週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

オープンスポーツ「Modulo Neo Classic Racer」のラジコンは若者に刺さるのか?

2022年02月19日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●葉山カナ(@kana_afilia)編集●ASCII

クルマ好きの入り口に最適なのがラジコン

MINI-Z化されたModulo Neo Classic Racer

 さて何故にラジコン化する運びになったのでしょう? ということで担当の方にお話をうかがいましょう。本企画を担当されたホンダアクセス商品企画部の佐伯さんに聞きました。佐伯さんは「もともとクルマは好きで。物を作りたくて入社しました」という転職組。前任者から引き継ぎと言う形にはなるものの、入社わずか半年でModulo Neo Classic Racerラジコン化企画を任されたのだそうです。

MINI-Z/Modulo Neo Classic Racerを担当したホンダアクセス商品企画部の佐伯さん

 「Modulo Neo Classic Racerは、S660 Neo Classicのようにボディーキットとして販売することはできません。ですがせっかく作ったのに、何かの形で販売したいと前任者が思ったようなのです。そこでミニカーとかどうだろう、と考えたらしいんですよ。そこで静岡ホビーショーという展示会があることを知り、休みを取って行ったらしいのですよ」。いくらクルマが好きとはいえ、この熱量、すごすぎます。さすがHondaの人と感心します。

ホンダアクセスの佐伯さん(左)と、話を伺う葉山さん

 「その時、京商さんのブースで「MINI-Z(ミニッツ)」に目が留まったそうです。小さくて動く、これは面白い! と。長い時間ブースの前にいたら、京商の方が声をかけられたそうで。そこで意気投合してプロジェクトが始まりました。私が引き継いだのは、その後からです」というのが事の始まり。佐伯さんによるとクルマのラジコンや模型は、模型メーカーからクルマメーカーにモデル化の問合せをすることから始まるのが一般的で、クルマメーカーから声をかけるのは異例中の異例なのだとか。「今、クルマ離れを言われたりしますよね。クルマそのものだって高い。でもラジコンなら手軽に買えますし、子供もラジコンからクルマに興味を持って、将来クルマに乗りたいと思うようになるんじゃないかな、と考えたようです」と、込められた裏テーマも明かしてくれました。

MINI-Z化されたModulo Neo Classic Racerに触れながら話を聞く葉山カナさん

 ラジコン化で難しかったのは何ですか? と、純情な質問をするかなりん。「まず、私たちはラジコンを売ったことがないので、社内でラジコンを作って売ることへの理解を深めるのが大変でしたね」と佐伯さん。確かにホンダアクセスはカーナビや自動車用フロアーマットは売っても、ラジコンを手掛けるのは初めてです。新入社員にいきなり初めてのことをやらせるあたりも、またHondaらしいといえそうです。

MINI-Z Neo Classic Racerのフロントビュー

MINI-Z Neo Classic Racerのサイドビュー

MINI-Z Neo Classic Racerのリアビュー

 プロジェクトが本格始動し商品化しようとすると、次なる問題が待ち構えていました。「ラジコンの場合、シャシーが共通化されている都合、実車の寸法をそのまま縮小することはできません。ある程度ディフォルメしないといけないのですが、それが大変でしたね」と佐伯さん。設計は基本的に京商側が行ない、ホンダアクセス側のデザイナーがチェックをするという作業で進められたそうです。

コダワリのホイールとストラップ部分

実車のホイールとストラップ部分

 ですが「うちのデザイナーが細かいんですよ」とボヤく佐伯さん。「たとえばこのホイールなのですが、メッキ処理をしているんですよ。MINI-Zでは過去にメッキのホイールはなくて、初めての試みなんです。それゆえ京商さまから“メッキにしないとダメですか?”と何度も言われたのですが、うちのデザイナーのコダワリで……(笑)。あと、フロント部分のストラップ部分も京商さまから“これ再現しないとダメですか”と」。

実車のミラー部分

MINI-Z版のミラー部分

 ほかにもミラーの形状にもこだわったとのこと。しかも、ラジコンゆえ衝撃時でも壊れないようにゴム製にしているから、製造などの面でも大変だったのだとか。こうした小さな、でも大きなコダワリの結果、納得のいく物ができたようです。「まさかクルマの会社に入社して、ラジコンを作ることになるとは思いませんでしたが、面白かったです」と佐伯さんの達成感に満ちた表情が印象的でした。

