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老舗BTOメーカー「STORM」の工場に潜入! Crucial正規代理店の高品質PCのこだわりを聞いた

2020年07月22日 19時30分更新

 昨今、外出自粛の影響で自宅でできる趣味を新たに始めた、という人が増えてきている。Nintendo Switchなどのゲーム機も品薄が続いているなど、この機にゲームを遊び始めた人も多いようだ。

 日本においてはコンシューマーゲームの人気も根強いが、近年はシューティング系ゲームを中心にした「eスポーツ」の盛り上がり、YouTubeやOPENREC.tv、Twitchなどを通したゲーム配信の増加、ゲームを生業にする「プロゲーマー」の登場などもあり、若年層にもPCゲーミングが普及してきている。

 PCゲーミングにおいて人気が高いのが、BTO(Build To Order、受注生産方式)メーカーのPCだ。BTOのPCはユーザーの注文を受けてから組み立てるため、CPUやビデオカードのアップグレード、ストレージの追加、メモリーの増設など、スペックの一部を自分好みにカスタマイズできる。コスパが高い製品も多く、“ゲーミングPCといえばBTO”というイメージを持っている人もいるだろう。

 そんなBTOメーカーの1つ、「STORM」をご存じだろうか。STORMはPCパーツ商社のアイティーシーが母体となっている、BTO PC製造20年の歴史を誇る老舗メーカーだ。

 メモリーやSSDなどのメーカーで人気の高い「Crucial」の国内正規代理店を務めていることもあり、信頼性の高いCrucial製パーツをPCに採用するパーツ選定のこだわりなどが特長になっている。

 今回、そんなSTORMの工場にお邪魔して、実際の組み立て現場の様子を見学する機会を頂いた。さらに組み立て作業を担当しているビルダーの方からもお話も伺えたので、そのPCづくりへのこだわりを紹介したい。

田んぼの真ん中の工場から
パーツ&PCを出荷

 工場の場所は茨城県の某所。のどかな田園風景のど真ん中にある。一目で工場と分かる感じの佇まいではないが、もとは農家の施設だったらしいというから納得だ。

 なかに入ると、うず高く積まれた段ボールが目を引く。パーツ単体での販売用の在庫や、BTOのパーツでもかさばるPCケースなどが主に置かれているようだ。PCケースは1つ1つが大きいというのもあるが、同社が取り揃えているケースの種類の豊富さがわかる。

完成したPCだけでなく、パーツ単体も扱っているSTORM。パーツもここから出荷している

 また、なかには正規代理店を務めているCrucial製のメモリーやSSDなどが置かれた棚も。一般のユーザーにはなかなか馴染みのない、箱いっぱいに詰められたメモリーやSSDの商用パッケージなども見られた。

Crucial製品専用の棚

他のBTOメーカーなどにも出荷している、SSD/メモリーの法人向けパッケージ。パーツがいっぱいに詰められた箱は個人のユーザーではなかなかお目にかかる機会はない

 組み立てを行なっている場所は、在庫が置かれているところを抜けた奥のスペースにある。入り口から入るとBTO PCに組み込むパーツ類が置かれており、作業場はさらに奥に設置されていた。

 向かって右手側がPCの組み立てを行なう場所、左手側が組み上げたPCの動作検証スペースになっている。筆者がお邪魔した時には4人ほどで作業していた。

建物の奥に設置された組み立て場の、半分ほどのスペースはパーツ類が置かれている

ここにはBTO PCに組み込むパーツ類が置かれている


品質管理は万全
ビルダーの手際の良さが光る

組み立ての様子

 ここでは基本的に1人のビルダーが1台のPCを最初から最後まで組み上げるという体制になっている。

 画一化された製品の大規模な工場であれば、複数人のチーム体制で生産ラインを作り、それぞれが担当する工程のみをこなすといった場合もあるが、BTO PCの注文は、製品1つ1つのスペックがユーザーによって異なる。カスタマイズによって製品を組み立てる工程も変わってくるので、製品スペックの構成を頭にいれたビルダーが一貫してPCを組んだ方が、手順の取違いなどが起こりづらくなるだろう。

