週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ThinkPad X1 Titanium 実機レビュー = チタンボディに5Gモデムと縦長画面で超快適っ!

2021年04月05日 13時00分更新

 レノボはThinkPad X1シリーズのメインモデルであるCarbonとYogaの2021年モデルを発表し、モバイルシリーズがすべてTiger Lakeに更新された。

 ThinkPad X1シリーズは、最小モデルが画面2つ折りのThinkPad X1 Foldで4対3比率の13.3インチである(半分に折れるが)。そして、その上が最軽量であるThinkPad X1 Nanoで13インチの16対10、さらに最薄モデルであるThinkPad X1 Titaniumは13.5インチの3対2だ。その上のサイズのThinkPad X1 CarbonとThinkPad X1 Yogaも更新にともない、16対10になった。15.6インチのThinkPad X1 Extremeは16対9のままなで、画面の縦横比のバリエーションがここまで多種多彩なシリーズも珍しい。

 中でも画面が3対2と最も縦長で最薄の「ThinkPad X1 Tianium」5Gモデムを内蔵したモデルを試用してみた。

ボディ全体がチタン色で、お値段は約24万円から

史上「最薄」のThinkPad X1誕生
あこがれの「チタン」なのだっ

 ThinkPad X1 Titanium(タイタニウム)は「YOGA」名がついていないが、ディスプレイが360度回転するヨガ型のモバイルノートである。その名のとおり、ボディがチタンでできていて、X1として「最薄」を実現しているのが特長だ。

 さらに、搭載するディスプレイが13.5インチの3対2であるというのも珍しい。他社ではすでにあるが、モバイルノートとして最も「縦長」なディスプレイを搭載しているのだ。

画面右下に見えないくらいのX1 Titaniumというプリントがある。ヒンジ手前の四角は指紋センサー

PCを開くと現れる3対2比率のディスプレイは「大きい」感がある

 搭載するCPUはCore i7-1180G7/1160G7、Core i5-1140G7/1130G7の4種類で、これらはUP4つまり消費電力が7~15Wの省エネタイプで、ThinkPad X1 Nanoと同じである。通常のモバイルノートはUP3という12~28Wタイプなので、ちょっと非力である。メインメモリは最大16GB、ストレージは最大1TBとなっている。インテルのEVOプラットフォーム認定だ。

 特長であるディスプレイは、13.5インチのQHDつまり2256×1504ドットのIPS液晶で、マルチタッチ(10点)を搭載する。

 インターフェイスはUSB4(Thunderbolt 4)×2とオーディオコンボジャックと最小限に絞られている。無線機能はWi-Fi 6とBluetoothに加えて、WWANとしてLTEまたは5Gも内蔵可能だ。

薄さを実現するためだろうが、Type-C×2はかなり寂しい

背面排気デザインだが、ファンは1基のみ搭載している

底面にも2ヵ所に吸気口があるが、写真右側にはファンはない

底面右側の吸気口はSSDとモデムを冷やすための工夫だ。薄さのためか、バッテリーが四角ではなく、複雑なレイアウトで実装されている

 LTEの場合は「Fibocom L850-GL LTE CAT9」でプラス1万9800円、5Gでは「Qualcomm Snapdragon X55 5G Modem-RF System」でさらにプラス3万6300円となっている。5Gの周波数はn77/78/79に対応で、これはX1 FoldやNanoと同じだ。

 キーボードはJIS配列とUS配列(1100円プラス)が選択可能で、左右にスピーカーが設置された。ポインティングデバイスは、キーボード手前のタッチパッド(ThinkPadクリックパッド)と、おなじみ赤ポチのTrackPointもキーボード中央に搭載する。

 本体サイズは297.5×232.7×11.5ミリで、重量はWi-Fiモデルが1.15キロ、LTE/5Gモデルは1.18キロ、バッテリー駆動時間(JEITA2)は16.8時間である。執筆時点ではクーポン適用で約24万円からとなっている。

タッチパッドも画面に合わせて(?)正方形に近いデザインになっている

バックライトはFn+SPACEで明るさも変えられる

SSDはM.2ながらフルサイズではなく42ミリのものが、モデムは標準サイズが実装されている

チタンの感触と薄さがGOOD
もちろんキズはつきません

 ボディはまさにチタンらしい「チタニムシルバー」で、手にすると、やはり薄さを感じる。キーボード一体型のThinkPadでは最薄だそうで、11.5ミリしかない。同じく360度回転の最新のThinkPad X1 Yogaでは、14型とTitaniumより0.5インチ大きいはいえ、1.4キロからとなっているので、Titaniumは250グラムほど軽いことになる。

 ただし、ボディすべてがチタンではなく、天板のみがチタンで、裏側はカーボンで補強されている。キーボード面と底面はマグネシウム合金である。チタンは軽量化というより「防キズ」のために使われているのだ。

おじさん世代には、この「チタン感」がたまらないのだ!

