スポーツカー好き女子が競技車両のドライブに挑戦!
それでは実際に新唯さんに運転してもらいましょう。ちなみに見た目は完全に好みのようで「特にウイングがカッコイイ!」と絶賛。カラーリングも好みのようです。ロールケージの間にスッと体をくぐらせ、フルバケットシートに身を委ねる唯さん。「ちょっと低すぎませんか?」と椅子を上げたい様子でしたが、工具がないと高さ調整はできず、そして我々は工具を持ち合わせておらず……。ステアリングホイールのボタンに、たじろぎながらも「思ったよりハンドルが軽いんですね」と唯さん。出庫もラクラクに、いざ公道へ。排気音は本当に静か。
気になるのは、その足回り。チーム代表は「柔らかいですよ」とのこと。ですがラリー屋のいうことなど、信じられません。そこでステアリングを握った唯さんに尋ねると「これで全然買い物とか行けちゃいますけれど」というではありませんか。本当に柔らかいのか? と、取材に同行したスピーディー末岡に尋ねたところ「GT-R NISMOのRモードより硬くね?」とのことで、世間的にはガチガチのガチ。さすがにチーム代表も「これで買い物は……。それができるのは、若いうちだけですよ」と苦笑い。
もともとシッカリとしたシャーシのGRヤリスRSに、さらにスポーツな足とLSDが加わるのですから、コーナリングが楽しくて仕方がない様子。チーム代表から「アクセルをオンで曲がってみてください」と言われた唯さんは、その言葉通りシッカリ踏んで旋回。「ホントに踏んで曲がれるんですね」と目を大きく見開いて驚くご様子。「この踏んで曲がれる、というのが大切なんですよ。それを体験してほしかった」とチーム代表はニンマリ。唯さんも「父からは、コーナリング中はブレーキを踏むな、アクセルを踏め、と言われたことがあるのですが、こういう事なのですね」と納得したご様子。というより、お父様。娘さんにどんな英才教育をされたのですか? ひょっとして豆腐屋さん経営ですか?
「カッコいいですし、欲しくなっちゃいますね」と唯さん。ではこのクルマ、いったい幾らかかるのか、チーム代表に伺いたいと思います。「そうですねぇ、車両が乗り出し約300万円なので、パーツ代や工賃コミコミ600万円くらいですかね」。一般的にSUPER GTのGT300クラスに参戦している車両は約6000万円、TCRクラスのシビック Type Rが約3000万円と言われていますから、桁違いの低コストで全日本選手権のラリーに参戦できる、というわけです。しかも公道を走ることができる! 実際、ラリー会場までこのクルマ、ローダーに積車せずに自走して向いますからね!
「ウェルパインモータースポーツは、誰もが気軽にモータースポーツを楽しんで欲しいと思っています。JN6クラスのこのマシンも、その一つですね。AT限定免許でも運転できるし、参戦コストが安い! GRヤリスの上位モデルで競技車両を作ろうとしたら1500万円では済みません。ラリー以外だとジムカーナもオススメです」と代表。さらに「モータースポーツは楽しいだけではなく、普段の運転に役立つことが多いですから、ぜひ!」と唯さんを口説くではありませんか。サイドブレーキターンをする様子を動画で見て、唯さんもジムカーナには挑戦してみたい雰囲気でした。
冒頭で「私たちがクルマいじりをする上でのヒントが隠されていたのです」と書きましたが、わかってもらえたでしょうか。答えは「いかにドライバーの負担が少ないクルマに仕上げるか」という点です。コクピットの足元にある滑り止めのトレイ、 フロントスクリーンへの映り込み防止などなど……。これらはドライバーに安心感を与えるためのツールなのです。
「自分自身、若い時からラリー競技に参戦してきました。いざ狭くて転がりやすい林道を走るとき、不安があってはダメなんです。安心してアクセルを踏めるクルマが何より重要なんです」と代表。これは他メーカーのレース関係者からも聞く言葉で、競技によっても手法は若干異なります。その中で、ウェルパインモータースポーツの車両は、私たちでも比較的簡単に同じものが作れそうです。
運転しやすいクルマって、こういう事なのかな、と思いながらラリーカーを眺めていたスタッフ一同でありました。
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