2020年、日本上陸をはたしたコンパクトなパワードスピーカー「A80」が人気を博しているAIRPULSE(エアパルス)。その兄弟機にして上位モデルである「A100 BT5.0」が4月初めに発売予定! A80の音の良さに惚れている筆者は、一足お先にA100 BT5.0を借りることができましたので、A100 BT5.0の魅力とA80との違いをリポートしたいと思います。
新型ウーファーを搭載した
大ヒットモデルA80の上位機
エアパルスは、伝説的スピーカーエンジニアのフィル・ジョーンズ氏が興したブランド。ロンドン生まれのジョーンズ氏の名が広まったのは、1987年に自ら興したブランド「アコースティックエナジー」のニアフィールドモニター「AE1」から。AE1の音の良さはプロの世界に認められ、フュージョン/アダルト・コンテンポラリーの有名レーベルGRPレコードや、名門アビー・ロード・スタジオなどが採用。そのような話が一気に広まり、日本でもAE1は高い人気を誇りました。ジョーンズ氏はその後、紆余曲折を経て2004年にプラチナム・オーディオ・システム・カンパニーに参加。自らもベーシストとして活躍しながら、エアパルスブランドを設立。オーディオ機材を作り続けてきました。
A80は、そんなジョーンズ氏が設計した小型のパワードスピーカー。幅140×高さ255×奥行き240mmと、机の上にピッタリのコンパクトサイズのキャビネットに、11.5cmウーファーとリボンツイーターを各1基搭載。さらにUSB入力を備えたD/Aコンバーターも内蔵しているので、PCにつなげるだけでカンタンに192kHz/24bitまでのハイレゾサウンドを楽しめます。と書くと、あまたあるUSB入力対応D/Aコンバーター搭載パワードスピーカーと大差ないように見えますが、奏でるサウンドがすこぶるよく、聴いた誰もが「さすがフィル・ジョーンズ氏の作品」と納得するもの。しかもペアで実勢価格7万7000円(税抜)で手に入るというから、人気が出ないわけがありません。コロナ禍によるテレワーク化の波もあって、輸入元の想像を超えるほど売れたのだとか。
今回ご紹介するA100 BT5.0は、そんな大人気モデルA80のウーファーを11.5cmから12.7cmへと拡大。それに伴い、エンクロージュアが大型化。さらに、ピアノ仕上げとしたモデルです。「なんだ1.2cmしか変わらないのか」と思うかもしれませんが、いやいや違うんですヨ、これが……。
ウーファーの振動板は、A80と同様、硬質アルマイト処理を施したアルミニウム合金コーンを採用。注目はネオジム・マグネットを用いた磁気回路と、このクラスでは例を見ない35mm径アルミ・ボイスコイルが奢られたこと。ボイスコイルの大型化により、発熱を低く抑えることができ、結果としてパワーロスの低減が達成できるのだそうです。この強力なエンジンを支えるフレームはダイキャスト・マグネシウム合金製。こちらもボイスコイルの放熱に貢献しています。カンタンに言い換えるなら、パワーロスを減らすことで、よりリニアリティーの高いプレイバックができるようになったというわけです。
高域を受け持つのは、軽量なアルミニウム・リボン・ダイアフラムをネオジム磁石で駆動させるリボンツイーター。振動板が軽いため、素早い反応と透明度の高い再現だけでなく、ウーファーの振動板がアルミ合金であることから、音色の繋がりも良好なのはA80でも実証済み。
ピアノフィニッシュが施されたキャビネットは18mm厚のMDF製で、サイズは幅160×奥行き283×高さ255mm。A80と比べ幅2cm、奥行き4.3cm、高さ3cm大型化されています。これならギリギリ机の上に乗るサイズといえるでしょう。机の上などの接地時に、振動を吸収しながら仰角をつけて聴きやすくするウレタン製アングルベースが付属するのもうれしいところ。このような使い手のことも考えているのが、エアパルス製品のよいところといえるでしょう。
入力端子は右チャンネル側スピーカーに集約。2系統のアンバランス(RCA)アナログ入力のほか、光(TOS)とUSB(TYPE-B)、そしてBluetooth 5.0対応のデジタル入力(各1系統)と豊富。実はBluetooth 5.0に対応しているのも、このA100 BT5.0のウリの1つだったりします。このBluetoothですが、スマホはもちろんのこと、たとえばテレビの音声出力にBluetoothトランスミッターを接続すれば、ワイヤレスでA100 BT5.0と接続するという使い方も考えられます。
入力端子近傍には、ボリュームノブのほか、設置環境や好みによって音調バランスを整えるのに便利な低域・高域用のイコライザつまみも用意。そのほか、A100 BT5.0での映画鑑賞も視野に入れている方にはうれしいサブウーファー出力が設けているので、AVアンプなどを用意することなく、カンタンに2.1chシステムが構築できます。
USB入力は、最大でPCM 192kHz/24bitまでのフォーマットに対応しており、XMOS製チップセットを介して、デジタル領域のままClass D・パワーアンプ回路に送られます。ちなみにPWM制御を行なうClass Dアンプでは、パルス幅変調周期を決定するキャリア周波数が音楽再現性の鍵を握っています。というのも、キャリア周波数が高ければ高いほど、アナログのような正弦波に近づくから。一般的なClass Dアンプのキャリア周波数は384kHzですが、超高域まで伸びるリボンツイーターを搭載するエアパルスでは倍にあたる768kHzに設定。これもまた忠実度の高いプレイバックに貢献します。パワーアンプ出力は低域が40W×2、高域が10W×2と、必要にして十分なスペックを誇ります。
豪華な右チャンネル側に対し、左チャンネル側スピーカーは、右チャンネル側と接続するDINコネクターがあるだけと、いたってシンプル。リアパネルには内部配線材にアメリカのハイエンドケーブルブランド「トランスペアレント」の内部配線材が使われていることを誇る銘鈑プレートが取り付けられています。
エアパルスのスピーカーがよいのは、付属品が充実しているところ。別途ケーブルなどを買う必要がありません。そして電源を入れると、さりげなく入力セレクターのLEDが光ります。パワードスピーカーの中には、煌々とLEDが光るモデルがありますが、そういうのは暗い場所では目障りだったりします。それでは、A80とA100 BT5.0との違いも織り交ぜながら、期待高まる音に耳を傾けることにしましょう。
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