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GeForce RTX 3080 Ti速報レビュー!快適な4Kゲーミングのための“ゲーマー向け”フラッグシップ

2021年06月02日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

消費電力や発熱、クロックも見ておく

 ここまでの結果を総合すると、RTX 3080 Ti FEはRTX 3090 FEとほとんど変わらない性能であることが確認できた。場合によってはRTX 3080 Ti FEの方が良い結果を出すこともあったが、解像度が高くなるほどRTX 3090 FEが有利になるのはほとんどのテストで一致している。

 では消費電力に違いはあるのだろうか? RTX 3080 Ti FEのTGP(Total Graphics Power)はRTX 3090 FEと同じ350W設定。スペックがほぼ同じ、性能もほぼ同じなら消費電力も同様に近い値になりそうだ。

 まずはシステム全体の消費電力として、システム起動10分後の安定値(アイドル時)と、「3DMark」Time Spyデモ実行中の最高値(高負荷時)を比較する。電力計測にはラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を使用した。

システム全体の消費電力

 アイドル時はほぼ同じ、高負荷時はドカンと消費電力が増えるが、ここでもRTX 3090 FE≒RTX 3080 Ti FEとなった。両者の高負荷時における消費電力の差はわずか8W程度。消費電力が激しく変動するグラフィック描画荷時にあっては、誤差レベルの差でしかない。

 今度はNVIDIAのビデオカード専用電力測定ツール「PCAT」を利用し、ゲーム(Cyberpunk 2077)を実際動かしている時のTBP(Total Board Power:ビデオカード単体の消費電力)を測定した。画質設定などは前述のベンチそのままの条件を使用しているが、解像度は4K(DLSSを使っているため)としている。計測時間はゲームの画面が表示されてから約15分間とした。

ゲーム中のTBPの傾向

ゲーム中のTBPの推移。1秒の移動平均をプロットしたもの

 RTX 3090 FEと3080 Ti FEのTGPはどちらも350Wだが、実際に動かしてみるとRTX 3090 FEは平均370W近くまで電力を使うのに対し、RTX 3080 Ti FEはやや大人しく360W弱で踏みとどまった。両FE基板の設計の差なのか、意図して絞っているのかは不明だが、同じTGP 350Wでも微妙にRTX 3080 Ti FEの方が消費電力が低いことが確認できた。

 この時、各GPUの温度やクロックはどう推移しているのかも調べて今回のレビューは〆としよう。室温は約28℃、各種データの追跡には「HWiNFO Pro」を使用した。

「Cyberpunk 2077」プレイ中のGPU温度の推移

「Cyberpunk 2077」プレイ中のGPUクロックの推移

 GPU温度の推移を見ると、RTX 3080 Ti FEのGPU温度はRTX 3090 FEに対し著しく高い。RTX 3090 FEが72℃前後に対し、RTX 3080 Ti FEが80℃前後となった。だがここで“RTX 3080 Tiはアツアツだ!”等と早合点してはいけない。

 今回テストしたRTX 3090 FEは、巨大な3スロット厚クーラーなのに対し、RTX 3080 Ti FEは2スロット厚のクーラーであるため、RTX 3090 FEの温度が最も低くて当然なのだ。クーラーや基板設計がほぼ共通のAICパートナーカードで比較してみると、また違った結果になる可能性もある。

まとめ:4Kゲーミング目的なら値段次第で十分魅力的。
それ以下の解像度ならRTX 3080で十分

 以上でRTX 3080 Tiのファーストレビューは終わりだ。今回はサラッとフルHD〜4Kで性能比較を実施したが、RTX 3080 Ti FEとRTX 3090 FEの差はほとんどない。あっても1割にも満たない(Marbles RTXは例外的)。さらに言えば、フルHD環境であればRTX 3080で事足りる。どれだけ凄いディスプレー環境を準備できるかでRTX 3080 Tiの輝き方は変わるだろう。

 VRAMもRTX 3080の10GBから2GBしか増えていないので、フルHD〜WQHD環境ではRTX 3080でも十分足りる。しかし、4Kゲーミング環境を整備するのであれば、RTX 3080 Tiは3080よりも良い選択肢であると積極的に言って問題ない出来だ。ただ12GBというVRAM搭載量に少しでも不安や不満を憶えたなら、素直にRTX 3090を選び、内なる平穏を得るべきだ。

 最後にnanominerを使ったEthererumマイニング時のハッシュレートのデータを紹介して終わりにしたい。いずれのGPUもマイニングを始めて10分経過した後のハッシュレートで 比較する。

Etherreumマイニング時のハッシュレート

 確かにRTX 3080 Ti FEにはハッシュレートリミッターが実装されており、RTX 3080 FEの約66%程度のハッシュレートしか出ない。ただ、最近RTX 3060も動作クロック条件などを弄ることでフルハッシュレートが出る(ただし完全無欠ではないようだが)的なハックが登場するなど、NVIDIAが施したハッシュレートリミッターも盤石でないことが判明してきた。

 実際、RTX 3080 Ti FEもAIがマイニング処理を検知してハッシュレートリミッターを効かせるまではRTX 3090 FEに近い100MH/sec程度は出せる。この若干弱いリミッターの回避策が見つかり、仮想通貨マイナー勢に食い尽くされないことを祈るばかりだ。

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