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QWERTYキー付きやFacebook特化スマホも出していた“アルカテル”の魅力

2015年08月25日 09時00分更新

 フランスのスマホブランド、ALCATEL ONETOUCH(アルカテル ワンタッチ)が本格的に日本で販売されることになった。今後日本向けに海外発売のアルカテル製品が続々投入される可能性が高まってきた。しかし、海外では有名でも、日本ではまだマイナーなアルカテルのスマホ。いったいどんな製品が発売されているのだろうか? グローバル市場でのアルカテルの製品を紹介しながら、その魅力に迫っていこう。

ALCATEL

 アルカテルは元々フランスの携帯電話メーカーだ。2004年に家電大手のTCLの携帯電話部門、TCLコミュニケーションと端末の合弁会社を設立した。ちなみに、2000年代前半と言えばソニーとエリクソンが合併してソニーエリクソンとなり、シーメンスの携帯電話部門をベンキュー(BenQ)が買収するなど、ヨーロッパとアジア企業の提携が進んだ時代である。

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↑初期のスマホはスライドQWERTY式も!
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↑なんとFacebookスマホも出していた。

 アルカテルの製品は低価格品や使いやすさを追求したキーボード搭載端末、フランスらしいカラフルなカラーリングの製品などが人気だった。2010年からはAndroidスマホ市場に参戦。ミッドレンジやエントリーなど手ごろに買える製品を武器にシェアを広げていった。初期のころにはQWERTYキーボードを搭載したスライド式端末『OT-980』を販売するなどBlackBerryユーザーを引き込もうと、大手メーカーには無いニッチな路線も狙ったりした。また、Facebookへの専用ボタンを備えた『OT-908F』など新たな試みも行なっていたのだ。

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↑ヨーロッパのキャリアスマホはほとんどがアルカテル製。

 また、スマホ業界に参入直後からキャリア向けの製品も積極的に展開していった。“Vodafone Smartシリーズ”など、ヨーロッパのキャリアが自社ブランドで出しているスマホは、いまはほとんどがアルカテルのスマホをベースにしたモデルになっている。

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↑2013年には世界最薄スマホ『IDOL Ultra』で度肝を抜く。

 そして2013年には当時世界最薄、厚さわずか4.7ミリの『ONETOUCH IDOL Ultra』を発表。それまで“世界最XXXX”の名をほしいままにしていたのはサムスンやノキアなどの大手メーカーだったのに対し、いきなりアルカテルが最薄スマホをリリースしたのだ。このIDOL Ultraはアルカテルの製品開発力の高さを世間に広く思い知らせるものとなり、アルカテルのブランドイメージ向上の立役者となった。

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↑フランスの香りを感じさせるカラフルなモデルが多い。

 アルカテルはスマホのボディーのカラバリも積極的に拡大していった。『iPhone 5c』が発売になる半年以上も前からピンク、グリーン、オレンジなどカラフルなボディーの製品を次々に発売していったのだ。当時カラフルなスマホといえばノキアの“Lumiaシリーズ”があったものの、Windows Phoneということもあり購入するユーザー層は限られていた。アルカテルは“カジュアルで楽しい色合いのスマホメーカー”としても人気を高めていったのだ。

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↑世界初のFirefox OSスマホもリリース。

 2013年夏にはFirefox OSを搭載した『ONETOUCH Fire C』を発売。日本で発売された『Fx0(LGL25)』とは異なる、エントリー層向けの超低価格モデルであるが、アルカテルはこんな製品を製造する技術も持っているのである。これはTCLコミュニケーションがヨーロッパを中心とした先進国だけではなく、中国や東南アジアなどの新興国をターゲットとした製品を開発しているからできることだ。あらゆる消費者ニーズに応じた製品をラインアップにそろえているその姿は、世界シェア1位の座を不動のものにしていたノキアの王国時代にもかぶって見えてくる。

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↑とてつもない拡張性を持った『ONETOUCH Hero』。

 アルカテルは他社がやらないアイデア製品の開発も得意だ。6インチの大画面スマホ『ONETOUCH Hero』は本体にはペンを内蔵しており手書きに対応。サムスンのヒット製品“Galaxy Noteシリーズ”に対抗するモデルだ。しかし、特徴はそれだけではない。本体裏面の左側には7ピン端子を備えており、これを使って機能を拡張できるのだ。

