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なぜ後発なのにゲーミングディスプレー市場で人気なのか

「すべての面で万全を期す」GIGABYTE製4Kディスプレーの秘密

2021年11月19日 11時00分更新

 コロナ禍による巣ごもり需要の増加と相まって、近年爆発的に増加しているゲーミングディスプレー市場。PCのみならず、PS5などの家庭用ゲーム機でも高解像度&高リフレッシュレート化が進み、もはや昔ながらのフルHD/60Hzモデルは定番から外れつつあるのが現状で、各社の主戦力もゲーミングモデルに移行しつつある。今回はそんな競争が激化しているゲーミングディスプレー市場で発売即日完売するほどの超人気製品もリリースしているGIGABYTEにインタビュー。そのこだわりについて詳しくうかがい、人気の秘密を探った。

2019年からゲーミングディスプレー市場に参入

ーーGIGABYTEと言えば、日本ではマザーボードやビデオカードのメーカーというイメージなのですが、2019年からはゲーミングディスプレー市場にも参入ということで、その経緯をお聞かせください。

GIGABYTE ゲームを本気でプレイしているプレイヤーの中には、自分のニーズを満たすゲーミングディスプレーを見つけることができずにいる人もいます。近年、弊社は様々なゲーミング製品に取り組んでおり、プレイヤーが満足していない部分を埋めたいと考えました。そこで、すでにマザーボードやビデオカードなどではゲーミング製品を出していたのですが、ディスプレー市場でもプレイヤーニーズを満たせる製品が開発できるのではと考え、参入しました。また、既存の市場と差別化を図るために、新技術の開発に多くの時間と労力を費やしてきました。

ーー具体的にはどんな技術でしょう?

GIGABYTE 例えば、2019年に参入した最初の製品の「AORUS AD27QD」から始まった独自のノイズキャンセリング機能です。プレイヤーがヘッドセットをディスプレーに接続することで、チームプレイを大幅に向上させることができます。チームメイトはキーボードの音に気を取られて敵の足音が聞こえなくなることもなく、より戦場に集中できるようになります。

27型IPSのゲーミングディスプレー「AORUS AD27QD」。2019年3月発売で、初出価格は6万9800円前後

AORUS AD27QD発表時のスライド資料。ノイズキャンセリング用のマイクをロゴ下部を含む3ヵ所に内蔵している

ーーノイズキャンセリングマイクがディスプレー本体に内蔵している製品でしたね。面白いアプローチだなと思ったのを覚えております。

GIGABYTE そうですね。後期のハイエンドモデルではさらにノイズキャンセリング機能をアップグレードしております。バージョン2.0ではプレイヤーがヘッドホンを装着していなくてもノイズキャンセリング機能が使えるようになりました。また、エイムスタビライザーやブラックイコライザーなどのソフトウェアやファームウェアの機能といった、弊社のゲーミング製品のこだわりも多くのプレイヤーのみなさまに体験していただきたいと思っております。

ーーゲーミングディスプレーを開発する上で特に苦労した部分はどこでしょう?

GIGABYTE 製品開発で最も難しい点はプレイヤーのニーズを理解し、ほかとは違う実用的な製品を設計することです。これまでにない体験をプレイヤーに提供するためには、多くの場合は既存のハードウェア技術を克服し、新しい設計フレームワークを構築する必要があります。そして、そんな多くの設計アイディアの中から最も実行可能で有用な機能を選び、それを実装して最適化することが重要になります。

ーー具体的にはどんなアイディアがあったのですか?

GIGABYTE 「AORUS AD27QD」を開発した時の話になるのですが、「画面に話しかけてOSDを使わずに画面機能を調整できる」という斬新なアイディアがありました。実現は困難でしたが、そこから自社の研究開発力でアクティブノイズキャンセリングやOSDサイドキックなどの実用的な機能に発展させました。また、市場の動向をいち早く把握し、最新の仕様を早めに提供するための努力も怠りません。HDMI 2.1対応4Kディスプレーといったユーザーが心待ちにしている製品も早い段階でリリースできました。

Windows上でOSD設定ができる機能「OSDサイドキック」

HDMI 2.1対応4KディスプレーならPS5を4K/120Hzで超快適に遊べる

ーーHDMI 2.1対応4Kディスプレーは市場の反応も良く、確か速攻で売り切れて僕は買えなくて悔しい思いをした覚えがあります。

GIGABYTE 供給量は歯がゆい部分がありますね。2020年以降は世界的に材料が不足し、材料不足による生産能力の低下がしばしば発生してます。しかし、厳しい状況下でも市場の需要に合わせて幅広い製品を安定して提供できるように準備していきたいと思ってます。

ーー台湾はディスプレーメーカーが多く、競争も激しいと思います。後発のメーカーとして、他社と一線を画すウリやこだわりを教えてください。

GIGABYTE 最初の製品である「AORUS AD27QD」の場合、長い時間をかけて製品を研究し、発売前にすべての面で万全を期すために1年間の計画を立てました。この製品に限った話ではないのですが、事前の市場調査はもちろん、社内のプレイヤーとの綿密な打ち合わせを行い、市場の期待に応えられる製品の開発に努めてきました。弊社の主要製品ラインの強固な基盤、ブランドに対する消費者の信頼、そして製品へのこだわりは大事にしています。また、ハードウェア技術とソフトウェアの革新的な研究開発や、消費者に幅広い選択肢を提供するための様々な製品ラインの立ち上げも怠っていないので、競争の激しいディスプレー市場の中で際立った存在感があるのだと考えています。

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