iPhoneに新色「パープル」が追加
iPhone 12/iPhone 12 miniに新色の「パープル」が追加され、6色展開となりました。
「iPhone X」の翌年に「iPhone XS」が発売され、その際に「ゴールド」が追加されたといったことはありましたが、アップルが、次のモデルが発売される前に、最新モデルに新色を追加するという動きは珍しいですね。
発表会当日は日本時間の深夜だったので、眠い目をこすりつつ発表会を見届けていましたが、まさかの新色とは思わず突然の「Mmmmm, purple」には驚きました。
「バイオレット」でなく「パープル」
ひと口に「紫色」と言っても、いろいろあります。日本人にとって、紫色の英語で一般的なのは「パープル」で、次いで「バイオレット」を思い浮かべる人もいるでしょうか。
どちらも紫色ですが、パントンが定める色見本によれば、この2色は明確に異なります。RGBの比率で表現すると、パープルはR187 G41 B187なのに対し、バイオレットはR68 G0 B153です。
バイオレットは赤の成分が少なく、緑色の成分がゼロの「青紫色」なのです。一方のパープルは赤の成分が多い「赤紫色」ですね。
日本にも、紫色がたくさんあります。いわゆる紫色の「本紫」や、濃い紫色の「小紫」、花の名前からとった「藤色」や「葵色」「桔梗色」や、「茄子紺」とか「葡萄染(えびぞめ)」なども紫色に分類できます。
改めてパープルのiPhone 12の色味を観察してみると、パープルかバイオレットかでいえば薄いパープルで、日本の色で表現すれば、「藤色」や「藤紫」の系統でしょうか。紫色は色味や使い方によって、「くどい」とか「派手」な印象も生み兼ねませんが、iPhone 12のパープルは、さわやかで上品だと思います。
紫色は、なぜ高貴な色?
上品つながりで話を広げますが、紫色といえば、日本人にとっては「高貴な色」というイメージも根強いですよね。
なぜ、日本では紫色は高貴な色なのでしょうか。それは、日本最古の階級制度とも呼ばれる「冠位十二階」の最上位が「濃紫」で、次が「薄紫」なことに由来しているという説が根強いです。
また、江戸東京博物館の公開している「江戸紫はなぜ流行したのか。」というコラムにも、興味深い記述がありました。
『江戸学事典』『江戸ことば百話』『江戸東京学事典』といった複数の書籍や、『万葉集』にも、「高貴な身分を表す色で、一般庶民にとっては禁色」という記載があるのだそうです。
こうした記述から考えれば、普通の人は、身につけることすら許されない色だったわけですね。かつての「特別感」や「畏れ」が日本人の感覚に刻まれ、脈々と受け継がれているのかもしれません。
ちなみに、同じ「江戸紫はなぜ流行したのか。」というコラムでは、江戸幕府八代将軍の徳川吉宗が、江戸城に染殿を設置したり、そこで幕府お抱えの呉服師である後藤家が、次々と染めの技術を研究して、「式内染鑑」という色見本にまとめたことが契機になり、江戸紫が庶民にまで流行ったという説があるとも解説されています。
古来の紫色に対して、青みの強い江戸紫は「今紫」とも呼ばれたそうです。パープルかバイオレットかで言えば、バイオレットかもしれません。
そんなわけで、紫色というのは、日本人にとってはゆかりが深い色でもあります。そして現代では、紫色は誰にも禁じられておらず、誰もが楽しめる色になっています。iPhone 12のパープルは年齢やファッションを問わず使いやすい色味だと思うので、「迷ったら高貴な紫」でいってみてはいかがでしょう?
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