夏になるとかき氷店が大人気。とはいえ今年はいろいろあって、そもそも外出する人出が例年より減っている。そんなタイミングで新しくオープンした「かき氷専門店れもん」に行ってきました。
「かき氷専門店れもん」は、東京・六本木の芋洗坂と外苑東通りの間に位置します。詳しめにいうと、饂飩坂を脇に入ってロアビルへ向かう途中。
「そのあたりにかき氷のお店が?」と不思議に思うかもしれませんが、かき氷専門店れもんは17時までの日中限定。夜の顔は「美鍋しゃぶしゃぶ 火鍋れもん」。同じ店舗で昼と夜とで趣が異なる“シェア店舗”、“二毛作”などがブームと言われていますがまさしく。ですので、路面にあるフランクなかき氷屋さんとは異なります。2階の店舗にあがって個室の落ち着いた空間いただく大人のかき氷です。
年間4000種以上のアイスを食しているアイス専門家シズリーナさんのお店
注目すべきは超マニアな仕掛け人。れもんはアイス専門家シズリーナさんが手掛けた店として話題を集めています。
初めてアイスを食べたのは“1歳一ヵ月”(証拠映像資料有りだそうで)。1日最低6個、年間4000種類以上のアイスを食べてきて、これまでで累計4万5000個以上のアイスを食べたという、アイスにゾッコンのお方。アスキーグルメにも記事を寄稿いただいています。かき氷(氷菓)も、もちろんアイスの一種。好きが高じてお店まで出しちゃったわけです。
この夏の出店で困難はなかったかとお聞きしたところ、オープンした7月当初はほとんどお客さんが入らない状況だったそうですが、アイス専門家として夏はメディア露出も多く、店の認知も徐々に広まってきたとのこと。
さて、肝心のかき氷のポイントについてお聞きしました。
「氷を冷凍庫で保存していると、わずかに冷凍庫のにおいがついてしまいます。そこでれもんでは、天然水を-50℃で瞬間冷凍させる技術を応用した、日本にも数台しか導入されていない特殊なかき氷機を使用しています。お店でできたての氷でかき氷を味わってもらえるけです」
「天然水は、まろやかな軟水(硬度20~30)や硬水(硬度はおよそ80)を用意していて、かき氷によって使い分けます。氷にする前の段階でシロップを混ぜるなどアレンジができるのもポイントです」とのこと。
お好きな方はご存じのように、かき氷はお店ごとに舌触りや細やかな風味など個性があります。れもんのかき氷はブロックの天然氷を使うのではなく、店舗で天然水から氷を生成し、さらに、冷却したのと同時に一瞬に細かく砕きます。いただいてみたところ、繊細でふわっとした口溶けの“ふわ雪”のようなかき氷。
苦いイメージがある「ケール青汁」を使ったかき氷も
シズリーナさんのイチオシは、8月20日からスタートした「ケールを“かケール“青汁ミルク氷」。
・「ケールを“かケール“青汁ミルク氷」
キューサイのケール青汁を使用したスーパーフードかき氷。シズリーナさんは“かけ合わせグルメ”の魔術師でもあります。みんなが知っているフードを組み合わせて「あれま、こんなにおいしいの」と驚く進化系フードを作る天才。大胆なところだと、ロッテの雪見だいふくと日清のカレーヌードルを組み合わせた「雪見カレーヌードル」や、明星チャルメラとサントリーのカフェベースをミックスして作った「チャルメラマキアート」(あらら、もうアイス関係ない)などをSNSで発信して話題になりました。
“苦い”イメージがあるケールと練乳かき氷からどんな味わいが? 大げさのようですがイリュージョンに期待していただきます!
見た目は玉露の抹茶かき氷のようですが、スプーンですくって口に近づけてみると、植物性の青い香り。ケールってアブラナ科の野菜で非常に栄養価の高いため青汁の原料としてテッパン。苦くない種類のものもありますが、やはり葉野菜の独特な風味はあります。
ところがいただくと、一瞬ケールならではのクセがありますが、即座に練乳の甘味と混ざって、消えていきます。あらら、そんな苦くない。
かき氷は練乳を混ぜ込んでから冷凍、粉砕しているため、優しい甘味が自然に広がる仕立て。台湾かき氷にイメージが近いです。そこに、多少クセがあるケールの粉が混ざると、練乳の甘味が引き立つし、ケールの風味がアクセントになって、一層深い味わいに感じられるようでした。
驚いたことに、トッピングの栗がとても甘く感じられました。いや、栗なので甘いのは当然なのですが、私が知っている栗以上だったんです。栗をチェリーのシロップにつけこんだかのような。そこまではしておらず、普通の甘露煮だそうなのですが、シズリーナさんいわく「ケールの苦みがあるため、トッピングの甘味も引き立つんです」と。
開発段階の苦労をお聞きしたところ「最初はケール青汁の粉末を混ぜ込んだかき氷も試作したのですが、それだと苦かったので、練乳氷を砕いたかき氷にケール青汁の粉末をかけました。すると、舌の上で両者が混ざり合って、苦味と甘みのベストバランスがとれました」とのこと。
なお、ケール青汁を使用しているため栄養価にも期待できる一品。かき氷1食に国産ケール100%のケール青汁を14g(ケール青汁2杯分)使用しているそう。酒好きの筆者は最近、めっちゃ飲む友人のアドバイスで青汁を飲み始めたので、ケール青汁を使ったスイーツに親しみがもてました。
器にもアイス専門家ならではのこだわりが!
使用している器にも注目。シズリーナさんいわく、かき氷が溶ける温度は-3℃と、とても溶けやすいため、熱伝導が悪い木の器を使うことによってふわふわシャリッとした冷えた状態を長持ちさせようという意図だそうです。なお、ソフトクリームは-7℃、ジェラートは-13℃、アイスクリームは-18℃がそれぞれ溶ける温度だそうです。シズリーナさんが質問すると即座に教えてくれました。アイスの溶解温度や食べる時の適温などすべて頭の中に入っているようです。専門家の叡智……、すごい。
ケール青汁かき氷は9月30日までの期間限定。1日20杯限定だそうです。他にも看板メニューの「ハニーレモン氷」などがあります。かき氷として価格面はリッチですが、個室に入ってゆったりくつろげるので、六本木でひと休みしたい時には打ってつけ。隠れ家らしい雰囲気で知っていると自慢できまるはず。おさえておきましょう。
「かき氷専門店 れもん」
住所:東京都港区六本木5-3-2 SAITO BLD.2F
業時間:平日11時30分~17時、土日祝10時30分~17時(月曜定休)
ナベコ
酒好きライター、編集者。カンパイからすべてが始まるはず。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に出演するなど酒活動しつつ食トレンドを追っています。♪アスキーグルメでおいしい情報配信中♪
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