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【連載】「たらいの水」と町のお手伝い

2021年09月21日 11時00分更新

前回の記事はこちら。
【連載】横浜中華街で絶対に外さない店選びのコツ

※過去の連載記事はこちら:横浜中華街流行通信~地元発のディープな街歩き~

 町の仕事をしていると「何のためにやってるの?」とか「なんか得することあるの?」と聞かれることがあります。「えらいねー」と褒めてくださる方もいる一方で、腹の中で「こいつ、ただのお人好しだな…」と思っている方も実は多いんじゃないかなと思います。

 町の仕事と自分の本業(中華街発のアパレルブランド「ROUROU」)との割合は6対4くらいで、町の仕事の方が多いと思います。ワクチンの職域接種期間中は、朝から翌朝までの缶詰状態が続き、会社にもほとんど行けませんでした。本業でもここまで徹夜をすることは滅多にありません。

 話はそれますが、ワクチンの職域接種は1回目が事故もなく終了となりました。横浜中華街を中心に、あちこちの町にも声をかけて、15の商店街や団体、100近い港湾関係の会社を受け入れて3000を超える方達に接種をすることができました。エリア全体の集団免疫の獲得につながり、このエリアで働く人や訪れる方たちの安心安全につながればいいなと考えています。接種を受け入れたあちこちの町からもボランティアの方たちが来てくださって、なかには理事長自ら人員整理をしていただいたりもして、地域連携の絆がより深まったと実感しています。お手伝いをしていただいた方々に、この場をお借りして感謝を申し上げます!

 話を戻して…。町の仕事をしていても、もちろんお給料がもらえるわけではありません。むしろ支出の方が多いくらいです(笑)。自分の本業やプライベートの時間を削ってまで、なんのために町の仕事をやっているのか、明確な答えを僕はまだ持てていません。ただ、ある方から20年ほど前に言われた言葉が僕の行動の支えになっています。

 その言葉が、今回のこの連載コラムのタイトルにした「たらいの水」です。ある時期の僕は、ビジネスがなかなか大きくならないことを悩んでいて、先輩経営者としてその方に相談をしました。その方は売上規模100億のビジネスをしていて、きっと僕の会社の経営に対する改善点やアイデアやヒントをもらえるだろうと思ったからです。具体的な施策を期待した僕の質問に対して、その方から返ってきた言葉は意外なものでした。

「”たらいの水”って知ってるかい?」

 その方は僕に逆に質問をしてきました。首を横に振る僕にその方は続けました。「お前の質問はいわば、たらいの中の上手な水のすくい方を俺に聞いているのかもしれないけど、そんなものは教えられない。それに乾きが癒えるのに必要な水は人それぞれ違う。わずかな水で足りる人もいれば、欲深い人は、どれだけ飲んでも満たされない」。そのようなことを言われました。わかるようなわからないような…、いやちょっと何言ってるかわからないような回答でした。その方は続けます。

「大切なことは水をすくわないことなんだ。すくおうと思って水をかき集めても、手前のたらいの壁にぶつかったり、指の間からこぼれたりして、いくらも口の中には入らない」。お水はお金のことを比喩的に表しているのかな、くらいはわかってきました。

「だから水を向こう側に送るんだよ。そうすると、たらいの向こう側にぶつかって大きくなって、手前に戻ってくるんだよ」。あとから調べたところ 「たらいの水」は、二宮尊徳の言葉だそうです。

「具体的に何したらいいんですか?」と聞いたら「例えば地域活動とかだよ。世のため人のために一生懸命汗をかきなさい」と言われました。その後、その方に勧められるままに町内会に入りました。法人会にも入りました。今、僕が一番時間を費やしている横浜中華街発展会の理事も務めることになりました。

 その方とは、現在の中華街発展会協同組合の理事長でもあり、横浜中法人会の会長でもある高橋伸昌さんです。豚まんで有名な「江戸清」という会社の会長さんでもあります。

 僕、一生懸命水を送っていると思うんですが、全然まだ戻ってきていません。そのことについて不平を言ったこともあるのですが、「お前のたらいはそれだけでっかいんだよ。もっと一生懸命水を送りなさい!!(笑)」と逆に怒られました。

 これ、壮大な詐欺なのでしょうか?(笑)

 いや、町の仕事をしていなかったら、こんなに横浜のあちこちの町に友達はできなかったでしょうし、自分の事業をやっているだけでは経験することができない貴重な体験をたくさんさせていただきました。お金という形ではなかったですが、たらいの水は別の形で既に少しずつ戻ってきているのかもしれませんね。これからも身の丈にあった活動をして、自分のできる範囲でお手伝いができればいいなと考えています。

 写真は、徹夜明けの中華街や深夜の中華街です。朝まで仕事していると、見慣れた町の新しい景色を見ることができました。

 さてさて、お待ちかね横浜中華街 #ボス飯 コーナーです。今日は“鉄板”行きます。老舗のひとつ、「重慶飯店」さんの担担麺(1250円)。通年で味わえる温かい担担麺のほか、夏季限定で冷やし担担麺もあるんです。冷やしたやつもこれまたおいしいんですよね(※冷やし担担麺は現在販売終了)。ただ辛いだけでなく、さまざまなスパイスを組み合わせているので、奥深い複雑な辛さです。山椒も数種類使っているんだとか。トマトの酸味が後味をさわやかにしてくれます。辛さのリクエストができるのがさらにGood!!

冷やし担担麺(夏季限定※2021年は6月21日~9月3日、平日ランチメニュー)1320円。デザートまたはコーヒー付き

担担麺(1250円)、担担麺ランチ(平日ランチ限定1320円)。焼売2個、デザートまたはコーヒー付き。通年味わえる

◆店舗DATA
店名:重慶飯店 新館
住所:横浜市中区山下町77 ローズホテル横浜内1F【開港道】
電話:TEL045-681-6885
営業時間:11時30分~23時(LO.22時)
     テイクアウトは~20時(LO)20時30分引渡し
※現在新型コロナウィルスの影響のため営業時間に変動あります。
 事前にお電話にて直接お問合せ。
休み:なし(火曜は14時~16時30分LO)
重慶飯店 新館HP:https://www.jukeihanten.com/shinkan1f/
重慶飯店(食べログ)

文/石河 陽一郎

いしかわ よういちろう。1972年生まれ。株式会社ロウロウ・ジャパン代表取締役・総合プロデューサー。横浜中華街発展会協同組合専務理事。茅ヶ崎出身、横浜市在住。幼少期をシンガポールで過ごす。趣味はシステマ、焚き火。

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