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シャープマスク販売でIoT家電も落ちた、クラウド時代が抱える盲点

2020年04月22日 10時28分更新

クラウド時代の意外な盲点

 この影響は同社の他のサービスにも及んだ。

 同社のAIoT家電では、スマホからエアコンの操作を行ったり、スマホにレシピをダウンロードして、調理家電を操作したりといったことが可能になるが、こうした機能が、一部ユーザーで使えない状態が発生した。

 これは、マスク購入希望者のアクセスが同社会員サイト「COCORO MEMBERS」に集中したため、同じプラットフォームで運用しているAIoT家電に連携する各COCORO+サービスが、つながりにくくなったことが原因だという。

会員登録ができない状況に

 AIoT家電には、エアコンや冷蔵庫、空気清浄機、ウォーターオーブン「ヘルシオ」、水なし自動調理鍋「ホットクック」などがある。

 AIoT家電をスマホで操作する場合には、COCORO IDを使用。COCORO MEMBERSのサイトにログインする必要がある。共通で利用しているプラットフォームに、マスク購入希望者のアクセスが集中したため、認証ページにアクセスできないという事態が発生し、AIoT家電の操作ができなくなったという。

 また、一度、ログイン認証を行ったユーザーも、アプリを再び起動すると認証サーバーに再アクセスするため、その際に認証されず、アプリが利用できなくなるという。

 また、同社ホームページがつながりにくい状況になったほか、COCORO STOREではマスク以外の商品も購入できない状況が続き、COCORO MEMBERSの新規登録ができない状態が続いた。これも、マスク販売でアクセスが集中した影響によるものだ。

販売開始前から兆候は見られた、しかし対応追い付かず

 その傾向は前日から見られていた。

 マスクの購入の際には、COCORO MEMBERSに登録する必要があるが、マスク購入時にその登録作業を避けるため、前日から会員の登録の作業を行っていた人が多く、COCORO MEMBERSのサイトでは、販売前日となる20日時点で、「アクセス集中により、WEBページの表示が遅くなったり、正しく表示できないことがあります」という告知を表示。

ID登録のサーバーが高負荷になったことが問題の発生源だった。

 「急激なご利用者様の増加によるアクセス集中により、WEBページの表示が遅くなったり、正しく表示されないことがあります。特に、メールマガジンの配信直後や弊社ニュースリリース直後などに発生することがあるため、このような場合は、しばらく時間をおいてからのご利用をお願いいたします」としたほか、この時点で、「アクセス負荷軽減のため、緊急対応としまして一部のサービス紹介用画像を非表示にしております」といった対策も施していた。

 だが、COCORO MEMBERSの新規登録の際に、メールに送られてきた認証コードを30分以内に入力する必要があるが、これが送られてこないために登録ができなかったという状況が発生。22日午前中には、COCORO MEMBERSのサイトにもアクセスできない状況が続いた。

 シャープでは、5月10日まで、毎日午前10時頃にマイクの在庫を補充し、同サイトで毎日3000箱ずつ販売することを発表しているほか、購入日を含めて3日間は再購入ができないなどの仕組みを導入しているが、今後、この販売方式についても見直す必要が出てくるかもしれない。

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