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第46回NEDOピッチ「スマートシティ ver.」レポート

スマートシティ関連のテクノロジーは生活者の課題を解決できるのか

2022年03月28日 11時00分更新

テクノロジーでだれもが介護したくなる社会をつくる
株式会社aba

 介護の現場で最も負担が重い仕事は排泄の処理であるとされている。例えば1施設当たりのおむつ交換業務は1日15時間以上かかっているし、そのうちの20~30%の時間はおむつを開けたが排泄はなかったという無駄な時間であった。しかもおむつから排せつ物が溢れてしまった場合、シーツの交換や掃除のために通常の10倍以上の時間がかかってしまうため、無駄であっても頻繁なチェックが欠かせなかった。

 こういった介護の負担を軽減するため、株式会社abaはおむつを開けずに中が分かる排泄ケアシステム「Helppad」の開発・販売を行っている。Helppadは人間の鼻のようににおいで排泄がわかる排泄センサーで、中を開けることなく排泄の確認ができるため、これまで避けることができなかった無駄なチェック業務を無くすことができる。

株式会社aba 代表取締役 宇井 吉美氏

 Helppadはシートに開けられた穴から排泄に伴う臭気を検知し、それを介護職に通知する。施設入居者の排泄タイミングをパターン化することにより、睡眠・入浴やレクリエーション活動など、生活全般の整理整頓を行うことが可能になる。同時に介護職の負担を軽減し、施設入居者に寄り添った介護を実現しようとしている。

 また、同社は介護業界への事業参入を企画している事業会社向けの伴走支援コンサル「aba lab」を設立した。世界的に見ても注目を集めつつあるケアテック事業への参入企業は増えているが、一方で現場を知らない企業には製品開発が困難で挫折も少なくない。Helppadの開発を通じて獲得した知見を新規参入企業と共有することにより、誰もが安心して介護を受けることができる、介護をすることができる世界を、テクノロジーで作っていくことを目指している。

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