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↑電子ペーパーや液晶内蔵カバー、Qiカバーにプロジェクタースタンド。

 ONETOUCH Heroが登場した2013年はサムスンのスマホから始まったフリップタイプのカバーが大ヒットした年。アルカテルはそのフリップカバー人気に乗じるだけではなく“機能性フリップカバー”と呼べるアクセサリーを次々に発表したのだ。Qi充電対応カバーは裏返してQi充電台に載せればワイヤレス充電ができる。液晶カバーはドット表示のできる液晶を内蔵、時間や通知、電池残量が表示できるなどHTCのドットビューカバーのオリジナルとも言える製品だ。

 さらには、電子ペーパーを内蔵し電子書籍やコミックを読めるカバーも用意。ほかには本体を立てられるスタンドにプロジェクターを内蔵したものも開発するなど、ONETOUCH Heroを様々な用途に活用できる。残念ながらこれらの製品のうちいくつかは製品化はされなかったものの、ここまでアクセサリを使った拡張性が考えられたスマホはほかにはなかなか無いだろう。

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↑上下に透明パーツを埋め込んだ『ONETOUCH Alpha』。

 大手メーカーほどの存在感がないためか、アルカテルのスマホはどことなく野暮ったいデザインと思ってしまいがちだが、老舗のフランスブランドを背負っているだけあってカラーリングのみならずカメラ周りの処理など細かいところにも結構気を使った仕上げがされている。また、デザインに特化した製品もいくつか出しており、この『ONETOUCH Alpha』は本体上下に透明なパーツを組み込み着信などで点滅する。類似のデザイン・機能は過去にソニーが出していたが、角ばったデザインのXperiaに対してアルカテルの製品は女性の道具をイメージさせる曲線を組み合わせたデザインが特徴だ。

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↑世界シェア10位内の常連、ソニーよりも上に位置する。

 そうは言ってもアルカテルのスマホなんてそれほど海外で見かけないなあ、と思っている人は多いかもしれない。だが、実際に海外の家電量販店やキャリアショップへ行ってスマホコーナーを見てみると、“ALCATEL”ロゴの入ったスマホが数機種必ず売られているのを見かけるはずだ。アルカテルブランドのスマホは世界中で販売されており販売数も年々増えている。調査会社ガートナーの報告を見ると、アルカテルの製造元であるTCLコミュニケーションの2014年の販売台数は6400万台で世界シェアは7位。これはたまたまではなく、ここ数年常にシェア10位以内にランクインしているのだ。アルカテルの上に位置するのはサムスン、アップル、マイクロソフト、レノボ(モトローラ含む)、LG、ファーウェイと誰もが知っているメーカーばかり。アルカテルはそれらと並ぶ大手メーカーの仲間入りをしているのである。

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↑先進国から新興国まで世界中に店舗を展開。

 先進国ではハイエンド端末だけではなく、プリペイド用などのミッドレンジからエントリーモデル、さらにはキャリアブランド製品も販売。派手さは無いものの着実に購入者を増やしている。一方、新興国ではエントリーモデルを中心とした展開ながら、ハイエンドやデザインモデルも販売店にきちんと展示。「いつかはアルカテルのあの高いスマホが欲しい」と思わせるような販売展開を行なっているのだ。

 蛇足ながら筆者が過去に訪れた国の中で、ブルネイはメーカーの公式ショップを構えているのはアルカテルのみだった。サムスンすら店を出していない小国に複数のアルカテルストアを展開しているとは驚きでもある。だが、これは同社が特定の国や消費者層だけを狙っているのではなく、世界中のあらゆるユーザー層をターゲットにしている姿勢の表れだろう。

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↑2014年には『ONETOUCH IDOL 2 S』で日本初上陸。

 アルカテルのスマホは今回が日本で初めての製品ではなく、2014年秋にはイオンスマホの第三弾として『ONETOUCH IDOL 2 S』が登場している。イオンスマホでの限定販売だったため、あまりその存在は知られていないが、CPUはSnapdragon 400、5インチHDディスプレーに、800万画素の背面カメラを搭載。厚さ7.45ミリで軽量な126グラムと普段使いするには十分なスペックの製品だった。

