週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

クリエイティブ系ソフトで「Ryzen Threadripper 3990X」の64コア/128スレッドをフルに使えるか検証

2020年03月18日 11時00分更新

CG系でも対応しなければ128スレッドをフル活用できない

 ここまでの検証を見るかぎり、CG系はプロセッサーグループの壁に関係なく、論理コア数ギリギリまでCPUを使ってくれるように見えるが、それはこれまで試したアプリがプロセッサーグループの壁を越えられるように対策済みだからである。CG系アプリでプロセッサーグループの壁を越えられないアプリの一例として「POV-Ray v3.7」を試してみよう。このアプリに関してはAMDがレビュアー向けに128スレッドをフル活用できるバージョンを提供している。グラフ中「128thread」とあるのがその特別版を使った時の結果だ。

POV-Rayは最新のv3.8.0系列でも、公式ビルドではプロセッサーグループの壁を越えられないため、64スレッドで頭打ちになる

「POV-Ray」ベンチマーク結果

 CGのレンダリング処理はマルチスレッド化しやすいためRyzen ThreadripperのようなメニーコアCPUの恩恵を受けやすい処理だが、プロセッサーグループの壁を越えられないと性能が出し切れないことが分かる。POV-Rayは現在バージョン3.8.0が開発中だが、その3.8.0のβ版でも64スレッド制限は存在する。CG系でスピードアップを図る際は、そのアプリがプロセッサーグループの壁を越えられるかどうか確認してからRyzen Threadripper 3990Xを導入すべきだろう。

 ちょっと寄り道をして、ここで「PCMark10」を使ってPCの総合性能を見てみよう。テストは「Standard」テストを用いる。

「PCMark10」Standardテストのスコアー

「PCMark10」Standardテスト、Essentialsテストグループのスコアー

「PCMark10」Standardテスト、Productivityテストグループのスコアー

「PCMark10」Standardテスト、Digital Contents Creations(DCC)テストグループのスコアー

 CPUの並列度はPCMark10のスコアーアップにあまり寄与しない。基本はコア数よりもクロックが高い方がスコアーアップに効くのだが、今回の検証ではPBO有効時のスコアーの方が定格時よりも若干低い。PBOで一瞬クロックが上がるものの、その反動でクロックが早い段階で落ちてしまい、総合的にはあまり力を出せないためと推測できる。

 注目したいのはCGレンダリング作業を伴うDigital Contents Creation(DCC)テストグループだが、このテストグループでは上で解説したPOV-Rayが実際に使われる。プロセッサーグループの壁を越えることができないPOV-Rayを使った結果、Ryzen Threadripper 3990XはDCCテストグループでもスコアーを伸ばせなかった、ということだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事