非常に近い点に注意したい。
さらに、VRAMの少ないモデルとしてRTX 3080 Tiも用意したが、こちらは諸般の事情によりFounders Edition(TGP 350W)となっている。ドライバーはRTX 3090 Tiのみレビュー用のβドライバー、その他はGame Ready Driver 512.15を使用している。Resizable BARやHDR(Windows HD Color)も有効化している。
検証環境 | |
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CPU | インテル「Core i9-12900KF」 (16コア/24スレッド、最大5.2GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN 360」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASRock「Z690 PG Velocita」 (Intel Z690、BIOS 7.03) |
メモリー | Kingston「KF552C40BBK2-32」 (DDR5-4800動作、16GB×2) |
ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)、 Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用) |
ビデオカード | ZOTAC「ZOTAC GAMING RTX 3090 Ti AMP EXTREME HOLO」(GeForce RTX 3090 Ti)、 ZOTAC「ZOTAC GAMING RTX 3090 AMP EXTREME HOLO」(GeForce RTX 3090)、 NVIDIA「GeForce RTX 3080 Ti Founders Edition」 |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (80PLUS PLATINUM、1000W) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」 |
ほぼ想定内の伸びに終わった「3DMark」
最初に「3DMark」を使い、グラフィックパフォーマンスをチェックしよう。Fire StrikeはフルHD、Time SpyやPort RoyalはWQHD想定だが、Fire Strike UltraとTime Spy Extremeは4K想定である。
まず、RTX 3090→RTX 3090 Tiの伸びを見ると、Fire Strikeの違いに目を奪われるが、伸び方の比率を見るとFire Strike〜Time Spy Extremeまで、ほぼ6〜7%程度しか増えていない。最も増えているのはPort Royalで、これは約15%伸びている。描画負荷のより重い状況でないと、RTX 3090 Tiは真価を発揮できないことが推察できる。
そして、RTX 3080 Tiも含めて概観すると、GPUの格が上がるごとに徐々にスコアーも伸びている。とはいえ、RTX 3080 Ti FEを100とした場合、RTX 3090 Tiは106〜118程度にとどまっている。今回RTX 3080 TiはFEであることを考えると、ガチガチにOCしたハイエンドカードといえども、3DMarkでは大きな差がつかないことが分かる。
大きいが驚くほどではなかった消費電力
ここで、一番の懸念である消費電力を、システム全体の消費電力として簡単に比較しておこう。ラトックシステム「WF-WFWATTCH1」を使用し、アイドル時(システム起動10分後の安定値)と高負荷時(Time Spyデモ実行中のピーク値)を比較した。
RTX 3090 Tiの高負荷時消費電力はCPU+GPU合算で650W近くまで上がっているが、RTX 3090と比較すると大して伸びていないように見える。ただ、前述の通り比較用に使用したRTX 3090カードもハイエンドOCカードであり、TGPは350W→420Wに引き上げられている。RTX 3090と3090 Tiの差は26Wで、これはTGPの差(420Wと450W)にかなり近い。
TGP 450WのRTX 3090 Tiの消費電力は確かに大きいが、既存のカードでもRTX 3090 Tiに近い電力を消費するカードはある。電源ユニットの出力に余裕を持たか、あるいは8ピン×3のケーブルを変換する際に先端が2分岐になったケーブルは極力使わない(8ピンは独立した3系統を使う)などのノウハウがあれば、特別恐れることはないだろう。
一方、RTX 3080 Ti FE(TGP 350W)とRTX 3090 Ti(TGP 450W)の差は約123W。理論値よりもかなり差が大きいが、これは回路設計の差も入ってくるので“こんな事もあるだろう”程度の所感にとどめたい(RTX 3090をFEではなく同メーカー同格のカードにした理由がこれ)。
高解像度領域で差が広がる「Rainbow Six Siege」
ここからは実ゲームでの検証だ。まず「Rainbow Six Siege」はVulkan APIを選択し、画質は“最高”にレンダースケール100%、そしてReflexは“オン+ブースト”を追加している。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
RTX 3090 Tiは3090に対し4〜8%、RTX 3080 Ti FEに対しては約8〜17%上の平均フレームレートを出した。そして、解像度が高くなるほど差が開く傾向にある。描画負荷の軽いゲームだけに、フルHD〜WQHDでは現時点で最速のリフレッシュレート(360Hz)に対応するディスプレーでも追い切れないほどのフレームレートが出ているが、4Kになると一気に息切れ感が出てくる。それでも、RTX 3090 Tiは3090の8%程度の差にとどまる。
DLSSを使えば8Kでも動く「Rainbow Six Extraction」
Rainbow Six Siegeの姉妹分にあたる「Rainbow Six Extraction」はかなり重めのタイトルになったが、これも試してみよう。画質は“最高”をベースに動的解像度変更機能は固定100%とした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。
描画負荷はRainbow Six Siegeの倍くらい重い印象があるが、おかげでフルHDでもRTX 3090 Tiのパワーが目立っている。対RTX 3090で約6〜8%増、対RTX 3080 Tiであれば約10〜18%増といったところか。4K時のパフォーマンスはさすがフラッグシップ、と言えなくもないが、RTX 3090から見て劇的に変わったと言う感触はない。
ここまで重いと高解像度領域ではDLSSを使った方が良さそうだ。そこで、DLSS“バランス”設定を追加した4Kと、DLSS“ウルトラパフォーマンス”を追加した8K設定でどう動くのか検証してみる。
ただ、8Kはネイティブで出せるディスプレーがないため、ドライバーの設定でDSR(Digital Super Resolution)を有効化し、内部解像度を8Kでレンダリングした後に4Kにスケーリングして出力している。スケーリングの分だけパフォーマンスは落ちるが、描画負荷(特にVRAM消費量)はそれなりに上がるため、RTX 3090 Tiの性能評価には丁度良い。
RTX 3090 Tiなら8K+DLSSでかなり良い感じにフレームレートが伸び、平均87fps出せるという点は素直に凄い。ただ、VRAM搭載量が半分のRTX 3080 Ti FEもそこそこのフレームレートは出ている。8Kプレイ環境であっても、RTX 3090やRTX 3090 TiのようなBFGPUでなければならない、という事になるわけではない。
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