 ただそうなると、工場の効率はビルダーの技量によって大きく左右されそうだが、無駄なくサクサクと作業を進めていく様子は熟達したスキルが感じられる。

PC組み立ての経験値が出やすい配線も、迷いなくきれいにまとめていく手際の良さ

BTOはユーザーごとにパーツ構成が違うので、こうした指示書に従ってパーツをピックアップする。パーツの間違いがないように、複数回のチェックをつけながら厳重に管理している

 比較的少人数での生産体制ではあるが、その品質管理体制にも余念がない。組み上げたPCの動作検証はもちろんだが、メモリーなど、一部のパーツにおいてはあらかじめ動作検証するスペースが設けられており、2段階の検証を行なっている。

 組み立て後の検証では、ベンチマークソフトを使って製品の性能もチェック。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」など実際のゲームのベンチマークで検証しているあたり、ゲーマーにも身近な検証環境だが、不自然なスコアが出ればどこか不具合があるかもしれないとすぐに判断できる。

組み上げたPCはその場で動作検証を行なう

筆者の見た中では、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」などのゲームベンチを使って動作検証していた

メモリーなどのパーツについては、組み込む前にも動作検証を行ない、パーツの品質を万全に保っている

 こうしてチェックが済んだPCは、この場で梱包されて出荷される。ビデオカードなどの自重でスロットに負荷がかからないように、マザーボードの表面が上向きになるよう、PCを梱包する向きも決まっているなど、輸送時の配慮も万全。

 ちなみに、STORMの出荷用段ボールのロゴは、7月になってリニューアルしたばかりとのこと。「MADE IN IBARAKI」の文字はなかなかインパクトがあるが、もしかしたら近いうちに、この「MADE IN IBARAKI」が高品質BTO PCの代名詞になる日がやってくるかも……?


ビルダーの方にインタビュー
「PC自作やゲームが好き」

 一通り工場の中を見た後は、PC組み立ての作業を担当している、宇都木 建司さんと豊田 実幸さんからお話を伺った。

宇都木 建司さん(右)と豊田 実幸さん(左)

――本日はよろしくお願いします。この工場について、作業者の方は今何人くらいいらっしゃるのでしょうか。

宇都木さん:基本的にはビルダーが5人ほど、全体では働いているのが7、8人ほどで、繁忙期では本社から応援に来ていただいて10人くらいになります。

――ビルダーの方たちは工場稼働初期から働いていらっしゃるのでしょうか。

宇都木さん:工場が稼働したのが4年ほど前になり、私と豊田の2人が稼働初期から働いていて、そのあと少しづつ増えてきた形です。

――ビルダーの方のPC自作歴というのはどれくらいなのでしょうか。

宇都木さん:基本は10年以上の人が多いです。私たちももともと趣味でやっていたので、工場に来る以前からPCを組んでいましたし、若い人でも4、5年は組み立てをやっているので経験は豊富です。なので、割とどんなパーツが来ても対応できますね。

――5人くらいの小規模な人数で組み立てを行なっているとのことですが、1日の出荷量などはどれくらいのものになるのでしょうか。

宇都木さん:大体30~40台くらいですね。月に換算すると600~800ほどになります。繁忙期になると増えたりもしますし、以前に法人さんからの受注で、1件で2000台という注文があったりもしました。その時は結構バタバタしていましたね(笑)。

――それは凄いですね(笑)。それだけの業務を行なえたのも、やはりビルダーさんたちのスキルがあってのものということでしょうか。

宇都木さん:そうですね。ビルダー全員がそれなりのスキルと知識を持っていて、みんな一連の流れを把握しているため、大口の注文が入ってもスムーズに連携して作業を進めていけたのではないかと思います。

この珍しい機材は、業務用のSSDデュプリケーター。1度に複数のSSDにデータを複製できるので、業務用の大量のPCなどに1度に同じシステムを入れる際などに使われるとのこと

――STORMのPCについて、なにか組み立てにおけるこだわりなどはありますでしょうか。

宇都木さん:最近は両面がガラスで内部が見えるケースなども増えてきているので、中の配線には気を付けています。とくに私は、個人的にMini-ITXのPCを組むのが好きなのもあり、コンパクトな筐体でも内部がきれいにまとめられるように、配線にはかなり気を使っています。もちろん、エアフロ―などにも関わってくる部分ではありますので、他のビルダー全員、配線には十分に配慮しています。

