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元ウォーカー総編集長・玉置泰紀の「チャレンジャー・インタビュー」番外編

瀬戸内国際芸術祭2022の企画が発表 テーマは「海の復権」

 瀬戸内国際芸術祭2022の企画発表会が11月9日、日本橋ホールで行なわれた。今回の瀬戸内国際芸術祭は、「海の復権」をテーマに掲げ、「美しい自然と人間が交錯し交響してきた瀬戸内の島々に活力を取り戻し、瀬戸内が地球上のすべての地域の『希望の海』となること」を目指す。公式サイトも芸術祭仕様にリニューアルされた。メインのビジュアルには島の達人がフィーチャーされている。

 瀬戸内国際芸術祭は2010年にスタートし、トリエンナーレとして3年に一度の開催で2019年まで過去4回開催されていて、今回が5回目。前回の瀬戸内国際芸術祭2019の総来場者数は、117万8484人を数える国内屈指の規模の地域アートフェスで、海外の人気も高く、インバウンドの来訪者も多いのが特徴。

 玉置は、2010年のスタートからすべてに参加している。総合ディレクターの北川フラム氏の主催する地域アートには、越後妻有の大地の芸術祭、長野県大町市の北アルプス国際芸術祭、石川県珠洲市の奥能登国際芸術祭と足を運んできたが、それぞれの土地の成り立ち、文化や歴史、そして近年は食にまで射程を広げた、まさに「お祭り」と言ってもよい催しになっている。

「展示される」アートとは一線を画した、参加して入り込む、地元の人たちにとっては、社会運動でもあり、来訪する人には、五感で感じる、見るというよりは体験する旅型芸術として、国内だけでなく世界的にも類を見ない芸術祭として大きな評価を得ている。

 そして、2022年の会期は、3期、105日間になる。


  2022年
  4月14日[木曜日]—5月18日[水曜日]35日間


  2022年
  8月5日[金曜日]—9月4日[日曜日]31日間


  2022年
  9月29日[木曜日]—11月6日[日曜日]39日間

 会場は、直島/豊島/女木島/男木島/小豆島/大島/犬島/沙弥島[春のみ]/本島[秋のみ]/高見島[秋のみ]/粟島[秋のみ]/伊吹島[秋のみ]/高松港周辺/宇野港周辺/広域・回遊。12の島と香川県、岡山県の港湾部などで開催される。

コロナ禍を逆にチャンスに
行って良し来られて良しの旅型芸術に

 発表会にはサポーター企業やプレスなどが集まり、まず、瀬戸内国際芸術祭実行委員会会長の浜田恵造・香川県知事が冒頭のあいさつをし、続いて、総合プロデューサーの福武總一郎・公益財団法人福武財団理事長がリモートで、コロナ禍を乗り越えて実施される芸術祭の意義や意味を訴え、コロナ禍を逆に新しい社会を作っていくチャンスにするのだと語った。

浜田・香川県知事

福武・公益財団法人福武財団理事長

 続いて、総合ディレクターの北川フラム氏が、芸術祭の概要を説明した。「海の復権」というテーマのポイントとして6項目を説明。アート・建築/民俗・生活/交流―日本全国/世界各地の人々が関わる/世界の叡智が集う/次世代を担う若者や子供たちへ/縁をつくる、と言う項目の其々のめざすことについて語った。

北川フラム氏

海の復権 

 また、今回の芸術祭の参加アーティストについては、国内外のスター、アーティスト100人と連絡を取っていて、1月をめどに固めていくと語り、現在、参加が確定しているディフェンスラインにして増やしていき、最終的には100人前後の参加になるだろうと見通しを語った。今回の芸術祭の大きな目標として、「行って良し来られて良し」の芸術祭であり、アフターコロナ、withコロナの芸術祭のモデルを作るのだと強調した。

 過去4回に加えて、今回の新しい展開についても説明し、移動・会食・会話が制限される中、写真や映像だけでは伝わらない、来てみないとわからない魅力を五感全体で感じる旅型の芸術を探っていくとした。

 また、チケットについても発表、今回からデジタルパスポートも導入、この日から「瀬戸芸デジパス」発売を開始した。
https://setouchi-artfest.jp/visit/passport/

 今回、参加を表明したアーティストから一部のアーティストを紹介。

・ファイグ・アフメッド

 1982 年、アゼルバイジャンのバクー生まれ。2007 年のヴェネチア・ビエンナーレにアゼルバイジャン代表として参加するなど、国際的に活躍しているアーティスト。彼は、伝統的 な装飾工芸やカーペットなどの視覚的言語を現代的な彫刻作品に応用したコンセプチュアルな作品で知られている。彼の作品は、伝統や固定観念を分解することで古代の工芸品を再 構築し、新たな視覚的境界を作り出そうとする。

Photo by Hadija Aliyeva

・木ノ下歌舞伎 (監修・補綴:木ノ下裕一、演出・振付:白神ももこ)

 歴史的な文脈を踏まえつつ、現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、主宰である木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するというスタイルで、京都を中心に2006年より活動を展開している。

撮影:東直子

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