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【連載】伝統文化が息づくエネルギッシュな工業のまち~Vol.1 鶴見区(生見尾つばさ)~

2021年05月18日 10時00分更新

 みなさま、はじめまして!

 Yocco18の代表を務めております、遠藤です。

 突然ですが、横浜には18もの区があることをご存じでしょうか。

 横浜といえば、「港」「海」「おしゃれ」「観光地」などのイメージをお持ちの方も多いと思いますが、横浜市全体でみればそれらの場所はあくまでも一部です。

 18区からなる横浜市は、地理的にも多様性に富んだ都市であり、商店街がにぎやかな「下町」や、臨海部や内陸の「工業地帯」、郊外の団地やニュータウン、自然豊かな田園地帯など、個性あふれるエリアをたくさん抱えています。

 Yocco18とは、『身近な地域を知り、楽しむ』をテーマに、横浜18区をモチーフにしたキャラクターたちが地域の魅力を発信する市民発のプロジェクトです。Twitterで毎日情報を発信しており、筆者のほか、横浜で地域活動に携わる4名のメンバーで企画・運営しています。

 Yocco18の大きな特徴の一つは、キャラクターデザイン。

 代表である筆者の遠藤が自らデザインしたキャラクターは、外見にそれぞれの区の特徴や地域の名産品などのモチーフを反映させています。キャラクターを知ることで地域の特徴を知り、より身近な地域に親しみを持ってもらえるようデザインしています。

横浜の各区をモチーフにした妖精。キャラクターのデザインはウェブサイトで紹介しています

 Yocco18では、先述した多様な地域の個性を『横浜の魅力』としてとらえ、もっとみなさんに知ってもらいたいという想いから活動を続けています。

 本連載コラムでは、遠藤によるキャラクターのデザイン解説、およびモチーフとなった各区のスポットを写真と交えて紹介していきます。各キャラクターに込めた思いにも触れていきますので、Yocco18のキャラクターを通して、横浜18区の多様な個性と魅力を感じていただければと思います。

 なお、各回につき1区・1キャラクターずつ取り上げていくため、全18回の連載を予定しております。長期の連載となりますが、しばらくの間、お付き合いいただけますと幸いです。

第1回 Yocco18鶴見区キャラクター「生見尾つばさ」

 記念すべき第1回は、鶴見区からご紹介します!

 Yocco18・鶴見区キャラクターは「生見尾(うみお)つばさ」になります。

 プロフィールはこちら!

●“鶴見川の近く、京浜工業地帯の工場風景や昭和の色が残る下町で生まれ育つ。クールでさっぱりした性格。
●意見はハッキリと言い、自分から折れるのは苦手であるなど勝気な半面、人情に厚い。手先が器用で機械いじりが得意。一日の疲れは銭湯で癒すのが日課。
●趣味:銭湯めぐり、ダンス全般、盆踊り、庭いじり(花や木を育てること)、禅。”

 鶴見区といえば、まず思い浮かべるのは京浜工業地帯。

 工業地帯で生まれ育ったため、男勝りでボーイッシュな性格をしています。

 Yocco18の中では、クールな姉御肌というポジションです。

「生見尾つばさ」の名前の由来

 まずは名前の由来について紹介したいと思います。

 その前に、「どうしてこの名前にしているの?」という質問にお答えすると、基本的にYocco18のキャラクターは、実在する地名およびかつて存在した地名からとっています。中でも、区域の大部分を占める地名や古くから存在する歴史的な地名、さらには区役所所在地といった現在の区内の中心地域となる地名を優先的に採用しています。

 また、そのキャラクターの雰囲気に合うかどうかもポイントで、中には地域のシンボル(建造物など)の名称を入れているところもあります。キャラクターの名前の由来が気になった方は、ご自分でもぜひ調べてみてください。

 さて、生見尾つばさに戻ります。

 姓の生見尾(うみお)は、かつて存在した「生見尾村」からとっています。

 生見尾村は市制・町村制により、1889(明治22)年に生麦村・鶴見村・東寺尾村の三村が合併して誕生しました。生見尾とは、生麦・鶴見・東寺尾から一文字ずつ取って名づけられた地名です。

