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ターゲットを絞った戦略に舵を取った「Xperia 1 Professional Edition」

2021年11月22日 10時00分更新

 2020年の「Xperia L4」以降、ラインナップの統廃合とともに、国内未発売のXperiaはなくなってしまいました。それはむしろすべてのXperiaを国内で手に入れられるようになった事の裏返しです。今回から国内版「Xperiaヒストリー」の復活ということで、「Xperia 1」以降、日本で発売されたXperiaたちを紹介します。

Xperia 1 Professional Edition

 ということで、2019年12月に発売された「Xperia 1 Professional Edition」からXperiaの歴史を引き継ぎたいと思います。

 2019年夏にドコモ、au、SoftbankからすでにXperia 1が発売されていましたが、遅れること数ヵ月、ソニー自ら特別仕様のスマートフォン「Xperia 1 Professional Edition」を販売します。Xperia 1と同じネーミングながら、うしろに“Professional Edition”というネーミングが付くとおり、特殊なカスタマイズがされたモデルになっています。

 それが「映像制作や写真撮影、モバイルeスポーツ」といったクリエイターやプレイヤーの創造性を高めるための3つの特別な仕様となります。

 Xperia 1は21:9シネマワイドディスプレーという映画館でみる横長比率の画面に、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応した4K(3840×1644ドット)有機ELのコントラストの高さや暗いシーンの階調表現、広い色域の表現力をもつ高画質に特化したディスプレーが特徴です。UHD(Ultra HD)の放送規格 ITU-R BT.2020の色域や、10bit信号に対応するという、映像制作者の意図を忠実に再現する画作りで映画を視聴できます。

 「Xperia 1 Professional Edition」では、出荷時点でカラーキャリブレーションを行ない、輝度ムラや色ずれを補正、白の均一性や安定性をはかることで、ソニーのマスターモニター「BVM-X300」の色温度と同期をしています。複数台で運用するような場合でも個体差による色味の相違もなく、映像の制作現場でのモバイルモニターとして使うことも想定されています。

 また、Xperia 1ではオリジナルの色域を拡張した色で表示する「スタンダードモード」が標準設定になっていますが、Xperia 1 Professional EditionではHDR規格、 BT.2020の色域/10bit入力に対応した「クリエイターモード」が出荷時設定となっています。

 モバイルモニターとしての使い勝手を考慮して、出荷時でホーム画面の横向き表示がオンに、Xperia 1の代表的な機能である「サイドセンス」や「ダイナミックバイブレーション」はオフに。これらはあくまでも出荷時での設定のもので、あとで設定を変更できます。

 Xperia 1 Professional Editionの本体サイズは、約72×167×8.2㎜、重さは約178gと、Xperia 1とまったく同じです。ただ、カラーバリエーションは定番のブラックのみに限定されています。スペックは、SoCがSnapdragon 855、メモリー6GB、ストレージ128GBです。国内キャリアからで販売された「Xperia 1」はストレージ容量が64GBでしたが、Xperia 1 Professional Editionではその2倍の容量を搭載していたのです。

 防水(IPX5/8)、防塵(IP6X)や指紋センサー(電源キーとは別)、NFCといった定番の機能は引き続き採用されていましたが、FeliCa(おサイフケータイ)とフルセグ・ワンセグには非対応。目玉としてはSIMスロットが2回線利用できるデュアルSIMに対応したこと、そしてモバイルeスポーツプレイヤーのために、USB Type Cの有線LAN接続に対応し、変換コネクターを別途用意することで、1000BASE-T相当の有線LAN接続が可能になっていました。

 カメラ構成はXperia 1と同じで、中央からタテに3つ、トリプルカメラを搭載。それぞれ約1220万画素のイメージセンサーで、上から26mm/F1.6/標準、52mm/F2.4/望遠、16mm/F2.4/超広角と並んでいます。

 動き回る被写体の瞳を追いかけてフォーカスをあわせ続ける「瞳AF」、AF追随とAE(自動露出)追従しながら10コマ/秒の高速連写といった機能もXperia 1と同等。動画撮影機能として、4K HDR動画撮影や、フルHDのスーパースローモーション(960コマ/1秒)撮影などクオリティーの高い動画を残せます。また、21:9のディスプレーを活かした撮影方法のひとつとしてソニー独自のシネマ撮影専用機能「Cinematography Pro」アプリもあります。

 フォトグラファーの使用を想定して、ソニーのデジタル一眼カメラ「αシリーズ」を使用している人にはなじみのある 「Imaging Edge Mobile」と「Transfer&Tagging add-on」がプリインストールされています。Imaging Edge Mobileアプリは、ソニーのカメラから写真や動画をワイヤレス転送することができます。「Transfer & Tagging add-on」は、一部のαシリーズもしくは「Xperia 1 Professional Edition」で撮影した静止画に、音声もしくはテキストでタグ・キャプション入力 (IPTC メタデータ) することができます。

 スポーツや報道カメラマンなど、現場から撮影データを即納したい場合でも、PCがなくても「Xperia 1 Professional Edition」から高速納品ができます。

 大容量の128GBストレージや2つの通信を同時利用できるデュアルSIM仕様など、国内モデルにはない新たなチャレンジ。 法人向けの窓口を設けて、法人に対する販売とサポートも設けるなど積極的に新たな販路の模索など、ソニーの中で何かが動き出していることを感じ取れた事も事実。

 Xperia 1 Professional Editionのプロ仕様の機能は、さすがに万人受けするモデルとは言い難いものでしたが、ここから先国内SIMフリーモデル投入の大きな第一歩となった機種となりました。

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