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データが貨幣のように流通する時代、信頼できる情報銀行のあり方は?

2021年07月19日 09時00分更新

情報銀行に求められる安心・安全性

 では、なぜ、三菱UFJ信託銀行が、情報銀行サービスに乗り出すのだろうか。長島社長は次のように語る。

 「三菱UFJ信託銀行は、「『安心・豊かな社会』を創り出す信託銀行」をキャッチフレーズにしている。年金信託、投資信託など、お客様から託された財産を信託として、自身や家族のために管理、運用していくことが役割である。今後は、これらの財産だけでなく、パーソナルデータをはじめとした情報を、適切に管理、運用することで、暮らしを安心、豊かにしていきたい」

 情報銀行をこれまでの銀行業務に置き換えてみると、個人はお金の代わりにデータを預け、銀行が企業にお金を貸し出すようにデータを提供し、金利の代わりに対価が個人に支払われるというわけだ。

安心・豊かな社会を作り出す

 また、「安⼼・豊かな社会」の実現に向けて、三菱UFJ信託銀行では、これまでにも数多くの商品やサービスを⽣み出し、課題を解決してきたとする。

 例えば、高齢化の問題については、「つかえて安心」と呼ぶサービスを提供。高齢者が認知症になってしまい、口座が使えなくなった場合にも、代理人が引き出して、安心してお金が使い続けられるようにした。

 「今回のDprimeも、『安心・豊かな社会』を実現するサービスのひとつになる。三菱UFJ信託銀行が、従来から取り組んできたサステナビリティ活動にもつながる。サステイナブルな社会の形成に少しでも役立てるのではないか」と位置づける。

 ただ、三菱UFJ信託銀行は、これまで情報ビジネスをやってきたわけではない。

 長島社長は、「チャレンジングなビジネスである」としながらも、「情報銀行で大前提となるのは、パーソナルデータの厳格な管理である。信託銀行は管理するのが役割。データ管理においては、長年の歴史がある。これをアドバンテージとして、信頼してもらえるはずだ」と意気込む。

 信託銀行業務では、株主名簿や年金受給者名簿、遺言などのデータを管理。ここで培った高度なセキュリティ基盤を持つ。そこには長年の実績がある。

 「データを可能性に変えよう」がDprimeのコンセプトだ。デジタル社会における三菱UFJ信託銀行の新たな挑戦が始まった。

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