『鶴見区の前身 生見尾村誌』の表紙

 鶴見駅~生麦駅にかけたあたり、おおむね区の中心部はこの村に属していました。

 現在、住所としての地名は残されていませんが、JRおよび京急の線路を跨ぐ「生見尾踏切」などに生見尾の文字を見ることができます。

開かずの踏切としても有名な「生見尾踏切」。読み方は「うみお」だが、最初は「なまみお」と呼ばれていたそう

名前のつばさは、鶴見のシンボル「つばさ橋」

 「つばさ」といえば、すでにおわかりの方が多いかもしれません。

 鶴見のシンボル「鶴見つばさ橋」からとっています。

 鶴見つばさ橋は大黒ふ頭と扇島を結ぶ橋で、首都高速湾岸線が通っています。

 逆Y字型の主塔が特徴的。大黒ふ頭から本牧ふ頭を結ぶ横浜ベイブリッジと続き、ドライブで通るととても気持ちがいいです。

首都高に乗って「鶴見つばさ橋」を通る。助手席にて撮影

 ちなみに、末広町にある鶴見川河口末広水際線プロムナードからは、つばさ橋を近くで見ることができます。扇島や大黒ふ頭まで見渡せるここからの景色はオススメです。

鶴見川河口末広水際線プロムナードは、つばさ橋を臨む釣りのスポット。近くにはプール・温泉等の施設の「ふれーゆ」も

 また、生見尾つばさのインナーのデザインもつばさ橋がモチーフになっています。

「蛇も蚊もまつり」と「鶴見川」がモチーフの髪

 ここからは、デザインの由来について紹介していきたいと思います!

 特徴的なポニーテールの髪型は、「蛇も蚊も(じゃもかも)まつり」と「鶴見川」をモチーフにしています。

 「蛇も蚊もまつり」は横浜市指定無形民俗文化財となっており、生麦で300年以上前から伝わる行事です。

 毎年6月の第1日曜日、茅で形作った蛇体を、若者たちが担ぎながら町内を練り歩きます。

 生見尾つばさのポニーテールの頭の部分は、蛇の頭をイメージしています。

生麦「蛇も蚊もまつり」のようす。悪疫が流行した際、蛇体に悪霊を封じ込めて海に流したことが起源とされる

  ダイナミックにカーブするポニーテールは「鶴見川」をイメージ。

 鶴見川は、東京都町田市を源流とした一級河川で、横浜市の北部地域は鶴見川流域に属します。過去、たびたび氾濫を起こしては流路が変わっていたことから、かつては「暴れ川」と呼ばれていました。生見尾つばさの外にはねるくせっ毛はその名残です。

鶴見線・鶴見小野駅からほど近いところに、鶴見川の河口を示す0.0km地点の案内板がある

紅白カラーの服装は、横浜市内最古の神社「鶴見神社」から

 生見尾つばさの服装は赤と白を基調としていますが、こちらは横浜市内最古の神社「鶴見神社」から巫女をイメージしています。

 鶴見神社の創建は、およそ1400年前の推古天皇の時代(7世紀初め)と伝えられており、横浜・川崎間最古の神社と言われています。毎年春に行なわれる「田祭り」は、鎌倉時代より伝わる横浜最古の民俗芸能として横浜市地域無形民俗文化財に登録されています。

過去の田祭りの風景(※2021年は無観客での開催)。その年の豊作を祈願する。

 ちなみに、トップスの袖口は鶴見の「鶴」をイメージしています。

 鶴見駅東口にある商業・複合施設の名称は「シークレイン」。海(sea)と鶴(crane)の英語から名付けられたそうです。

「鶴見神社の神紋は有職鶴(ゆうそくづる)なんだってな!」

「キリンビール横浜工場」から、ビール柄のリボン

 生見尾つばさのスカートのリボンは、ビール柄。

 これは生麦にあるキリンビールの横浜工場からとっています。

キリンビール横浜工場併設のレストラン、ビアポートでは様々な種類のビールを楽しめる(2021年5月1日現在、休業中)

 鶴見区の臨海部は京浜工業地帯の中枢として、大正時代よりいち早く日本の近代化を支えてきました。そんな地域で生まれ育った生見尾つばさは、下町っ子でビールが大好きです。

昭和の雰囲気が漂う国道駅の高架下は、生見尾つばさが好きそうな雰囲気

「盆踊り」や「ダンス」が好き

 活発な雰囲気の生見尾つばさは、盆踊りやダンスが趣味。

 盆踊りは鶴見区で有名なお祭りのひとつ「總持寺(そうじじ)のみ霊(みたま)祭り」から。

 修行僧たちと一緒にノリノリの盆踊りが楽しめるこのお祭りは、鶴見の夏の風物詩です(2020年は中止)。

總持寺の「み霊祭り」の風景。「一休さん」や「ひょっこりひょうたん島」などの曲で盛り上がります

曹洞宗大本山の「總持寺」。参禅や、禅カフェなどもあることから、生見尾つばさは禅が好き

 ダンスが好きな設定は、かつて存在した遊園地「花月園」から。

 東洋一の大遊園地とも称された花月園は、日本初の営業ダンスホールがありました。

 また、花月園少女歌劇は『西の宝塚・東の花月園』と評されるほど有名でした。

花月園遊園地だった場所はその後競輪場となり、現在は鶴見花月園公園(仮称)として再整備が進んでいる

鶴見区は銭湯数ナンバーワン! 銭湯が好き

 2021年5月現在、鶴見区は横浜市内で最も多くの銭湯がある区です。

 そのため、生見尾つばさは銭湯に通い詰めるほど銭湯が大好き。一日の疲れは銭湯で癒します。銭湯は年々減少傾向にありますが、それでも鶴見区内には11件の銭湯が残されています。

社寺風の外観が特徴的な、生麦駅の近くにある「朝日湯」。

「三ッ池公園」、「馬場花木園」など、草花が好き!

 桜で有名な「三ッ池公園」や、四季折々の植物が楽しめる「馬場花木園」があるため、意外にも草花が好き。また、植木発祥の地といわれている宗泉寺も鶴見区にあります。

無料で開放されている「馬場花木園」。園内には古民家の旧藤本家住宅もある

生見尾つばさのまとめ

 簡単になりますが、生見尾つばさの説明は以上です!

 ほかにも細かい設定があるので、これってどういう要素なんだろう?と気になった方はぜひご自身でも調べてみてください。

 鶴見区は旧東海道が通り、京浜工業地帯で働く労働者の街という歴史もあることから、早くから市街化が進み栄えた地域です。そんなパワフルなエネルギーあふれる街で生まれ育った彼女は、クールでさっぱりした男勝りな性格をしています。

 みなさんも、生見尾つばさと一緒に鶴見区のまちを知り、身近な地域を少しでも楽しんでいただければうれしいです!

 それではまた次回にお会いしましょう。

※補足
Yocco18は有志により運営している市民発のプロジェクトです。本プロジェクトおよびキャラクターと横浜市(行政)の事業とは一切関係がございません。
Yocco18についてのご質問・お問い合わせはYocco18ウェブサイト(https://www.yocco18.com/)よりご連絡をお願いいたします。

参考文献および参考URL

鶴見区史編集委員会 『鶴見区史』 鶴見区史刊行委員会(1982年)
横浜市鶴見図書館編 『鶴見の百年』 横浜市鶴見図書館(1988年)
持丸輔夫 『鶴見区の前身 生見尾村誌』 寺尾郷土研究会(1976年)

首都高ドライバーズネット
https://www.shutoko.jp/

国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所
https://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/index.html

鶴見神社
https://tsurumijinja.jp/

神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ウェブサイト
https://k-o-i.jp/

筆者プロフィール
遠藤 望(えんどう のぞみ)
Yocco18(横浜18区ブランディングプロジェクト) 代表/キャラクター原作

地理学×横浜愛×イラストでまちづくり
学生時代より地域に関心を持ち、横浜のまちづくりや商店街振興などの地域活動に広く携わる。大学では地理学を専攻し、地域愛着をテーマに研究を行なう。横浜中華街や日本大通りのまちづくり組織やデザイン会社での勤務を経て、現在はフリーのデザイナーおよびイラストレーターとして活動中。2019年に 「横浜18区ブランディングプロジェクト」を立ち上げ、横浜のローカルの地域の魅力を発信。2020年4月には、オリジナルの横浜18区キャラクターを活用した地域活性化プロジェクト「Yocco18」をスタートさせ、Twitterを中心に毎日情報を発信している。
Yocco18のキャラクターは自身が高校生の時(2010年)にデザインしたものを活用。横浜18区役所めぐりが趣味。横浜市西区出身。

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