最後のTi付きGeForceの実力は?
「GeForce RTX 3070 Ti」を試す
NVIDIAはCOMPUTEX 2021におけるキーノートスピーチで、Ampere世代の新GeForce「GeForce RTX 3080 Ti」「GeForce RTX 3070 Ti」を発表した。RTX 3080 Tiは6月3日に販売が解禁されたが、6月10日22時よりRTX 3070 Tiの販売も解禁となる。RTX 3080 Tiは一部ショップで事前会計の上での深夜販売が実施されたように、RTX 3070 Tiでも同様の施策がとられるとみられる。
また、NVIDIAによるRTX 3070 Tiの予想価格は8万9980円となっているが、RTX 3080 Ti発売日の実売価格を考えると、最安でも税込み9万円台終盤、上位モデルは13〜15万程度のものも出現するのではないかと筆者は予想している。
今回も筆者はRTX 3070 TiのFE版(Founders Edition)をテストする機会に恵まれた。NVIDIAは、RTX 3070 TiはRTX 2070 SUPERの1.5倍の性能であると謳っている。先週のRTX 3080 Tiレビューで、RTX 3080 TiはVRAM搭載量だけ半分にした“ほぼRTX 3090”的な立ち位置のGPUだったが、今回のRTX 3070 Tiは上位GPUであるRTX 3080にどこまで迫ることができるのだろうか? その実力をチェックしていきたい。
メモリー帯域とCUDAコアを増やしたRTX 3070
1週間前に公開されたRTX 3080 Ti FEのレビューの繰り返しになる部分が多々あるが、改めてRTX 3070 Tiのスペック等についてまとめておこう。
前掲のスペック表にある通り、RTX 3070 TiはRTX 3070のSMを2基(CUDAコアにして256基分)増設し、メモリーをGDDR6からGDDR6Xにグレードアップ、さらにクロックも若干引き上げたものと定義できる。GDDR6からGDDR6Xへの変更は技術的には大変大きな意義をもっており、これによりメモリー帯域は448GB/sec→608GB/secへ、約1.35倍に増えている。
この値はRTX 2080 Ti(616GB/sec)に迫るものであり、よりメモリーアクセス負荷の高い状況でのパフォーマンス向上に貢献することだろう。ただしVRAMは8GB据え置きであるため、VRAMが2GB増したRTX 3080→3080 Tiほどの“特別感”はない。VRAMを増やさなかった理由はメモリーを増やせばそれはRTX 3080になってしまうし、メモリーバス幅の拡大も必須になるからだと思われる。
このようなパワーアップを獲得した代償として、RTX 3070 TiのTGPはRTX 3070の220から70W増の290W設定になった。これは消費電力増を意味するが、ごく一般的な(OC等をしない)パーツ構成であれば、750W以上の電源で十分だろう。
またRTX 3070 Tiにもハッシュレートリミッターが実装されているが、NVIDIAとしては「LHR(Lite Hash Rate)ではない」という点も、RTX 3080 Tiと共通している。「LHR」は非LHR版があるGPU(例えばRTX 3080)に対しハッシュレートリミッターがあるGPUと区別するために付けられるものであるため、RTX 3070 Tiや3080 Tiのように最初からハッシュレートリミッターのあるGPUにはLHRとは言わない、というのがNVIDIの見解となる。
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