実車の前でMINI-Z版を持つ葉山カナさん

 「このラジコン、どこで買えるんですか?」と純情な質問をするかなりん。販売はホンダアクセスの公式オンラインストアPayPayモールのみで予約受付中(発売4月28日)で、ネット通販のみという販路によって、売れるかどうか心配だったという佐伯さん。価格も2万5300円と、決して安いモノではありません。

専用ケースに入れた状態

 ですが専用ケースが付属する初回限定の200台は即日予約が埋まるという人気ぶりで、この売れ行きに佐伯さんは大変驚いたのだとか。「もう、売れなかったらどうしようと思っていたので、本当に安心しました」と胸をなでおろしたそうです。

販売促進グッズとしてマスクケースも製作。Honda Racing THANKS DAYで配布したとのこと

 ちなみにマスクケースも製作したとのこと。これは先日開催された「Honda Racing THANKS DAY」などのイベントで配布したとのことで、今後のイベントでも配布されるもようです。カナさんも貰ってニコニコです。

最初は操作に混乱するが
慣れると自分の意のままに動かせる!

MINI-Zで運転の練習をするかなりん

 ということで、カナさんにMINI-Z Neo Classic Racerを運転してもらいましょう。と言いたいところなのですが、MINI-Z Neo Classic Racerは発売前なのでサンプルしかなく、これを壊すわけにはいかないのです。ですので、今回は2代目NSXを運転して頂くことになりました。

真剣な顔で操作をするかなりん

 80年代にテレビ東京の某ラジコン番組を見ていた世代的に、ラジコンは外で遊ぶものとおもっていたのですが、小さなMINI-Zは屋内で遊ぶことができます。寒い中でラジコンを操作するのは……と思っていただけに、カナさん含めて一安心。ということで会議室にパイロンを置いて、8の字で遊んでもらったのですが……。

かなりんの操作で爆走するNSX

 いきなりアクセル(スロットル)全開で壁に正面衝突するカナさん。自損事故発生です。本物のNSXだったら大変ですが、MINI-Zなので大丈夫。気を取り直してハンドルを回すとドリフト! 「何これ、面白い!」とはしゃぐカナさん。「カンタンにドリフトができるのが面白いんですよ」と佐伯さん。MINI-Zには色々な仕様があるそうですが、Neo Classic Racerはあえてドリフト仕様を選択したのだそうです。

 真剣な面持ちでラジコンを操作するカナさん。ほとんど言葉を発しません。カナさんはカナり真面目な性格のようで、壁に激突したのがカナり悔しかったのか、一言もしゃべらず黙々と走行を続けます。次第にパイロンの間で8の字ができるようになったカナさん。10分程度でカナり上達しました。「思い通りに走らせるのって難しいですけれど、逆に思い通り走らせられたら楽しくなってきました」というカナさん。それはクルマも一緒です。

カナさんの小さな手の平に納まるMINI-Z

 こうして少しクルマに興味を持ったカナさんの様子を見て、佐伯さんは笑顔。そこに「クルマ離れをしている若者が、クルマに興味を持っていただければ」という彼女の願いはこういう事か、と感じた部員たちでした。「小さいから、アフィリアの楽屋とかでレースとかしてみたい」というカナさん。その時は取材に行きますよ。

実車とMINI-Zの比較。もともと小さいクルマですが、さらに小さくなってしまいました

 「にしても、Hondaって面白い会社ですね。だって公道が走れないコンセプトカーを作ってショーに出すだけじゃなくて、そのラジコンを作っちゃうんですよ?」。ほかの自動車メーカーでこういう話って、あまり聞かないですね。「耕運機や除雪機、飛行機まで作っているし、Hondaってホントに面白いですね」。そんなHonda車のハンドルをカナさんが握る日は来るのでしょうか? ASCII.jp自動車部はカナさんの入部をいつでも歓迎しますよ!

かなりんが運転する日は来るのか?

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう