第26回
「数千万単位でのカメラ映像を簡単に処理するアリババクラウドのIoTプラットホーム」レポート
日本でまもなく提供、アリババクラウドの映像処理IoT基盤の強み
2021年11月19日にオンライン開催された「IoT H/W BIZ DAY 2021 by ASCII STARTUP」。「数千万単位でのカメラ映像を簡単に処理するアリババクラウドのIoTプラットホーム」と題されたセッションでは、アリババクラウド・ジャパンサービスの薛東明(セツ・トウメイ)氏が登壇し、同社がまもなく(2021年末から)日本市場への展開を開始する映像処理IoTプラットフォーム「Link Visual」について、パートナーエコシステムや先進的なAI技術を含めた優位性、豊富なユースケースを紹介した。
多数のカメラメーカーとのパートナーエコシステム
Link Visualは、アリババクラウドが提供する映像処理向けのIoTプラットフォームだ。大量のネットワークカメラからの映像データをクラウドで収集、AI分析など高度なコンピュータービジョン処理を可能にする。
アリババクラウドとLink Visualの優位性について、薛氏はまず始めに「エコシステムパートナーの強さ」という観点から説明した。ネットワークカメラ市場は年々急成長を続けており、なかでも中国は世界最大のカメラ生産国、そして市場国である。
薛氏が示すデータによると、中国にはすでに10億台程度のネットワークカメラが設置されており、ビジネス向けネットワークカメラ市場における世界出荷台数の半数近くは中国メーカーによるものだという。同市場のトップ10社のうち、1位、2位を含む4社が中国のカメラメーカーだ。
アリババクラウドでは、こうした中国国内のネットワークカメラメーカーに加えて、海外メーカー、さらにはカメラに組み込まれるチップセットのベンダー、AIメーカーなどとの幅広いパートナーエコシステムを構築している。
こうしたメーカーに対してLink VisualのSDKを提供することで、各メーカーはクラウド接続機能や各種AI機能を備えたネットワークカメラ製品/サービス/アプリを容易に開発することができる。「アリババはソリューションをワンストップで提供し、メーカーが開発しやすくなるよう工夫している」と薛氏は説明する。
映像処理IoTプラットフォームとして「4つの優位性」を挙げる
続いて薛氏は、Link VisualそのもののIoTプラットフォームとしての優位性について説明した。次の4つだ。
・大量接続:すでに中国で1000万台規模の大量デバイス接続の実績を持つ
・データの安全性:決済アプリ「Alipay」の顔認証システムなども運用しており、金融レベルのデータセキュリティを保証できる
・低コスト:開発コストも含めてクラウドコストを低減できる
・AI機能:先進技術のR&D組織「アリババDAMOアカデミー」が生み出すAIを用いたソリューションを実装できる
ちなみに「大量接続」については、Link Visualを通じてサービスをグローバルに展開し、大量のデバイスからのデータをアリババクラウドの各地域データセンターで高速に処理しつつ、1つのコンソールで全体を統合管理できる点も特徴だと語る。
今年12月末には、日本国内のデータセンターでもLink Visualプラットフォームを提供開始予定であり、カメラの映像データなどを国内で蓄積できるようになる。これをふまえ、薛氏は日本のカメラメーカーにもぜひパートナーエコシステムに参加してほしいと呼びかける。
「日本メーカーのカメラは世界トップレベルの映像処理技術を持っている。アリババでは、そうしたカメラメーカーのビジネスをグローバルに展開していくお手伝いができると考えている」(薛氏)
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