Tiger Lake-H世代のクリエイティブ/ゲーミングモデルはスゴイ
厚み16mm切りでデスクトップ級の性能を実現!Core i9-11980HK搭載ノートPCレビュー
CPU性能はデスクトップPC向けのCore i7相当?
ここからは実際の性能を検証していきたい。まずはTiger Lake-HのフラッグシップであるCore i9-11980HKのパフォーマンスは、デスクトップPC向けCoreプロセッサーと比べてどの程度のものなのかを見てみよう。そのために準備した検証環境は以下の通りだ。
リファレンスノートPCの主なスペック | |
---|---|
ディスプレー | 16インチ液晶(2560×1600ドット) |
CPU | Core i7-11980HK(8コア/16スレッド、最大5GHz) |
グラフィックス | GeForce RTX 3060(VRAM 6GB) |
メモリー | DDR4-3200、16GB×2 |
ストレージ | 512GB SSD(PCI Express 4.0×4接続)×2 |
OS | Windows 10 Pro 64bit(October 2020 Update) |
比較用デスクトップPCの主なスペック | |
---|---|
CPU | インテル「Core i7-11700K」(8コア/16スレッド、最大5GHz)、インテル「Core i5-11600K」(6コア/12スレッド、最大4.9GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | ASRock「Z590 PG Velocita」(Intel Z590、BIOS 1.80) |
グラフィックス | ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(GeForce RTX 3060) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2) |
ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Windows 10 Pro 64bit(May 2021 Update) |
まずは定番のCGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R23」の結果から見てみよう。マルチ/シングルスレッドテストともに10分以上回してからスコアー計測に入るモードで検証している。
今回、比較用デスクトップPCのCPUにあえて最上位のCore i9-11900Kではなく、Core i7-11700KやCore i5-11600Kを選択した理由はここに示されている。コア数ではCore i7-11700KやCore i9-11900Kと同じ8コア/16スレッドだが、Core i9-11980HKはTDPが65W(cTDPによりPL1は定格45Wではなく65W設定になっている。PL2は109W)に抑えられている。
そのため、マルチスレッドもシングルスレッド性能もデスクトップPC向けのCore i5-11600K(TDP125W)よりやや劣る。これは約16mmというボディーの薄さも大いに関係しているだろう。そういった意味では、ノートPCでほぼデスクトップPC向けCPUに近い性能を発揮している点は素直に褒めるべきだろう。
また、CPUの性能が最も影響しやすいのは動画エンコードや写真編集といったクリエイティブ系アプリの処理時間だ。そこで、次は動画エンコードソフト「Media Encoder 2021」で4K MP4動画を書き出す時間を計測する。動画素材は動画編集ソフト「Premiere Pro 2021」で編集した再生時間約3分の4K動画だが、これをMedia Encoder 2021にキュー出ししてエンコードした。エンコード設定はVBR/1パス、ビットレートは平均50Mbps。H.264とH.265それぞれの処理時間を比較する。
結果はCINEBENCH R23よりもデスクトップPC向けCPUとの差が大きくなり、デスクトップPC向けCPUの半分程度のパフォーマンスであることが示された。CINEBENCH R23ではCore i5-11600Kに近いスコアーなのにエンコード時間がここまで長くなる理由としては、メモリーの動作がGear 2であることが考えられる。しかしながら、この性能が薄型ノートPCに搭載できると考えれば有用と考える人もいるだろう。
RAW現像/写真編集ソフト「Lightroom Classic」を使った検証では、ライブラリーに読み込んだ61メガピクセルの調整付きDNGファイル100枚を最高画質のJPEGファイルに書き出す時間を比較する。書き出し時にシャープネス(スクリーン用、適用量標準)を付与しているので、このテストのCPU負荷もかなり高い。
Media Encoder 2021ではH.264でほぼダブルスコアーで負けたCore i5-11600Kに勝ち、Core i7-11700Kにほど近い結果になった。CPU負荷が激しく上下するため、TDP65W制限が足枷になっていない(=デスクトップPC向けCPUはTDPの高さが活かせない処理である)ことが示されている。動画編集も苦手ではないが、どちらかといえばRAW現像や写真編集で輝くCPUと言えるかもしれない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります