世界一美味しい料理とは?
「ルンダン」という料理を聞いたことがあるだろうか。ルンダンはインドネシアやマレーシア、シンガポール、ブルネイなどで愛される郷土料理で、牛肉とスパイス、ココナックミルクなどを長時間煮込んだ肉料理である。
見た目はカレーかビーフシチューにも似ており、米CNNの「The world's 50 best foods(世界の50の美食)」で、2016年に1位になったこともある。同ランキングは毎年発表されているが、この入賞歴から「世界一おいしい料理」の枕詞を付けても呼ばれている。
世界一おいしいともなれば、食べてみるしかない。今回購入したのは「馬来風光美食 エレン監修 ビーフルンダン」というレトルト食品だ。馬来風光美食は荻窪にあるマレーシア料理専門店で、エレンさんは馬来風光美食のオーナーシェフだ。
駅の催事スペースで購入し、価格は700円くらいだった。レトルト食品としてはかなり高価だが、成分表を見てみると、牛肉に野菜、スパイスに食品から抽出したエキスのみ。化学調味料や小麦粉を使わないこだわりの仕様で、いわゆるレトルト食品というよりは、お店で出すものに近い状態のルンダンを、レトルトにして売っているという感じだろうか。
さっそく食べてみると、スパイスが強く効いていて、いかにもエスニック料理といった味わい。牛肉のブロックはスプーンでホロホロとほぐせて、やわらかい。味がよく染み込んでいる。
本記事ではカレーのようにして盛り付けている。現地では単品の料理としてや、タイ米と合わせて出されているようだ。ジャポニカ種の米ともよく合う味である。
スープ状のところは意外にさらさらとしていて、粘度は低い。どちらかというと、肉の方が本体ととらえられるかもしれない。ビジュアル的にもカレーに近いのだが、カレーとは味わいが異なる。ガランガー、スターアニス(八角)、カフィアライムなど、インドのカレーの成分としてはあまり見かけないスパイスがそうさせていると思われる。
現地では、お祝いごとのときに食べる、ご馳走のような扱いであるらしい。たしかに、これだけたくさんのスパイスを使うと、材料を集めるだけでも大変だし、結構な出費になると予想できる。調理に手間も時間もかかりそうだ。
結論だが、インドカレーやタイ料理に慣れていれば、同じ向き合い方で楽しめる料理だが、スパイスを強く感じる料理が不得意な人だと、どうだろう。苦手な人もいるかもしれないと思った。個人的には何種類ものスパイスが香ってくるこの感じは非常に好みで、今度はお店に行って食べてみたいとも思った。
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