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2000万件に迫る肌のビッグデータ、ポーラが考えるDXとは?

2021年11月01日 09時00分更新

情報技術はツールであり、その中心にいるのは人

 ポーラでは、「顧客コミュニケーションの進化」と「営業・販売の進化」という2つの観点からDXに取り組んでいるという。だが、デジタルの取り組みにおいても、中心に「人」を据えている。

 「情報技術はツールであり、その中心には人がいる」と及川社長は前置きし、「デジタルにおいても、人の力は大切である。いまの状況を捉えることはデジタルの力で行い、お客様のウィルの発掘や、未来への期待づくり、未来に向けて寄り添っていくことは人の力でやっていく」とする。

 ポーラは、コロナ禍において、デジタルの力を積極的に活用した。

 ビューティーディレクターが、Zoomを活用して、数10人から100人強の顧客コミュニティに向けた情報提供を開始したのは、その一例だ。

 「ビューティーディレクターは、売り場や自宅から、直接カウンセリングをしたり、美容情報の提供を行ったりしている。様々なコミュニティに対して、最適な情報を、迅速に提供できた」という。

 また、顧客に対する情報発信には、公式SNSやインスタライブを活用するだけでなく、ルールを徹底しながら、店舗ごとのSNSの発信を強化していったという。

 「化粧品は季節とともに動くビジネス。同じ日でも、北海道から沖縄まで、様々な季節感がある日本では、地域ごとに最適なお手入れの方法が違ってくる。東京一極からの情報提供ではなく、地域ごとの情報提供ができるのは有効である。地域社会を『人肌』で感じることができる店舗からのSNS発信は、有効な情報提供手段になった」とする。

 さらに、全国のビューティーディレクター同士が、Zoomを積極的に活用。90歳を超えたビューティーディレクターやショップオーナーも積極的に参加し、顧客体験に関する情報共有をリアルタイムで進めることができたという。

 「かつては、ビデオを撮影し、これをそれぞれに見てもらうことで情報共有をしていたが、オンライン化で大きく進化し、メリットを生んでいる。また、店舗から半径数kmの範囲にしかアプローチできなかったものが、オンラインの活用により、遠方のお客様にもカウンセリングができるようになった。オンラインによって、ビジネスチャンスが拡張している」と語る。

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