Turing〜Ampere世代のGPUをまとめて比較
それではいよいよ、フレームレートの検証に移っていこう。基本的検証環境は、前述のRyzen+RadeonにおけるCyberpunk 2077パフォーマンス検証記事と共通である。ただ、CPUはRyzen 9 5950Xに固定している。
現時点ではGeForce環境でのResizable BAR(Radeon RX 6000シリーズにおける「Smart Access Memory」)は対応していないが、BIOS上ではResizable BARは有効にしてある(GPUが非対応なので有効化するメリットはないのだが……)。
そしてビデオカードはTuring〜Ampere世代のGPUの代表的なものをピックアップした。Founders Editon(以下、FE)が用意できるものはFEで揃えたが、GTX 16シリーズはAICパートナーカードを使用している。ただ製品調達の都合上、全ラインアップは検証できなかったので、適宜脳内で補間しつつ読んでいただければ幸いだ。ちなみにローエンドのGTX 1650は同じ型番でベースのコアが異なるバリエーションが存在するが、最初にリリースされたGDDR5版を使用している。
検証環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 5950X」 (16コア/32スレッド、3.4~4.9GHz) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 3090 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3070 Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition」、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 Ti AMP」 (GeForce GTX 1660 Ti)、 ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 AMP」 (GeForce GTX 1660)、 MSI「GeForce GTX 1650 SUPER VENTUS XS OC」 (GeForce GTX 1650 SUPER)、 MSI「GeForce GTX 1650 VENTUS XS 4G OC」 (GeForce GTX 1650 GDDR5) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」 (AMD X570、BIOS F31q) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (DDR4-3200、16GB×2)×2 |
ストレージ | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2 SSD、2TB) ウエスタンデジタル「WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
PCケース | MSI「MPG GUNGNIR 110R」 |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」 (October 2020 Update) |
単なるウルトラ設定でもRTX 2070 SUPER未満は厳しい……
まずは、DXRを使わない画質「ウルトラ」設定で比較してみよう。なお、GTX 16シリーズでもVRAM 6GBのGPUであれば一応DXR対応なのだが、Cyberpunk 2077では16シリーズでレイトレーシング関係の設定はオンにできないため、レイトレーシングありの検証では除外している。
今回の検証も、先に掲出されたRyzen+Radeon検証と同じ設定&手法で実施した。通行人の密度は最大とし、車で一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。
GeForceで現在最速ポジションにいるRTX 3080と3090ですら、フルHDで平均100fpsをやや超える程度である、という点からもCyberpunk 2077の描き込みの重さが伺い知れる。
DLSSを使っていないのでドット等倍でレンダリングしているせいもあるが、今回テストしたシーンで常時60fpsをキープできているのはRTX 2080 TiとRTX 3070〜RTX 3090の4モデルしかない点は驚くしかない。RTX 3060 TiやRTX 2080 SUPERでなんとか合格点を出せる程度、といった感じだ。
平均60fpsで良いのなら合格ラインはもっと下がってくるが、それでもRTX 2070 SUPERより下は軒並み不合格。GTX 16シリーズで遊びたいならもっと負荷を下げる必要があるだろう。いや、むしろCyberpunk 2077の美しさを堪能したいのであれば買い換えよう、というべきだろうか。
そして、4Kともなるとフレームレートは一気に下がるが、VRAMが4GBと6GB、8GB以上、そしてTuring/Ampereで性能が大きく変わっている点に注目したい。特にCUDAコア数に大きな隔たりのあるTuringとAmpereの差は非常に大きい。
DXR有効下ではDLSSがモノを言う
では、本命といえる「レイトレーシング:ウルトラ設定」でのパフォーマンス比較に入ろう。Cyberpunk 2077のレイトレーシング:ウルトラ設定では、GPUパワーとフレームレートのバランスを見ながらDLSSでレンダリング解像度が自動調整されてしまうため、今回はDLSSは「パフォーマンス」設定に固定して検証を行なった。前述の通り、GTX 16シリーズはレイトレーシングの設定をオンにできないため、ここでは検証から外れているが、テスト条件は共通となっている。
ゲームでDXRを有効にすると4割程度はフレームレートが落ちこむものだが、Cyberpunk 2077ではDLSSが最初からセットで有効化されるため、レイトレーシング:ウルトラ設定にしてもそれほど落ち込む印象はない。
全体傾向はDXR無効時と同じだが、60fpsキープが確認できたのはRTX 3070〜RTX 3090の3モデルのみ。RTX 2080 TiとRTX 3060 Tiはオマケで合格といった程度だろう。RTX 2060 SUPER〜RTX 2080 SUPERの場合は、3種類あるレイトレーシングの設定のうちどれかを無効化する等の工夫が必要だ。
そして、4K環境ではRTX 3090でも平均40fpsになってしまうのが残念でならないが、RTX 3070とRTX 3080の間にとてつもなく大きな性能ギャップがある点に注目したい。RTX 3070とRTX 3080で比べた場合はメモリーバス幅(256bit対320bitの差)とGDDR6とGDDR6Xがもたらすメモリー帯域の太さが効いている。
ただ、メモリーバス幅352bitのRTX 2080 TiとRTX 3070が肩を並べているのは、Ampere世代のRTコア/Tensorコアがメモリーバス幅のハンデを跳ね返したと考えることができる。
今後出てくるミドルクラスAmpereはどうなるのか……?
以上で簡単ながらCyberpunk 2077における主要GeForceのパフォーマンス比較は終了だ。DXRを使わなくても現GeForceの上位陣しか60fpsプレイが期待できないという事実に少々ショックを受けたが、Cyberpunk 2077の濃密なディストピア感を満喫したいのであれば、迷わずRTX 30シリーズの上位モデル、少なくともRTX 3060 Tiより上のモデルへの乗り換えをオススメしたい。
NVIDIAは、今年早々のCES 2021でRTX 3060を発表しており、また2021年には“RTX 3060クラス”より下のGPUが複数登場すると噂されているが、例え噂通りVRAMが増えたモデルが出たとしても、Cyberpunk 2077の描画負荷の前にはあまり役に立たない。Cyberpunk 2077のようなゲームではGPUの規模の方が効くからだ。
しかし、今回の検証でRTX 3090ですら4Kで平均60fpsに届かなかった点についてはいささか衝撃を受けてしまった。4K&レイトレーシング:ウルトラ設定で60fpsキープが可能になるのは何年後のGeForceになるのだろうか?筆者の眼の色が黒いうちにその日がくることを信じて待ちたい。
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