CGアニメ「映画 えんとつ町のプペル」制作の裏で活用されるRyzen Threadripper 3990X&980 PRO
Gen 4 SSDで体感2倍速!STUDIO4℃に聞いたCG制作で重要なPCスペック
緊急時には指紋認証機能付きの外付けSSDを利用
――天田さんの作業机にはSamsung製の外付けSSD「T7 Touch」もありましたが、こちらは一体何に使うんでしょうか?
天田氏「外付けSSDは緊急時に使います。本来は仕上がったデータなどはFTPサーバーを経由してやり取りするのですが、アップロードにかかる時間よりも直接持って行ったほうが早い場合ですね。弊社から5分ぐらいの距離のところにやり取りしている会社さんがあるのですが、緊急かつその時手が空いている人がいれば……みたいな状況の時になります」
――でも、運んでいる時にもし落としたら……なんて考えると怖くないですか?
天田氏「それはもちろん。なので、セキュリティー機能付きの外付けSSDが必要になるのですが、パスワードだと結局はメールなどでそれを共有したりする都合上、どうしても漏洩リスクはゼロにならないので、T7 Touchの指紋による生体認証機能はありがたいですね」
コンテンツごとに環境やフローから見直す制作のこだわり
――最後に、STUDIO4℃の制作のこだわりを教えてください
天田氏「こだわりですか……。そうですね。うちはほかのアニメ制作会社と違ってテレビシリーズが少なく、映画や短編、テレビCMなどを作る機会が多く、毎回そのたびに制作フローを見直すところから始めて、常に最適な方法を模索できるところでしょうか。テレビシリーズだと“いつものやり方”で進める方が多いと聞きます。で、我々はその時々に応じて、2D表現が適していると判断したら2Dでやりますし、3DCGが適していると思えば3DCGでやるし、それを実現するために新規で制作マシンやレンダーファームを用意したり、と制作環境の見直しからスタートするのはこだわりと言えるかもしれません」
――例えば製作委員会から「あの時のあの作品みたいなものまた作ってほしい」と頼まれても、安易に同じ手法を取らずにその時実現し得る最適な方法を考えるということでしょうか?
天田氏「いや、決して製作委員会の言うことを聞かないというわけではないんですが(笑)。そのコンテンツに応じた最適な表現を、最適な手段で実現するために制作フローの見直しは常に行なっております。今回TSUKUMOさんからワークステーションをお借りしたのもその一環ですね」
――しかし、新規コンテンツ制作のたびに、新しいマシンの選定や調達、メンテンナスをされるのは大変じゃないですか?
天田氏「そうですね。大きな会社さんですとシステム部の方がいて、マシンのリプレースやメンテナンスは専門の方がやっていると思うのですが、弊社の場合はまず自分のところに話が来ます。でも、私の本来の仕事は制作なので、メインの作業は画作りなんです。なので、誰かのマシンが壊れた!助けて!ってなっても、気持ちはわかるけど一旦待って!と、進行を崩さずに対応しなければならないなど、大変なことは多いです。でも、今のところは趣味も兼ねてますので楽しくできていますね」
――日本が誇るアニメ制作会社でも自作erがバリバリ活躍しているというのはなんだか嬉しいですね!本日は取材を引き受けてくださり、誠にありがとうございました。
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