 使ってみて感じるのは、3対2比率13.5インチの画面の広さだが、伴ってボディも長方形ではなく、極端に言うと、正方形に近い。

Nano = 292.8×207.7×13.87mm
Titanium = 297.5×232.7×11.5mm
Carbon = 314.4×223×14.9mm

 横幅が30センチを切っているのは、特にカバンの出し入れが楽なのだが、奥行きが23センチを超えるのは、けっこう圧迫感がある。タッチパッドも正方形にみえるくらいなのだ。

 キーボードの横幅は265ミリで、「-」と「@」と「:」より右側のキーが幅寄せされている。これは最近発表されたX1 CarbonやX1 Yogaも同様で、使いにくいまではいかないが、ちょっとせまっ苦しい。左側のTab、CapsLockやShiftが巨大なので、ここをもう少し我慢して、右側のキーを正常化してほしいところだ。

右は同じく13.5インチで3対2比率のSurface Laptop で、日本語配列でも圧迫はない

 ディスプレイは実測すると、285×190ミリある。16対9では13.3インチになるが、富士通のUHでは294×165ミリなので、面積はTitaniumのほうが12%広くなる。実際比べると、縦の長さが25ミリ違うのがとても大きくて、仕事の効率も上がるのだ。

 13.5インチの3対2というと、Surface Bookがズバリ同寸で、ドット数まで全く同じである。Surface Book 3は1265グラムなので、Titaniumのほうが115グラムも軽い。バッテリー容量はSurfaceが45.8Whで、Titaniumが44.5Whと変わらないから、チタン+マグネシウムの威力なのである。

右のSurface Laptopはヒンジの形状のちがいと、ディスプレイ下の額縁が狭いので、同じディスプレイだが背は低い

 では、ThinkPad X1最軽量モデルのNanoと比べるとどうかというと、13インチ16対10ディスプレイで907グラムなので、Titaniumのほうが243グラムも重い。バッテリーはNanoのほうは48Whと上なので、ちょっと悩ましいのだ。

コアi5-1140G7の速度計測
Tiger Lake UP3の回しっぷりやいかに

細かい設定はThinkPadでおなじみのVantageアプリで行う。X1 Nanoと同じく、電源スライダーを中央にしておけば、省エネから最高回転まで自動で変化してくれるインテリジェント・クーリングが可能だ

 今回試用したのはCore i5-1140G7搭載モデルで、速度計測をしてみた。

 CPUの速度をみるCinebenchではR15で691、R20で1632、R23で4029だった。i7-1160Gを搭載するX1 Nanoでは853、2149、5521だったので、7~8割の速度である。ともに4コア8スレッドで、i5とi7の違いは通常クロックが1.8GHzと2.1GHz、最高クロックが4.2GHzと4.4GHz、キャッシュが8MBと12MBという違いがある。

 3DMarkでは、FireStrikeが3674、TimeSpyが1304、WildLifeが9488で、i7-1160Gの92~98%まで出た。Iris Xe Graphicsはコアi5とi7ともに全く同じスペックなので、同等に回っている。  SSDは256GBでPCIe 3.0x4を搭載していたが、マルチシーケンシャルリードが2088、ライトが1293と、特に書き込み速度が速かった。

小型のファン1基で冷却しているが、ベンチマークテストで負荷がかかっても動作音は小さい

 バッテリーベンチは液晶輝度最高、電源モード「最も高いパフォーマンス」では2時間10分しか稼働しなかった。「より良いバッテリー」では3時間22分走ったので及第としよう。

 チャージのほうは、付属の65WのACアダプターでは50%まで62分、70%まで93分、90%まで134分と遅めである。

3対2画面と5G回線は
1度使ったらやめられません
 

 試用したTitaniumには5Gモデムが入っていたので、こちらの速度も計ってみた。ドコモのSIMを入れて、都内各所でSpeedtestを走らせたところ、最高で下りが878Mbps、上りが47bps出た。5Gスマホでもまだまだ受信感度は不安定だが、春以降には3キャリアとも5Gのエリアが大きく広がる「予定」なので、LTEモデルよりは5Gを買いたくなる。

 そして、Surface BookやLaptopで体験しているのだが、3対2比率の画面は、特にモバイル時にとても使いやすく、手放せなくなる魔力がある。

 おじさんとしては、X1シリーズらしいブラックボディにしてほしいと強く望んでいるのだが、Tiger Lakeに縦長画面に5G内蔵で、3拍子そろったThinkPad X1 Titanはいまイチオシのモバイルノートなのだ。

5G対応のドコモのSIMを挿すと、デバイスの設定が始まった(画面右下)。APNの手動設定は必要である

都内某地区の屋外で、ダウンロード878Mbpsが出たが、アンテナの本数はまだ安定しない

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります