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7万円台の5Gスマホ「AXON 10 Pro 5G」の実力を5Gエリアでチェック!

2020年06月10日 12時00分更新

性能は最新だが日本仕様には非対応

 性能面を確認すると、チップセットは海外版からアップデートされ、クアルコムのハイエンド向け最新チップセット「Snapdragon 865」を搭載。メモリーは6GBと、他のハイエンドモデルと比べやや少ないが、ストレージは128GBで、microSDスロットで最大2TBまでの増量が可能と充実度は高い。

microSDスロットはSIMスロットと兼用。最大2TBまでの増設が可能だ

 チップセットの性能自体は他の5Gスマートフォンのハイエンドモデルと共通していることから、ベンチマークのスコアは他機種と大きく変わらない印象だ。それゆえ3Dの対戦ゲームなどをプレイしてみても、画質を最高画質に上げてもフレーム落ちすることはなく、5G・4Gでの高速通信に対応していることもあってゲームプレイには十分応えられる性能を持つといえよう。

「Geekbench 5」のスコア

「3DMark」(Sling Shot Extreme)のスコア

 またバッテリーに関しても、4000mAhとかなりの大容量を誇っていることから外出先でバッテリーを心配することは少ないだろうし、多少ヘビーな使い方をしても安心だ。ワイヤレス充電にも対応しているのもうれしいポイントといえる。

 ただ一方で、低コスト化のため海外モデルをほぼそのままの形で投入していることもあり、国内向けとしては不足している機能も少なくない。代表的な所でいえば防水・防塵性能が備わっていないことと、FeliCaが非搭載であることだ。

 特にFeliCaに関しては、「モバイルPASMO」が正式に開始したほか、Android版「楽天ペイ」アプリでSuicaの発行やチャージができるようになるなど、利用シーンが急速に広がっているだけに、非対応はとても残念だ。キャッシュレス決済を利用するなら「PayPay」などのQRコード決済、あるいは「Google Pay」とNFCを活用した、Visaなどのタッチ決済を利用する必要があるだろう。

5G通信に対応、その実力のほどは?

 そしてもう1つ、AXON 10 Pro 5Gの重要な機能となるのが「5G通信への対応」である。AXON 10 Pro 5Gはソフトバンクが持つ5Gの周波数帯(n77)に対応しており、理論値で下り最大2.0Gbps、上り最大103Mbpsを実現できる。

 ただし当然ながら、5Gによる高速通信を利用するには5Gの対応エリアで利用する必要があるのだが、2020年5月末時点では東京都心でも利用できるエリアはかなり限られている。そこで新型コロナウイルスの影響による政府の緊急事態宣言が解除されたことを受け、ソフトバンクのエリアマップ上で5Gの対象エリアとなっている東京・新宿駅の西口周辺で実際に5Gによる通信を試してみた。

 まずはいくつかの場所で5Gが実際に入るかどうかを確認してみたのだが、西口周辺では確かにアンテナピクトが「5G」となり、5Gのエリア化がなされていることは確認できた。だがアンテナの本数が頻繁に変化し、「4G+」となってしまうこともあるなど、電波が不安定な場所が多い印象も受けた。

AXON 10 Pro 5Gを5G対象エリアの新宿駅西口で使ってみたところ。アンテナピクトは「5G」となるが、電波の入り具合は不安定だった

 また「Speedtest.net」でスピードテストを実施してみたところ、最も高速なケースで下り110Mbpsくらいという状況。道路の反対側に渡ると20~40Mbpsに低下してしまうこともあり、5Gらしい高速通信を体験することはできなかった。

「Speedtest.net」で速度を測ってみたところ。電波が不安定であるなど条件があまりよくないこともあってか、最大でも下りで100Mbpsを超える程度にとどまっていた

 実は5Gの通信速度は、4Gとのデュアルコネクティビティによって高速化がなされている。それゆえ5Gの基地局整備がまだ進んでおらず、試したエリアでの電波が不安定であったことに加え、新型コロナウイルスの影響で人出が減っているとはいえ、繁華街での利用であったことから4Gの速度低下であまり速度が出なかった可能性が考えられる。

 それゆえ5Gのアンテナが明確に見える場所で、周辺に人が少ないなど、もう少し環境がよい場所であれば通信速度は向上する可能性が高い。ソフトバンクに限らず、5Gの基地局整備はまだ進んでいないのが現状なので、AXON 10 Pro 5Gを手にしても超高速通信を体験するにはまだ時間がかかることは覚えておきたい。

【まとめ】ハイエンドで低価格だが機能面は割り切りが必要

 一連の内容から、AXON 10 Pro 5Gは、超高倍率ズームなど“凄さ”を感じさせる機能がある訳ではないものの、ハイエンドスマートフォンとして十分な機能・性能を備えていることが分かる。値引きなしでも7万円で購入できることもあり、低価格モデルの登場前に5Gスマートフォンを安く手に入れたい人や、ゲームプレイなどのためハイエンドモデルを安く手にしたいという人には魅力的なモデルといえるだろう。

 ただハイエンドモデルとして見た場合、メモリーが抑えられているのに加え、キャリアモデルとして見た場合は防水・防塵とFeliCaに対応しておらず、日常使いする上では不満が残るというのも事実である。この辺りは価格とのトレードオフでもあるだけに、選ぶには“割り切り”の判断が重要になってくるだろう。

「Axon 10 Pro 5G」の主なスペック
メーカー ZTE
ディスプレー 約6.4型有機EL
画面解像度 1080×2340ドット
サイズ 約73×159×7.9mm
重量 約176g
CPU Snapdragon 865
内蔵メモリー 6GB
内蔵ストレージ 128GB
外部ストレージ microSDXC (最大2TB)
OS Android 10
5G Sub6対応
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4/5GHz対応)
カメラ アウトカメラ:約4800万画素
+約2000万画素
+約800万画素
/インカメラ:約2000万画素
バッテリー容量 約4000mAh
FeliCa/NFC ×/○
防水/防塵 ×/×
生体認証 ○(画面内指紋)
USB端子 Type-C
Qi ×
カラバリ ブルー

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