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正しいプロセスを身につけて効率良く英語を学ぶフェーズ6の学習方法

英語を正確に話し、書くための6つのアウトプットトレーニング

 社会人になってから「英語をマスターしたい」と、一念発起して勉強を始めたものの、思うように身に付かず、中途半端なまま学習を止めてしまったり、せっかく通っていた英会話教室に行かなくなってしまったりする人は多いのではないだろうか。

 そこで本連載では、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」や、英語学習コーチングサービス「STRAIL」などを運営する株式会社スタディーハッカーに取材し、目標達成まで挫折せず効率的に進められる英語の学習方法を紹介する。

 

 これまで紹介したフェーズ0からフェーズ5では単語や文法、リスニングなどの「インプットスキル」を習得してきた。今回から学ぶフェーズ6からフェーズ8では、スピーキングやライティングなどのスキルを磨いていく。各フェーズの詳細については、連載の初回で解説しているので、併せて参考にしてほしい。

フェーズ0:基本文法・基本語彙(基礎知識)

フェーズ1:ゆっくり読めば理解できる(リーディング)

フェーズ2:すばやく読める(リーディング)

フェーズ3:音声知覚ができている(リスニング)

フェーズ4:理解の処理がすばやくできる(リスニング)

フェーズ5:記憶にとどめておける(リスニング)

【今回の記事】フェーズ6:正確に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

フェーズ7:流暢に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

フェーズ8:複雑に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)

 

アウトプットのフェーズで習得する内容は?

 前回の連載でフェーズ5に到達した人は、聞き取った内容を記憶にとどめておけるようになり、話しかけられた内容に応じた返答や意見の提示、問題解決といった次のアクションに移ることができるようになった。このフェーズ5までで、インプットの学習は一段落。今回紹介するフェーズ6からは、英語を「話す」「書く」といったスキルを「アウトプットスキル」として解説する。改めて紹介すると、フェーズ8までの構成は次のようになっている。

・フェーズ6 正確に話し、書くことができる
・フェーズ7 流暢に話し、書くことができる
・フェーズ8 複雑に話し、書くことができる


 この3つのフェーズは順番に進めるのではなく、サイクルとして同時にバランスよく回してくことが重要だ。

 例えば、フェーズ7の流暢さが必要な場面では、必然的にフェーズ6の正確さは落ちてしまう。逆に正確に話そうとすると流暢さは下がってしまう。「最終的には、どのフェーズも高いレベルで習得するのが理想ですが、学習をする過程では、自分がどのフェーズを学習するかを考え、目的意識を持って取り組みましょう」と同社常務取締役 兼コンテンツ戦略企画部部長の田畑翔子氏はアドバイスする。

株式会社スタディーハッカー 常務取締役 兼コンテンツ戦略企画部部長 田畑 翔子氏

正確に話し、書くための6つのトレーニング方法

 前述した通り、各フェーズに優先順位はないが、今回は、フェーズ6をターゲットに具体的な学習方法を紹介する。なお、「英語を正確に話したり書いたりするためには、アウトプットした内容の正確さを判定してフィードバックしてくれる存在が重要です」と、同社コンテンツ戦略企画部の堀登起子氏は話す。言語習得の専門家にチェックしてもらえれば、正しい方法で効率的に学習を進められる。

 独習する場合は、解答で正確さを細かくチェックできる教材を探し、正確にできるまで繰り返す方法もある。合わせて、次に紹介する6つの学習方法を試してみよう。

株式会社スタディーハッカー コンテンツ戦略企画部 堀 登起子氏

1.独り言をつぶやき、自分自身をモニタリングする

 アウトプットのフェーズでは、自分のことを話したり、書いたりすると効果が高いといわれている。

 最終的に英語を使うときには、日常生活における自身の考えや行動を言語化することになるため、自分について話すのはとても実践的なトレーニングになるわけだ。つぶやいた内容について、「いまの言い方は間違っていたかもしれない」「もっとこんな言い回しができたのでは?」など、自分で自分をモニタリングしてフィードバックもできる。

 行動や感情について実況中継をするイメージで声に出したり、見聞きしたものについて感想を述べてみよう。実際に声を出すのが難しければ口だけ動かしたり心の中で唱えたりするだけでも構わないので、歩いている最中や通勤電車の中など、場所を問わず手軽にできる。

2.英文日記を書いて、気づきの効果を高める


 自分のことについて書いて、「気づき」を得るという意味では、英語で日記をつけるのも効果的だ。

 大切なのは、書きながら「これはどう書けばいいのだろう?」「この言い回し、合っているかな?」などと疑問を持つこと。疑問が残る箇所はインプットすることで習得が効率化する。1日5〜10分、時間を決めて習慣づけられるとベスト。英語で話して録音しておく「ボイス日記」でもOKだ。

3.自分のスピーチを録音し、スクリプトに起こす


 自分のスピーチを録音して聞いてみたりスクリプトに起こしたりするのも、気づきを得るには効果的だ。話しているときには気づけなかったミスを明らかにできる。

 発見した気づきを確実に活かせるようにインプット学習に取り組めば、自分なりの学習サイクルを作ることもできる。

 例えば、「趣味は何か」「どんな仕事をしているか」などの日常的なトピックについて録音した内容を聞き返して、語彙知識が不足している分野を見つけたら、単語帳やフレーズ集で重点的に補完しよう。

4.音声入力や翻訳サイトを使い、正確さをチェックする


 上級者にオススメなのは、GoogleアシスタントやSiriなどの音声入力を利用すること。録音してスクリプトに起こす手間が省け、英文の正確さだけでなく発音もチェックできるため一石二鳥だ。

 さらに、翻訳サイトで書いた英文を日本語に翻訳する手もある。あまり複雑な文でなければ、高い頻度で翻訳してくれる。意図したことが正確に伝わるかを確かめる方法の一つとして利用できるだろう。

5.ディクトグロスで、知識の穴を埋めていく


 「ディクトグロス」とは、メモを取りながらまとまった英文を聞き、あとから記憶やメモを頼りに英文を書き起こしていくトレーニング。

 聞いて理解した英文を頭の中で意味をもとに再構築し、正確に書き出すには、語彙や文法の知識が欠かせないので、どんなインプットを強化すればいいか明らかになる。英語音声は、初めて聞く内容でも既習のものでも構わないが、複雑な文法構文を含むものがオススメだ。

6.プロセスライティングで、自ら考えて書き直す


 正確に英語を書くための勉強法として、いわゆる「添削」がある。講師が学習者の英文を細かくチェックし、間違いを訂正して返す方法だ。もちろん、それ自体は間違った方法ではないが、研究によると正しい答えをただ教えられるよりも、学習者自身に間違いを訂正させる方が、学習効果が高いという。

 そこで、オススメなのが「プロセスライティング」。間違いに対して添削者が正解を教えるのではなく、ヒントを提示する方法だ。

 例えば、時制が間違っている場合は「Tense」、冠詞が違う場合は「Article」などとヒントだけを記入し、「どう直せばいいのか」を学習者自身に考えさせて再提出を促すのだ。このプロセスを複数回繰り返していくと、学習者の意識はどんどん自分が間違えやすい箇所に向くようになり、次にライティングやスピーキングをする際に、自分をモニタリングして正しくアウトプットできるようになる。

 今回は、フェーズ6の学習方法について紹介した。次回の連載では、フェーズ7「流暢に話し、書くことができる」ようになるための、具体的なトレーニング方法を解説する。
 

■関連サイト
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