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新VAIO Zのパフォーマンスにかける情熱バトル(開発者インタビュー)

2021年06月11日 11時00分更新

VAIO Zに携わるというモチベーションとは

――みなさん、VAIO Zを造ることをモチベーションにして、これまで取り組んできたと言われていますが。

古川 「私自身はZに携わってきたので、VAIO株式会社になってからは、早くVAIO Zをやりたいと思っていました。まさかPLになるとは思っていませんでしたが、お客様からの希望の声も聞いておりましたので、なんらかの形でVAIO Zというものを造りたいなというモチベーションは大きく持っていました」

久富 「私はむしろZだからどうのこうのではなく、むしろほかのSシリーズでもギリギリまで攻めていると思っています。社内で35Wの製品を始めるぞと言ったときに、過去に35Wの製品があったから、このくらいのヒートパイプで、同じぐらいのファンを付ければいいかな、といったところからスタートします。でも『今回は64Wまであって、それを10~15分ぐらいまで引っ張りたいから、これぐらいのヒートパイプが必要なんだ!』ということを入れ込めたのは大きかったですね。これは、Zじゃないとなかなか実現できなかったでしょうし、大きなギャンブルでもありました」

板倉 「いま、久富が饒舌に語っていますが、内部ではそういった熱い思いをなかなか語ってくれなくて(笑)。熱い思いを語ってくれないからメカ屋さんと喧嘩するという(笑)、折り合いがつかないことがよくあります。特に今回については、久富と裏で先行して密にやり取りしていた部分があったので、やっぱりヒートパイプの構成は、ぼくが中心になって話をして、古川にインプットして、マネージャー陣にも今回こういうものが必要なんですというところを回せたのがよかったと思っています。

 VAIO Zに関わりたいかということですが、これまでもZやDuoなどの配線やバッテリーなどをやらせていただいてきて、そういったところからすると正直あまり関わり合いたくないんですね(笑)。Sシリーズを含め、パフォーマンスを出すために何が必要なのか、ということはこれまでの経験から分かっているのでやりきれる自信はもちろんありました。しかし、やるべきことが分かっているからこそ,大変な部分も理解しているので、今後やりたいかと聞かれたら、まずはしんどいので嫌ですと答えます。(笑)」

古川 「昨今の業界の状況もありますが、なかなか大量に開発費を投資できる機種というのが、少なくなってきています。そんな中で、今回のZに関しては、結構お金をかけさせていただいたと思っています。ネクストジェネレーションとして、今回造った技術やノウハウを後継機種に持っていくための先行投資だと思っています。今回のキーボードだったり3Dカーボンだったり、そういったノウハウをためていかないと、なかなか進化しづらいですよね。だからヒートパイプもしかり、挑戦させてくれた機種だと思っています」

――今回は、若い人材を積極的に採用してZを造っていると伺ったのですが、それも挑戦の1つだと。

古川 「そうだと思います。電気PL、メカPL、ソフトPL、全員新人ですね」

板倉 「これまでも、担当としてやっていた部分ではあるのですが、リーダーとしては初めての経験でした」

古川 「もちろん、いままで経験のある方々にやっていただいたほうが、キレイにまとまると思います。でも、後輩にやらせていかないと、育たないという想いがあったんだと思っています」

板倉 「あとベテランだけだと、ある意味尖ったものが造れるのかという懸念もあります。やはり新しい視点というか、上司を恐れずに物を申すみたいなところがあったのではと思っています。たとえば、PCIe Gen4はCPUのバスにつながっていて、従来のPCHを介するのとは違っていたため、Gen4対応にすることは意志でありチャレンジであり、私のような若い開発者たちだったからこそ、挑戦できたと思っています」

――今回のVAIO Zに対する思いは?

古川 「現時点で、最高のコンピューティング体験を実現できる機種だと自負しています。長く使っていただくことを前提で、Webで情報を見ていただき、店頭などで手にとっていただいて、性能を考慮いただければご納得いただけると確信しています。自信作です」

板倉 「M1チップ搭載のMacが登場して、その性能に驚かされる部分もありますが、Windowsモバイルマシンとしては、最高峰だと思っています。次のボーナスでぜひご検討ください」

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(提供:VAIO)

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