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大ヒットスピーカー「エアパルスA80」の上位モデル「A100 BT5.0」は、文句ナシに「超イイ感じ!」

2021年03月25日 12時00分更新

深みが増した質感表現
いぶし銀の名演を太く描き出す

筆者の机まわりにA100 BT5.0を設置。モニターは23インチ

 筆者の机の上にA100 BT5.0を設置。普段の作業に使っているパソコンとUSB接続し、Amazon Music HDで様々な音源を楽しむことにしました。実は「A100 BT5.0を使って、サブスクでいい音を聴きながらテレワークのススメ」が本稿の裏テーマだったりします。ハイレゾ音源がサブスクで楽しめるなんて、ハイレゾが出始めた10年ほど前には考えられませんでした。

エアパルス本国のドライバダウンロードページ

インストール後、サウンドのプロパティをチェックすること

 Macでは繋げてすぐに192kHz/24bitのハイレゾ音源が楽しめますが、Windows機を使われる方はエアパルスの本国サイトからドライバーをダウンロードし、インストールする必要があります。その後、サウンドコントロールパネルからA100のプロパティを開き、「詳細」からサンプリングレートを最大の設定にするのをお忘れなく。準備ができたら、あとは心ゆくまでハイレゾサウンドを楽しみましょう!

Amazon Music HDでイーグルスのHotel Californiaを選択したところ。ULTRA HDというロゴがあるのに、表題曲だけHDクオリティーでした……

 まずは低域の確認として、オーディオファイルがスピーカーの低域チェックによく用いるイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を選択。Amazon Music HDには、2013年のリマスター版のハイレゾファイルが用意されています。ですが、表題曲のみ44.1kHz/16bitではありませんか!? 早くもAmazon Music HDでハイレゾファイルをストリーミングで聴く幸せという裏テーマが崩壊したので、A80の視聴で用いた1992年発売のDCC版リマスタリングCDでテストすることにします。

 低域チェックによく使われるのは、Aメロに入る前に放たれる2発の強烈なタムドラムなのですが、それ以前に流れるギターの音色から、すでにA80とは傾向が違うではありませんか。A80と比べると、全体的に音色に深みが増し、質感はとても柔らかな。でありながら、肝心の2発は量感を増すだけでなく、押し出し強くプレイバック。一般的には出しえない音量でも試しましたが、ボトミングする前に苦情が来そうなくらいの大音量で再生ができました。新型ウーファーによって、今まで以上に音楽に品位を与えているようです。

「モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集第33番・第27番・第28番・第42番」を選択した様子

 深みが増したA100 BT5.0の質感表現はクラシックに好適。ピアニスト内田光子とニューヨークを拠点に活動するブレンターノ・カルテットのヴァイオリニスト、マーク・スタインバーグによる2004年の録音「モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集第33番・第27番・第28番・第42番」(96kHz/24bit・FLAC)は、その静謐な空気を感じさせる中で、ビブラートをかけずに奏でるスタインバーグのヴァイオリンと、味わい深い内田光子のピアノの対比を見事に再現。そして、この2人は母子ほどの年の差があるのですが、無垢な子供を見守る母のような、そんな優しい空気がスピーカーから流れ出てきます。そのような深いニュアンスを、こんな小さなスピーカーが再現することに驚くほかありません。凄いぞフィル・ジョーンズ!

Amazon Music HDで、ジョン・コルトレーン・カルテットのよるバラッドの傑作「クレッセント」を選択

 表現力の豊かさは、クラシックのみならず、ジャズでも感じ取れます。Amazon Music HDでジョン・コルトレーンの「クレッセント」(192kHz/24bit・FLAC)から、静寂のバラッドである4曲目「ロニーズ・ラメント」を聴いてみることに。主役であるコルトレーンとマッコイ・タイナー(ピアノ)の2名はもちろんですが、聴きどころはロングソロをフィーチャーされたジミー・ギャリソンによる、いぶし銀の名演。

 A100 BT5.0は、そのコンパクトサイズから信じられないほどのボディー感を伴いながら、格調高く見事に再現するではありませんか。無限に続くかと思うほど長くて深いベースソロが明けてからの、コルトレーンのサックスとエルヴィン・ジョーンズのシンバルワークにいてっては、圧巻のひとこと。リボンツイーターというと、シャラシャラした音がしがちですが、見事な太さでジャジーに描き出します。やっぱり凄いぞ! フィル・ジョーンズ!

