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【FASTAR会員限定講演会】ベンチャー・中小企業向け事業成長セミナー ~地域発IPO・持続的成長に求められるマインドセット・大手企業連携・地域エコシステム活用~レポート

スタートアップが抑えるべき、地域発IPO・持続的成長に必要なノウハウとは

2021年03月18日 16時00分更新

 独立行政法人中小企業基盤整備機構は2021年2月4日、株式会社アドライト 代表取締役CEO 木村 忠昭氏を招いて、FASTAR会員企業向けの支援策の一環として「【FASTAR会員限定講演会】ベンチャー・中小企業向け事業成長セミナー ~地域発IPO・持続的成長に求められるマインドセット・大手企業連携・地域エコシステム活用~」をオンライン開催した。

:【FASTAR会員限定講演会】ベンチャー・中小企業向け事業成長セミナー

 登壇者は、株式会社アドライト 代表取締役CEO 木村 忠昭氏。今後IPOや地域有力ベンチャーとして成長するためにはどのような準備が必要であるのか、また大手企業との連携方法や地域エコシステムの活用方法など、事業を次のステージに上げるために必要なノウハウについてお話いただいた。

株式会社アドライト 代表取締役CEO 木村 忠昭氏

 株式会社アドライト 代表取締役CEO 木村 忠昭氏は、ユーグレナやじげん、クラウドワークスなど、スケールアップする企業の社外役員として、上場の準備や資金調達など、ハンズオン支援に関わる。現在は、国内外のスタートアップの知見やネットワークを生かし、大手企業のオープンイノベーションにおける事業化支援をメインに行なっている。

起業家・事業家としてのマインドセット

起業家・事業家としてのマインドセット「スタートアップのアイデア着想」

 以前はある程度時間をかけてプロダクトを検証することができたが、昨今は時間軸が短くなっている。流行や技術の移り変わりが早くなっており、計画立てて緻密に準備することが難しくなっているが、それは逆にチャンスと捉えることもできる。

 特定の領域に特化したベンチャーが一点突破していくことの価値は高まっている。また、大手が短期間で、新しい事業の種を見つけるのは難しいため、ベンチャーに投資をしたり、買ったりする流れはさらに加速していくと予測。新しく事業を始める人にとっては、戦いやすい局面にある。

 大きくなる可能性のあるスタートアップのアイデアは、良いアイデアと悪いアイデアの中間にあるもの。ピッチの際に賛否両論、両方あってはじめて「これはいける」と思ってほしい。逆に、10人のうち10人が「いいね」と言うようなアイデアは、考え直したほうがいいかもしれない。

「業界の常識は、違う業界の非常識」

 アメリカの起業家育成塾「Y Combinator」では、「スタートアップはロジカルに作り上げるものではなく、ある日突然、感じて気付くものだ。スケールしないことをしよう」と教えている。

 新しいことを始めるのは一点突破。ロジカルに考えると、みな同じ方向に収束してしまうので、違うアプローチが必要になる。

大手企業との連携にあたって

大手企業との連携にあたって「実質的なオープンイノベーションに求められるマインドアクション」

 今、大手企業はベンチャーとつながりたいと思っているところが非常に多い。やはり、大手はお金も人材も持っている。しかし、「新しいことを起こせない、起こす人がいない」という点で苦しんでいるので、大きなチャンスがある。

 大手企業が持っていなくて、自分たちが持っている力は何なのか、大手企業が必要としているものはどんなものなのかを意識して、協業していく必要がある。

地域エコシステム活用

地域エコシステム活用「横浜市のYOXOアクセラレータープログラム」

 地域発のプログラムもどんどん出てきている。みんながベンチャーを応援しようとしている。こんなことはこれまでなかったので、使えるものは何でも使っていくのが起業家のあるべき姿。

 例えば、横浜市の「YOXOアクセラレータープログラム」では、市が予算を組んでスタートアップの支援を行なっている。日本では、ベンチャーがいくら安くていいものを持っていても、相手にしてもらえないという傾向がある。「大手が使ってくれています」「大手と連携しています」といえば、信頼されてほかの企業へのアプローチが通りやすくなる。こういったプログラムに入っている会社です、と自己紹介するというのも同じ。

 大手企業はおおむね保守的なので、そういったものがあるとアプローチしやすくなる。話を聞いてくれる人が柔軟な考えを持っていても会社の過半数が保守的な場合、社内で話が通しやすくなる。

 「市のプログラムに採択されている」「政府のある機関のプログラムに採択され、支援を受けている」ということで、信用が一気に高まるので、事業を進めていく上でプラスになる。

 当然、プログラムの中身を活用してもらうことは大前提であるが、うまく活用して、それぞれの強みで突破してほしいと思っている。

 また、横浜では大企業のネットワーク「YOXOパートナー」もあるので、大手企業に一つずつ問い合わせるより、はるかに効率的に出会うこともできる。

質疑応答・おわりに

 「大企業と連携する際の注意点」について、大企業には大企業の論理・ルールがあるので、それは理解すべきというコメントがあった。大手は競合他社のことをよく見ているので、話の中にそういった情報を取り入れる必要もあるというアドバイスもあった。

 最後に、「このセミナーに何かプラスになるヒントがあればと思う。気になる点は問い合わせをいただければ力になりたい」という力強い言葉で締めくくり、セミナーが終了した。

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