近年e-sportsが世間的にも認知されつつあり、家庭用ゲーム機やスマホだけでなくPCでゲームをしようというユーザーが着実に増えている。新たにゲーミングPCを購入や自作しようというユーザーにとって、CPUやグラボ、メモリーをどういう構成にしようか悩みどころではあるが、もう1つ気にしてほしいのがストレージだ。
家庭用ゲーム機でもそうだが、最近のゲームタイトルの容量は半端ない。特にPCゲームとなると、さらに容量の肥大化が顕著で、150GBを超えるゲームもある。しかも、アップデートや追加コンテンツなどを重ねていくと、どんどんストレージを圧迫することになり、余裕を持った構成にしないとすぐに増設や別のストレージへ移動する事態になる。
ゲーミングPCとして販売されている構成でも、その点を考慮しシステム用とデータ用と複数のストレージを搭載するケースが多い。システム用の容量にもよるが、512GB程度では、どんどんゲームをインストールしていくと、あっという間に逼迫。システム自体も不安定になりかねない。ゲーム本体は、データ用へ保管するのが得策だ。
また、大容量SSDを導入するとかなり値段が跳ね上がるため、システム用はSSDでデータ用はHDDというケースも多い。これだと、価格が抑えられるのでその分、CPUやグラボにお金をかけようという考えが働くかもしれない。
しかし、ゲーム本体の保管場所をHDDにすると、ゲームのロード時間にかなり影響が出る。ここはやはり読み込み速度の速いSSDにするのが鉄則だ。ただ、そうなると今度は大容量化しようとすると値段が跳ね上がるジレンマに陥るだろう。
そこでおすすめしたいのが、システム用のSSDは512GB程度の高速タイプにし、データ用はそこまで高速ではないけれど、コスパに優れたSSDを導入することだ。価格の安い大容量SSDとなるとSATA接続の2.5インチSSDを思い浮かべるかもしれないが、それだとHDDと比べても思ったほどの速度の向上は見られない。ここは、M.2接続のNVMe SSDを選ぶのが賢い選択だ。
最近のマザーボードはM.2スロットを複数用意しているものがほとんど。システム用とデータ用で活用すれば、SATAケーブルを利用することなくスッキリした構成になるだけでなく、高速なロード環境を構築できる。
そこで今回データ用ストレージとしておすすめしたいのが、Crucial(クルーシャル)の「P2 SSD」だ。
自社チップ採用で信頼性も高いP2 SSD
P2 SSDは以前紹介したように、QLC NANDを採用した製品で、2TBの製品の場合、最大シーケンシャルリードは2400 MB/秒、最大シーケンシャルライトは1900MB/秒で、耐久性は600TBW。もちろん自社製のNANDチップを採用し信頼性も高く、5年保証と長期保証を実現している。
頻繁に書き換えが発生するシステム用としては、高速アクセスや耐久性の高いTLC NAND SSDを使用するといいだろう。ゲーム用として使う場合は、書き込みより読み込みの方が圧倒的に多いため、ロードを重視して大容量でも価格が抑えられるQLC NAND SSDを利用するといい。HDDやSATA接続のSSDより圧倒的な高速アクセスを実現し、かつ大容量であってもTLC NAND SSDよりもかなり抑えられる、いわばいいとこ取りなのだ。
たとえば、TLC NAND SSDを採用したCrucialの「P5 Plus SSD」だと、2TBモデルが実売価格3万2000円前後だが、P2 SSDの2TBだと実売価格2万円前後で手に入る。もちろんHDDであれば、もっと大容量モデルが購入できる金額だが、ロード時間の違いを考えたら十分元の取れる価値がある。
ゲームのロード時間はHDDに比べてどのくらい速い?
では、実際にどのくらいの違いが出るのか、ロード時間をチェックしてみた。まず、P2 SSDの基本性能をCrystalDiskMark 8.0.4を使って計測してみた。
なお、今回計測したテスト環境は以下のとおりだ
テスト環境 | |
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CPU | AMD Ryzen 9 3950X |
マザーボード | ASRock「X570 Taichi」 |
メモリー | DDR4-3200 32GB (16GB x 2) |
グラフィック | 玄人志向「GG-RTX2070SP-E8GB/DF」 |
ストレージ | Crucial「P2 SSD 2TB」/ 4TB HDD |
OS | Windows 11 PRO 64bit版 |
結果は、ほぼ公称値通りになった。また、「ATTO Disk Benchmark 4.01」でも読み書き速度をチェックしてみた。
結果は、公称値よりも若干高く、シーケンシャルリードで約2.96GB/秒=3031MB/秒(1GB=1024MB換算のため)、シーケンシャルライトで約3.05GB/秒=3123MB/秒となった。PCIe Gen3対応NMVe SSDとしては最速ではないが、SATA接続のSSDに比べれば約4.5倍程度の速度が得られる。
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