J-POPも「超イイ感じ!」
「脇目なんて振っている振ってるんじゃない!」

Amazon Music HDで、昨年11月25日にリリースされた「わーすた」のミニアルバム「What's "standard"!?」を選択

「What's "standard"!?」は、48kHz/24bitのハイレゾで配信されていた

 Amazon Music HDには、ジャズやクラシックのみならず、J-POPのハイレゾ音源も多数用意されています。そこでエイベックスが世界に照準を合わせて結成したアイドルグループ「わーすた」(The World Standard)が、昨年11月にリリースしたミニアルバム「What's "standard"!?」からリード曲「清濁あわせていただくにゃー」をセレクト。Amazon Music Unlimited(44.1kHz/16bit・非可逆圧縮音源)と、Amazon Music HD(48kHz/24bit・FLAC)の違いを確認してみることにしました。なぜ「わーすた」なのかって? それは筆者箱推しのアイドルグループだから。

YouTube内わーすた公式アカウントではMVがフルサイズで公開されている

 「清濁あわせていただくにゃー」は、コロナ禍に襲われ悲喜こもごもの今を肯定し、次に進もうというステートメントを、ロックサウンドに乗って、力強く、可愛く、軽やかに歌いあげます。実に今の時代にピッタリではありませんか!

 転げ落ちるようなドラムから始まる「清濁あわせていただくにゃー」は、うねるリズム隊に乗って、ギターとピアノが終始乱舞。さらにピアノやストリングスのカウンターが入るなど、音数が多いため分解能が低いと混濁しがち。案の定、44.1kHz/16bitの圧縮音源ではエッジが強調されて全体的に聴き取りづらい印象。これでは「NO NO NO NO NO NO NO NO NO でしょ!」です。それがAmazon Music HDで聴くと、音の分離がよくなるだけなく、音楽が一層グルーヴするではありませんか。

 そのグルーヴの中を、三品瑠香さんによるハイトーンで攻撃的な歌声と、アイドル界随一の歌唱力と定評の廣川奈々聖さんの歌声が「超イイ感じ!!」に掛け合い、実に楽しそう。そのような「デリシャスだね」なサウンドに拍手喝さいで、つい「もういっちょ行く?」「いいねーっ!」とリピート再生が止まりません。

 A100 BT5.0は、フォーマットの違いをキチンと出す分解能の高さだけでなく、楽曲の美味しいところを引き出す能力に長けているのです。オーディオでは、クラシック向き、ジャズ向きという言葉がありますが、本当によい機材はジャンルを選びません。なぜなら音楽に奉仕するから。パワーアンプ内蔵コンパクトスピーカーの「What's "standard"!?」かと言われたら、エアパルスであると断言します。

「純情のアフィリア」のファーストシングル「この世界に魔法なんてないよ/はじめてのSEASON」

Amazon Music HDでは、44.1kHz /16bitのFLACと、CDクオリティーでしか聴くことができない

moraでは96kHz/24bitで販売されていたので、ここからダウンロード購入した

 ASCII.jp的には、月イチの連載を持っているアイドルグループ「純情のアフィリア」についても触れなくてはなりません。最近自動車記事にも登場していますし。Amazon Music HDでファーストシングル「この世界に魔法なんてないよ/はじめてのSEASON」をチェックしたのですが、残念ながら提供しているのはCDクオリティーの44.1kHz/16bit・FLACのみ。ですが、配信音楽販売サイトのmoraやe-onkyo music storeに、96kHz/24bitのFLACファイルが販売されているではありませんか。

 折角なのでAmazon Music HDと購入したハイレゾファイルを聴き比べてみることにしました。ハイレゾファイル再生のプレーヤーはFoober2000で、もちろんWASAPI排他モードです。

 打ち込み系の楽曲なので、差はでないだろうと思っていたのですが……。声に別人といえるほどの違いが。エッジが立ちすぎ刺々しい44.1kHz/16bit版に対し、96kHz/24bit版は、実にしなやかで柔らかくて自然。この違いを聴いてしまうと、44.1kHz/16bit版は歌っている彼女達に失礼では? とさえ思えます。

【まとめ】エアパルスはハイレゾサブスク時代に向けた
フィル・ジョーンズからの贈り物だ

 繰り返しになりますが、A100 BT5.0はレゾリューションの違いを見事に描き分ける高い分解能と、深みを伴いながら音楽の美味しいところを品位よく引き出す能力に長けた1台。一方、A80はA100 BT5.0と比べると解像度を際立たせたような表現をするといえそうです。いずれにせよ、これらが10万円以下で販売されているところに驚きを禁じえません。

Amazon Music HDとエアパルス A100 BT5.0でハイレゾの扉を開けてみては?

 約10万円のスピーカーと、月額1980円のサービスで、素晴らしい音世界が卓上体験できるとは。本当に凄い時代になりました。ハイレゾで聴くということは、アーティストが出したい本来の音に近づくことだと、改めて思った次第。何より好きな音楽はイイ音だと一層楽しい。そのような当たり前のようなことを、A100 BT5.0は改めて教えてくれたように思います。これは手に入れるしかありません。

 ハイレゾファイルが存分に楽しめるというこの時代だからこそ、いいスピーカーで聴かなきゃもったいないというもの。エアパルスのコンパクトスピーカーは、この恵まれた時代にピッタリの、フィル・ジョーンズからの素敵な贈り物といえるでしょう。

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