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実証実験はなされても、実導入に進まない現状をどうとらえるか

日本のAI産業の現在が分かる「AI白書」が3月2日に刊行、IPAが会見

2020年02月27日 06時00分更新

AI導入は実証実験段階で止まりがち、大企業との格差も浮き彫り

 続けて、AI白書2020で実施した調査および第5章の特集について、IPA 社会基盤センター 社会基盤センター リサーチグループの遠山真氏が、解説と見解を語った。

IPA 社会基盤センター リサーチグループ 遠山真氏

 AIの導入状況を把握する目的で、約7000社(AIベンダーは除く)に送付したアンケートの結果によると、回答した企業541社の中で、実導入が進んでいるのは4.2%、実証実験まで実施しているのが4.8%だった。遠山氏によると、この数値はAI白書2019での調査結果とほぼ変わらないという。「IPAが導入を支援するAIベンダーにヒアリングしたところ、実証実験止まりで終わってしまうケースが多く、AIの普及については懸念が残る」と遠山氏は話す。

AIの導入企業は4.2%で、AI白書2019の発行時点からほぼ変わっていないという。導入しているAIについては、チャットボットが全体の45.5%と突出している

企業規模による導入格差も顕著だ。売上高別に分類した導入実績では、1000億以下の企業では最大でも4.7%だったが、1000億以上の企業になると17.2%と跳ね上がっている

AIの導入を検討中/関心がある企業の多くはRPAの技術に関心を示していることがわかった。「安価で手軽なことに加えて、すぐに効果が出るのがRPA特徴であることから多くの企業で検討されていると思われる」と遠山氏は話す

導入コストやAI人材の確保に難しさを感じる声

 AIの導入を検討するにあたっての課題では、「自社内にAIについての理解が不足している」「導入効果が得られるか不安である」といった回答率が、AI白書2019の調査に比べて減少しているものの「導入費用が高い」「AI人材が不足している」といった課題はほぼ横ばいで、企業の悩みが浮き彫りになった。

 この結果について遠山氏は、「近年のメディアを中心とした情報提供により、AIに対する理解度は高まっているが、いざ導入する段階になると資金や人手が足りていないという企業の実情がうかがえる」と話した。

導入にあたっての課題では、費用や人手といった面が昨年とほぼ変わらない結果となった

AIに対する懸念を調査した結果では、「懸念なし」がわずか6%。残りの94%はなんらかの懸念を抱えていることがわかった

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