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GeForce RTX 3070 Tiをレビュー!フルHD~WQHDで高fpsを狙うゲーマーの新たな選択肢

2021年06月09日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

最後のTi付きGeForceの実力は?
「GeForce RTX 3070 Ti」を試す

 NVIDIAはCOMPUTEX 2021におけるキーノートスピーチで、Ampere世代の新GeForce「GeForce RTX 3080 Ti」「GeForce RTX 3070 Ti」を発表した。RTX 3080 Tiは6月3日に販売が解禁されたが、6月10日22時よりRTX 3070 Tiの販売も解禁となる。RTX 3080 Tiは一部ショップで事前会計の上での深夜販売が実施されたように、RTX 3070 Tiでも同様の施策がとられるとみられる。

 また、NVIDIAによるRTX 3070 Tiの予想価格は8万9980円となっているが、RTX 3080 Ti発売日の実売価格を考えると、最安でも税込み9万円台終盤、上位モデルは13〜15万程度のものも出現するのではないかと筆者は予想している。

 今回も筆者はRTX 3070 TiのFE版(Founders Edition)をテストする機会に恵まれた。NVIDIAは、RTX 3070 TiはRTX 2070 SUPERの1.5倍の性能であると謳っている。先週のRTX 3080 Tiレビューで、RTX 3080 TiはVRAM搭載量だけ半分にした“ほぼRTX 3090”的な立ち位置のGPUだったが、今回のRTX 3070 Tiは上位GPUであるRTX 3080にどこまで迫ることができるのだろうか? その実力をチェックしていきたい。

RTX 3070 TiはRTX 2070 SUPERの1.5倍の性能を備えるとNVIDIAは語る

RTX 3070 Ti FEの正面。S字を描くようなフレームデザインはRTX 3070と共通だが、ファンの配置が変更され、RTX 3080 Ti FE(もしくは3080 FE)に寄せたデザインになった。ただ全長(ブラケット突起部含まず)は268mmであり、RTX 3080 Ti FEの286mmより若干短い

裏面には型番の刻印と、2基めのファンを配置。言うまでもなく、このファンはカード表面側から空気を裏側へ通すことで冷却効率を上げるFlow-Throughデザインである

こちらはRTX 3070 FEの正面。全長は241mmなので、RTX 3070 Ti FEは若干大型化しているといってよい

RTX 3070 Ti FEの基板。RTX 3070 TiはGDDR6Xを採用したため、基板が再設計された。Micro-Fit 12ピンタイプの補助電源コネクターは、RTX 3070 FEとは違い、カードからナナメ後方に向けて設置されている

参考までにRTX 3080 Ti FEの基板。RTX 3070 Ti FEの基板写真とほぼ同縮尺になるようトリミングしてあるが、メモリーチップや電源回路等の配置からしても、RTX 3070 Ti FEとは完全に違うものであることが分かる

こちらはRTX 3080 FEの基板。メモリーチップの空きパターンが2個分存在しており、さらに電源回路のパーツ配置も微妙に違っている

メモリー帯域とCUDAコアを増やしたRTX 3070

 1週間前に公開されたRTX 3080 Ti FEのレビューの繰り返しになる部分が多々あるが、改めてRTX 3070 Tiのスペック等についてまとめておこう。

2021年6月にリリースされたRTX 3080 TiおよびRTX 3070 Tiのスペックと、その近傍のGPUとのスペック比較

「GPU-Z」でRTX 3070 Ti FEの情報を拾ってみた。Memory Type欄にGDDR6Xの表記、Resizable BAR欄がEnabledになっている

パワーおよび温度限界の情報。FE版のTemperature Limitは83℃が定格となっているが、RTX 3070 Tiのシリコンとしての最大温度(Thermal Threshold)は93℃である

NVIDIA BIOSタブのPower LimitがNVIDIA言うところのTGP(Total Graphic Power)。FEなので290Wが定格だが、OCツールを使うことで最大320Wまで引き上げが可能だ

 前掲のスペック表にある通り、RTX 3070 TiはRTX 3070のSMを2基(CUDAコアにして256基分)増設し、メモリーをGDDR6からGDDR6Xにグレードアップ、さらにクロックも若干引き上げたものと定義できる。GDDR6からGDDR6Xへの変更は技術的には大変大きな意義をもっており、これによりメモリー帯域は448GB/sec→608GB/secへ、約1.35倍に増えている。

 この値はRTX 2080 Ti(616GB/sec)に迫るものであり、よりメモリーアクセス負荷の高い状況でのパフォーマンス向上に貢献することだろう。ただしVRAMは8GB据え置きであるため、VRAMが2GB増したRTX 3080→3080 Tiほどの“特別感”はない。VRAMを増やさなかった理由はメモリーを増やせばそれはRTX 3080になってしまうし、メモリーバス幅の拡大も必須になるからだと思われる。

 このようなパワーアップを獲得した代償として、RTX 3070 TiのTGPはRTX 3070の220から70W増の290W設定になった。これは消費電力増を意味するが、ごく一般的な(OC等をしない)パーツ構成であれば、750W以上の電源で十分だろう。

 またRTX 3070 Tiにもハッシュレートリミッターが実装されているが、NVIDIAとしては「LHR(Lite Hash Rate)ではない」という点も、RTX 3080 Tiと共通している。「LHR」は非LHR版があるGPU(例えばRTX 3080)に対しハッシュレートリミッターがあるGPUと区別するために付けられるものであるため、RTX 3070 Tiや3080 Tiのように最初からハッシュレートリミッターのあるGPUにはLHRとは言わない、というのがNVIDIの見解となる。

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