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↑2015年も楽しいモデルを投入。これは3OSに対応。

 2015年1月のCES 2015で発表した『ONETOUCH Pix 3』はOSにAndroid、Windows Phone、Firefox OSの3つが提供されるマルチOS対応の端末。スペックはエントリーレベルだが、この技術を応用すればアルカテルのAndroid搭載ハイエンドスマホもWindows Phoneとして市場に出せる。なお、このCES 2015では新興のODMメーカーが同様の製品を展示しておりこの動きは今後トレンドになるかもしれない。

 今年中と言われているWindows 10のスマホ版が登場すれば、アルカテルから多数の対応製品が一気に出てくる可能性もありそうだ。

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↑『Xperia Z4 Tablet』より手軽に使えるキーボードタブ。

 アルカテルはタブレットも多数の製品を出している。『ONETOUCH Pop(10)』は、カッコ内の数字からわかるように10インチサイズのタブレット。LTEを内蔵しており、通話もできる。CPUはSnapdragon 410、ディスプレーは9.6インチWXGA解像度(1280×768ドット)とタブレットとしてはミッドレンジクラスの製品で、これと言った特徴は無いように見える。ところが、着脱式のキーボードをセット販売しており、ノートPCのような使い方もできるのだ。スペックを考えるとできることは軽作業になるだろうが、Web閲覧程度なら問題ないだろう。しかも価格は2万円台と安い。単純にキーボードが一体化できるタブレットを求めるならこの製品も十分アリだろう。Xperia Z4 Tabletには機能は及ばないものの、この価格は魅力だ。

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↑『IDOL 3』はiPhoneを大きく意識!?

 そして今年の主力モデルとなるのが日本でも発売が決まった『ONETOUCH IDOL 3』だ。海外では『IDOL 3(4.7)』、『IDOL 3(5.5)』の2つのモデルがすでに販売されている。この名前の数字からわかるように、それぞれのディスプレーサイズ『iPhone 6』、『iPhone 6 Plus』と同一である。これだけ見るとアルカテルがアップルにいよいよ挑戦状をたたきつけたようにも見えるが、小型のエントリーモデルから大画面のファブレット、そしてタブレットなど多数の製品展開をする同社として、中核となる製品のサイズをスマホの代表ともいえるiPhoneに求めた、と見ることもできる。

 上下どちらの向きでも使えるUIや前面いっぱいまでディスプレーのように見えるガラス張りデザインなどは同モデルならではの仕上げと言えるだろう。DJアプリやステレオスピーカーなどは音楽を楽しみたいユーザーにも受けそうだ。

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↑スマートウォッチにもついに参入。
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↑着々とアルカテルワールドを拡大中。

 2015年にはスマートウォッチの『Alcatecl Watch』も発売。AndroidとiOS両方に対応する独自OSの腕時計デバイスだ。ベルトのカラーやサイズに複数のバリエーションを持たせ、ターゲット層は性別の区別なくあらゆる年齢層となっている。スマートウォッチはまだ各社参入したばかりの状況だけに、日本での販売も早い時期に行なわれるかもしれない。

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↑知られざる巨人、日本上陸成功のカギは?

 海外ではすでに一定の成功を収めているアルカテル。SIMフリー市場が拡大しつつある日本への参入はタイミングとしては悪くないと言えるだろう。IDOL 3のスペックはミッドレンジとハイエンドの中間クラスで、高性能スマホ嗜好の強い日本の消費者向きの製品だ。とはいえ、日本は海外のように一般消費者がプリペイドSIMを買ったりMVNOのSIMを契約し、スマホに入れて自分で設定して使う、という状況には達していない。また端末が高機能であれば使い方がわからないユーザーも出てくるし、不具合時や故障時にはしっかりした対応が求められる。

 ハードとしてのアルカテルのスマホはZenFoneなど他社のSIMフリースマホとそん色のないレベルの品質を持っている。日本で成功するためにはサポートなどソフト面を充実させることが必要だ。いずれにせよ海外で次々に特徴的なスマホを出しているアルカテルの製品が日本でも買えるようになったのは喜ばしいこと。今後も定期的な製品の投入を期待したいし、海外にあるようなアルカテルストアの展開も希望したい。

●関連サイト
ALCATEL ONETOUCH

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