豊田さん:あと、母体が商社であるので、メモリーでいうところのファーストベンダーさんの製品を使用するなど、信頼性の高いパーツ選びには自信を持っています。先ほどお見せしたCrucialさんのメモリーのほかにも、電源には有名メーカーのOEM先にもなっているCWTさんの製品を使っているなど、どこに持って行ってもオススメできるようなパーツをチョイスして組み上げていますね。

――信頼性の高い高品質なパーツを使用すると、製品の値段も高めになってしまうんではないかとも思うのですが、そういった点はどのようにバランスをとっているのでしょうか。

宇都木さん:市場にパーツを供給する代理店として、直接自社でメーカーからパーツを輸入して使っているので、他の代理店からパーツを購入するのに比べてコストカットは図れますね。そういった商社母体の利点を生かして、品質良く安いものを、お客様に提供させて頂くというような体制をつくっています。

――品質管理につきまして、とくに気を付けている部分などはありますでしょうか。

宇都木さん:やはり組み上げた段階での検証はしっかり行なっています。組み立て後の製品の検証につきましては、基本的に私が専任で担当しているのですが、以前マザーボードの代理店でサポートを担当していたことがあったので、トラブルを発見して対処するというのは、その時の経験を生かせていると思います。

豊田さん:また、新しく入荷してきたパーツなどについては、製品に組み込んで出荷する前にパーツごとにあらかじめ検証しています。CPUやビデオカードなどは、どれくらいの負荷でサーマルスロットリングが発生するのかなども検証し、データを出しています。

宇都木さん:お客様がどういった環境でPCを使用するかは分からないので、やりすぎと思えるくらいに負荷をかけて、どこに出しても大丈夫と思えるようなパーツの組み合わせで製品を出荷するようにしています。

――工場で作業している中で、ビルダーさんのモチベーションを高めるような特徴的な工夫などはありますでしょうか。

宇都木さん:工場全体の話ではないのですが、私個人の話でいえば、Mini-ITXケースのような狭いスペースできれいに組み上げるというのを考えていて、配線などをうまいルートで通せてきれいに組み上げられたときなどはかなり嬉しいですね。そういったところでモチベーションを上げています。

豊田さん:私はもともと自作PCが好きだったのもあって、新しいパーツなどが入荷されたときにいち早く触れるというのがモチベーションの1つになっています。また、趣味で10年以上PCゲームを遊んでおり、最近でた「VALORANT」などのゲームもやりこんでいたりして、出荷したPCでPCゲーマーが増えてくれたらいいなという思いもあります。

宇都木さん:私もPCゲームはプレイしますので、仕事の中でもそういった“ゲームが好き”とか“PCが好き”といった気持ちを持って作業できるというのが、モチベーションにつながっていると思います。

パーツ選びから組み立てまで
こだわりのPCはPCゲーム入門機にもアリ

 工場というと大規模な施設をイメージする人も多いかもしれないが、STORMの工場は規模としては小さめといえる。しかし、法人案件の大規模な受注にも対応できるポテンシャルを秘めているという。

 それはビルダーの方の熟達した技量を表すとともに、実際にお話を伺ってみると、PCづくりへの熱意や情熱が感じられた。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言うが、これこそSTORM製品の品質を高める秘訣になっているのかもしれない。

 また、実際に販売されているPCラインアップを見てみると、“商社ならではの強み”というのも実感できる。一般的に、近年の大型ゲームタイトルを遊べるようなスペックのPCとなると、20万円越えはザラなのだが、STORMのPCは15万~17万円あたりでも十分なスペックを有したモデルが販売されている。

Ryzen 7 3700X+RTX 2070 SUPERなどを搭載して、税込17万円台といったコスパは優秀

 ほかにも10万円以下のエントリー向けのモデルから、よりハイスペックなモデルまで取り揃えているが、いずれもコスパの高さは特筆に値するレベルといえよう。

 パーツ品質は入念にテストして信頼性を高めているというのもあり、これからPCゲームを始めたい初心者などにとってもぜひチェックしてほしいメーカーだ。昨今のPCゲーム需要の中で、今後ゲーミングPCの購入を考えている人は、ぜひSTORM製の「MADE IN IBARAKI」なPCを検討してみてはいかがだろうか。

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