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深層学習を応用した自動作成LPで製作期間が4分の1に

デザインの自動化で、デザイナーにより人間らしい働き方を提示するガラパゴス

LP、バナーからチラシの作成へ横展開
30兆円市場の0.03%を狙う

 「いわゆるイラストやデザインの世界は、グローバルでの市場規模がおよそ30兆円になりますが、すべて人件費です。ここを少しずつ深層学習に置き換えていきます。現在は、LPや広告のデザインに注力しています」(中平氏)

 中平氏は、「大事なのはデザインの設計部分」だと語る。LPやバナーを量産するサービスは多々あるが、成果物の品質管理が課題となることが多い。ガラパゴスでは、深層学習でデータを解析し、作成した学習モデルで品質を管理する。LPのデータを集めてリバースデザインし、データベースを構築している。そのデータを元に人間が手作業で制作するので、均一な品質で多数の作品を作成できるのだ。

 「クラウド上にディレクターとデザイナー、コーダーといったチームを持っています。そのチームが、AIR Design上のプロセスで標準化されたクオリティでLPを作成し、月額25万円のサブスクリプションモデルで提供します。人を1人雇うよりは安く抑えられます」(中平氏)

 コストで言えば、60万円かかっていた制作費が20万円になり、製作期間も40日間から10日間に短縮。LPにおいて重要なCVRも従来に比べて、1~2%改善があるという。ロゴよりも複雑なLPは、自動化がさらに難しのではと思ったが、中平氏によるとそうでもないという。人手による作業で作成するので、ロゴのように自動生成する必要がない。パターン化の判断プロセスのみを効率的に削減できるそうだ。

 「LPはテキストとイラストと写真をレイアウトしたものです。ある程度の最適解に近づければいいので、80点でいいんです。一方でロゴは、毎回100点を狙いにいかなければならないという難しさがあります」(中平氏)

 たとえば、500万円の広告費を使っている企業なら、そのうち10%くらいをデザインなどの予算に割り当てるので、25万円のサブスクリプションがぴったりはまる。サービスインは2019年7月と稼働間もないが、すでに大手企業での導入が始まり、売り上げはかなり上がっているそうだ。

 同社の事業に対する参入障壁は、データだという。ディープラーニングの元となる教師データには、インターネット上にあるクラウドソーシングのデータを利用している。このデータをデザインの最小単位まで分解し、自動描画や自動設計を前提としたデータベースを作成しているのだ。

 「デザインというプロセスをある程度、解明して、ロゴとLPができました。横展開としてバナー、動画広告、オフラインのDM、チラシ制作も進めています。さらには、より多くの市場に広げ、30兆円のマーケットのうち、0.03%でも僕たちが取れれば、(評価額10億ドル以上の)ユニコーン企業になれます」(中平氏)

 ガラパゴスはまず、国内市場から攻めていく方針だ。

 「『AIR Design』が儲かりそうだということは分かった。しかし、デザイナーの仕事を奪うんじゃないか、とよく言われます。そんなことはありません。今のデザイナーは作業中、ずっとAdobeのツールをいじっています。対価となっているお金もここの作業時間コストがベースなんです。僕らの『AIR Design』によって顧客とコミュニケーションしたり、創造、創作する時間を増やせると思ってます。お客さんと1時間話して15秒でロゴを作り、また30分話して15秒でロゴを作る。これこそが、人間らしい仕事だと思っています」(中平氏)

自動化を進めることで、デザイナーはより人間らしい仕事ができるようになる

 デザインを分解して再構築する「AIR Design」は、まだスタートしたばかりだが、すでに製作量だけでなく販売実績まで人間のデザイナーを超える実績を挙げている。リバースデザインという手法を武器に、ガラパゴスはユニコーンを目指す。

ガラパゴスも出展!
ASCIIが贈るオールジャンルのXTech展示カンファレンス
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